自己破産 / Q&A

自己破産すると持ち家はどうなる?手放す流れと住み続ける方法

この記事のもくじ
  1. 持ち家は自己破産でどうなるか:原則と同時廃止の線
  2. ローンの残りで流れが分かれる:アンダーローンとオーバーローン
  3. 手放す流れと時期:任意売却と競売
  4. 住み続ける選択肢:仕組みと注意
  5. 家を残したいとき、申立て前にやること

自己破産をすると、持ち家は原則として手放すことになります。破産手続の開始の時に持っている財産は、国内外を問わず破産財団とされ(破産法34条1項)、不動産もその対象です。管財事件では、破産管財人が家を売却し、住んでいる人は明け渡します。住宅ローンが残る家は、抵当権者が競売を申し立てるか、管財人が抵当権者と調整して売る形が一般的です。住み続ける道としては、家族による買取りやリースバックがありますが、条件が合うかは個別です。家を残すことを優先するなら、個人再生の住宅資金特別条項があります。

持ち家は自己破産でどうなるか:原則と同時廃止の線

松江地方裁判所の案内は、管財事件で居住家屋が破産者の所有物件であれば、破産管財人が売却するので、明け渡してもらうことになると説明しています。管財人が不動産を任意に売却するときは、裁判所の許可が要ります(破産法78条2項1号)。

同時廃止になるかどうかにも、不動産が関わります。松江地方裁判所は、不動産を所有している場合は、不動産の時価よりも相当多額の担保権(抵当権など)が設定されているときを除いて、同時廃止は認められないと案内しています。水戸地方裁判所の平成31年4月1日実施の運用は、被担保債権額が不動産の時価の1.5倍以上のときは資産として扱わないとしています。札幌地方裁判所は、不動産を所有していて同時廃止を希望するなら、オーバーローンであることが分かる査定書と、ローンの残額証明書を出すよう案内しています。基準は裁判所ごとなので、申立先の運用を弁護士に確かめます。

名義にも注意が要ります。松江地方裁判所は、実質的に破産者の財産であれば、名義が他人になっていても換価の対象になると説明しています。札幌地方裁判所の記入要領は、現在または過去2年以内に、本人、配偶者、同居している親や子が所有する不動産を財産目録に書くよう求めています。

ローンの残りで流れが分かれる:アンダーローンとオーバーローン

流れを分けるのは、家の売却価格と、住宅ローンの残高の差です。

場合 売却価格とローン残高 起きること
アンダーローン 売却価格のほうが多い ローンを返済して余った分が破産財団に入り、債権者への配当に回る
オーバーローン ローン残高のほうが多い 売却してもローンが残る。残りは、免責の対象になる破産債権になる
ローンなし 売却価格がそのまま財団に入る 管財人が売却して配当に回す

抵当権のような担保権を持つ人は、破産手続によらずに権利を行使できます。これを別除権といいます(破産法65条1項)。自己破産をしても抵当権は消えず、ローンを払っていなければ競売で実行されるおそれは残ります。担保権者は、担保で回収できなかった額についてだけ、破産債権者として権利を行使できます(同108条1項)。

管財人は、抵当権が付いた家を売って、売得金の一部を破産財団に組み入れる形で担保権を消す、担保権消滅許可の申立てもできます(同186条)。どの方法になるかは、家の価値、ローンの残り、担保権者との調整で決まります。

流れ:自己破産で持ち家が売却されるまで
  1. 破産手続の開始決定。管財事件では破産管財人が選ばれる
  2. 管財人が家の価値を調べ、担保権者(住宅ローンの債権者)と話し合う
  3. 売却の方法が決まる:①管財人による任意売却(裁判所の許可が要る)、②担保権者の申立てによる競売
  4. 売却代金をローンの返済にあて、余りがあれば破産財団に入れる
  5. 買受人が決まり、住んでいる人は明け渡す
  6. 免責許可の決定が確定すると、残ったローンの責任を免れる(保証人には及ばない)

手放す流れと時期:任意売却と競売

任意売却は、管財人が裁判所の許可を得て、市場で家を売る方法です。任意整理とは別の言葉です。競売は、抵当権者の申立てで裁判所が家を売る手続きで、東京地方裁判所の案内では、次の流れです。

