督促・取り立て・差し押さえ / 制度解説

消費者金融の滞納で一括請求が来たら|期限の利益の喪失とできること

この記事のもくじ
  1. Q1. 一括請求は、何が起きた状態ですか?
  2. Q2. 契約書のどこを見れば、一括になった理由が分かりますか?
  3. Q3. 一括請求の書面が届いたら、何から始めますか?
  4. Q4. 一括請求の後、遅延損害金はどうなりますか?
  5. Q5. 払えないとき、どの道がありますか?
  6. Q6. 携帯代や端末代を滞納したときの一括請求は、どう違いますか?

一括請求とは、分割で払う約束だった借金の残りを、一度に払うよう求められることです。法律の言葉でいうと、期限の利益を失った結果です。届いた書面を見て、いきなり全額を払うか、無視するかの二択になりがちですが、間に取れる手があります。契約書のどの条項で一括になったのかを読み、払える額で話し合うか、債務整理で整理するかを、順に選びます。

Q1. 一括請求は、何が起きた状態ですか?

分割払いの借金には、「決められた返済日までは、残りの元本を払わなくてよい」という借り手の権利があります。これが期限の利益です。民法136条1項は、期限は債務者の利益のために定めたものと推定すると定めています。

この権利を失うと、残りの全額の返済期日が一度に来ます。民法137条は、債務者が破産手続開始の決定を受けたときなどに期限の利益を主張できないと定めています。消費者金融やカード会社の契約では、法律に任せず、契約書に失う場合を書いています。

喪失の型 内容 契約の書き方の例
当然に失う 書面の通知がなくても、条件を満たした時点で失う 返済を1回でも遅れたとき、支払停止、破産・民事再生の申立て、債務整理の申し出
請求により失う 業者が一括を請求したときに失う 一定期間を定めた書面での催告に応じなかったとき

例えば、エポスカードの会員規約には、キャッシングと1回払いは1回でも遅延したとき、リボ・分割は20日以上の期間を定めて書面で催告しても払わないとき、期限の利益を失うという趣旨の記載があります。同じ規約に、破産や民事再生の申立て、自ら(代理人を含む)債務整理の申し出をしたときに失う、という項目もあります。会社ごとに内容が違うので、自分の契約書で確かめます。

Q2. 契約書のどこを見れば、一括になった理由が分かりますか?

見る箇所は3つです。

  1. 「期限の利益」「期限の利益の喪失」の条項。 どんな場合に失うか、通知が要るかが書かれています。
  2. 「遅延損害金」の条項。 年何%か、残元本の全体にかかるかが書かれています。
  3. 「債務整理」「破産」「支払停止」の条項。 弁護士や司法書士に頼んだだけで失う契約もあります。

貸金業者は、契約を結んだときに、契約年月日、貸付金額、利率、返済方式、遅延損害金の定めなどを書いた書面を渡す義務があります(貸金業法17条)。手元に契約書がなければ、会員サイトに保存された書面を探します。それでも見つからなければ、取引履歴や契約内容は、帳簿の閲覧・謄写を請求して確かめられます(同法19条の2)。債務者本人のほか、弁護士・司法書士が代理で請求することもあります。

届いた一括請求の書面は、次の点を印などで拾います。

  • 差出人(貸金業者か、債権回収会社か、保証会社か)
  • 一括の対象額と内訳(元本・利息・遅延損害金)
  • 一括にした日(期限の利益を失った日)と、払う期限
  • 払込先、連絡先、「法的手続」などの予告の文言

Q3. 一括請求の書面が届いたら、何から始めますか?