  1. 債権者の申立てで、裁判所が不動産を差し押さえる。
  2. 売却基準価額や入札期間を書いた公告が出る(通常は入札期間が始まる15日前ごろ)。
  3. 通常8日間の期間入札が行われる。
  4. 開札で最も高い価額をつけた人が最高価買受申出人になり、売却許可の決定を受ける。
  5. 代金納付は、売却許可決定が確定してから通常約1か月以内に指定される。納付で所有権が買受人に移る。
  6. 買受人が占有者から家を受け取れないときは、代金納付から原則6か月以内に引渡命令を申し立てられる。

明け渡しの時期は、売却の手続きの中で決まります。引っ越し先の準備は、売却の見通しが立った時点で始め、時期を管財人に確かめながら進めます。住宅ローンの滞納から競売までの流れは住宅ローンが払えないと競売に?滞納からの流れと任意売却の時期で扱います。

住み続ける選択肢:仕組みと注意

自己破産では、家は財産として扱われます。住み続けたいときは、次の3つが話題になります。

**1. 個人再生の住宅資金特別条項。**家を残したいなら、まず検討する選択肢です。住宅ローンは原則として約定どおり払い続け、ほかの借金を再生計画で減らします。要件は、住宅に住宅ローンの抵当権以外の担保権が付いていないことなどで、保証会社が代位弁済をした日から6か月を過ぎると使えなくなります(民事再生法198条)。仕組みは個人再生で住宅ローンを払い続ける特則|家を残す条件と流れで扱い、自己破産との選び方は自己破産と個人再生の違い|家・仕事・返済額で選ぶ判断材料で比べます。

**2. 家族が買い取る。**管財人が家を売る場面で、家族が買受けを申し出る形です。売却は管財人が担当し、価格や条件は管財人と裁判所の判断で決まります。市場の価格を下回る条件では、債権者を害する処分と見られるおそれがあります。申立ての前に、家を親族の名義に安く移すことは、財産を不当に減らす行為として、管財人の否認の対象になったり(破産法160条)、免責不許可事由に当たったりします(同252条1項1号)。買い取りたい場合は、申立ての前に弁護士に相談し、管財人が選ばれたら管財人に伝えます。

**3. リースバック。**国土交通省のガイドラインによると、リースバックは、住宅の所有者が住宅を売って代金を得て、売却後は買った事業者に毎月賃料を支払うことで、同じ家に住み続ける契約です。契約条件次第では買い戻せることもありますが、買戻しの条件と価格に留意が必要です。毎月の賃料が生じ、希望する期間住み続けられるかは賃貸借契約の内容で決まります。自己破産の申立てを予定している人が、申立ての前に急いで売ると、価格が適正かどうかを問題にされることがあります。売る前に弁護士に相談してください。

家を残したいとき、申立て前にやること

  1. 住宅ローンの残高と、家の価値の見込みを調べる(金融機関の残高証明、不動産会社の査定書)。
  2. 家に付いている担保権を登記事項証明書で確かめる。
  3. 家を残したいのか、手放してもよいのかを家族と決める。
  4. 弁護士に、自己破産と個人再生のどちらが向くかを相談する。
  5. 住宅ローンを滞納している場合は、保証会社の代位弁済の時期を金融機関に確かめる。

住宅ローンが払えないときの全体の選択肢は住宅ローンが払えないときの選択肢|銀行への相談・売却・個人再生にあります。自己破産で車がどうなるかは自己破産で車持ちは車を手放す?残せる車とローン中の車の扱いで続けます。

弁護士に依頼するなら、家の扱いの見通しを具体的に説明してもらえるか、管財事件になった場合の費用を書面で示してもらえるかを確かめてから選びます。

よくある質問

Q. 住宅ローンが家の価値より多い場合、家はどうなりますか?

家に付いた抵当権は、自己破産の手続きとは別に、抵当権者が実行できます(破産法65条1項)。ローンが家の価値を大きく上回る場合は、競売になるか、破産管財人や抵当権者の調整で売却されます。売却後に残ったローンは、免責の許可を受ければ、破産債権としての責任を免れます。

Q. 家を手放したあとも、住宅ローンが家族に残ることはありますか?

あります。免責の効力は、破産者の保証人や連帯債務者に対する債権者の権利には及びません(破産法253条2項)。配偶者などが連帯保証人や連帯債務者になっている場合は、その人に請求が向かう可能性があるので、依頼する弁護士に契約の内容を見せて確かめてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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