流れ図:滞納から一括請求、その後に進む段階
段階 起きること この段階でできること
1 返済日に払えない 遅延損害金が付き、連絡が来る 返済日の変更を相談する
2 督促が続く 電話・書面での請求 払える額と時期を示して話し合う
3 催告(期限つき) 「期限までに払わないと一括」の予告 期限の前に連絡し、書面の期限を記録する
4 期限の利益の喪失 残りの全額が一度に請求される 契約の条項を確かめ、分割の話し合いか債務整理を選ぶ
5 法的手続き 支払督促・訴訟など 期限内に異議・答弁をする

書面が届いた日にすることを、順に並べます。

  1. 書面、封筒、不在票を保管し、受け取った日を記録する
  2. 書面の日付、金額、期限を読み、契約書の条項と照らす
  3. 今月払える額と、毎月払える額を、家計表から出す
  4. 差出人の窓口へ連絡し、請求の内訳を書面で出してもらう
  5. 分割の相談をする(答えは書面か記録の残る方法で)
  6. 払える額が出ない、または複数の借入れがあるなら、債務整理を調べる

業者への連絡は、文例のように、請求を認めたと取られかねない言い方を避けつつ、相談の意思を伝えます。

文例:「〇月〇日付の一括請求の書面を受け取りました。契約番号は〇〇です。請求額の内訳(元本・利息・遅延損害金)と、一括にした日を書面で教えてください。今は一括での支払いが難しいため、毎月〇円からの分割の相談をしたいです。」

分割の相談先としては、カード会社や消費者金融の窓口が公開している案内があります。プロミスは、返済予定日を登録すると予定日まで電話や郵送での連絡をしないと案内しています。アコムは、返済日を登録する機能とチャットでの相談を案内しています。ただし、これらは遅れそうなときの案内で、一括請求の後に分割へ戻れるかは、個別に決まります。

Q4. 一括請求の後、遅延損害金はどうなりますか?

業者の貸付けの遅延損害金は、年20%を超える部分が無効です(利息制限法7条1項)。民法419条は、お金を払う債務が遅れたとき、損害の証明がなくても、不可抗力を理由にしても免れないと定めています。

一括請求の後は、遅延損害金がかかる元本が、遅れた分から残元本の全体へ広がる契約が多くあります。アコムの案内でも、遅延損害金の計算例で、経過日数は期限の利益を失った日の翌日から数えるとされています。何日目からいくらになるかの式と早見表は、借金の延滞金(遅延損害金)とは?上限の利率と増える仕組みで扱っています。

払う前に、請求額の中の遅延損害金の欄が、契約の率と日数で説明がつくかを見ます。

Q5. 払えないとき、どの道がありますか?

比較表:一括請求のあとに選べる道
道 内容 向いている場面 注意
業者との分割の話し合い 毎月の額と開始時期を示して相談 借入れが1〜2社で、収入の見通しがある 応じるかは業者の判断。書面に残す
任意整理 弁護士・司法書士が業者と返済条件を交渉 返済を続ける意思と収入がある 契約によっては、債務整理の申し出そのものが一括の理由になる(Q1の規約の例)。依頼の前に、契約書の条項を確かめる
特定調停 簡易裁判所の調停で返済方法を話し合う 自分で手続きを進められる 申立先は相手方の住所地の簡易裁判所
個人再生 裁判所で返済額を減らし3〜5年で返す 住宅を残したい、総額が大きい 住宅ローン以外の債権総額5,000万円以下
自己破産 裁判所で免責を求める 返済の見通しが立たない 免責されない債権がある。費用と資格制限を確かめる

任意整理で弁護士・司法書士が受任の通知を出すと、貸金業者は、通知のあとに正当な理由なく電話や訪問で本人へ返済を直接要求できなくなります(貸金業法21条1項9号)。この規制は、貸金業ではない債権者(家賃・税金・個人間の貸し借りなど)には当てはまりません。

どの手続きにするかは、借入れの数・総額・収入・財産で変わります。違いは債務整理の種類を比較|任意整理・個人再生・自己破産・特定調停の違いに整理しています。弁護士と認定司法書士で扱える範囲が違う点は債務整理は弁護士と司法書士どっち?140万円の線と選ぶときの確認点で確かめます。依頼先には、費用の総額を書面で示してもらい、面談で事情を聞いてくれるかを見ます。

一括請求の書面に「法的手続」の予告があるときは、次に支払督促や訴状が届く場合があります。届いたら期限が動き出すので、裁判所から督促状が届いたら|支払督促か確かめて2週間以内にすることを開いてください。

Q6. 携帯代や端末代を滞納したときの一括請求は、どう違いますか?

携帯電話の請求は、通信料金と、端末代金の分割払いが別の請求になっていることがあります。利用停止の時期や延滞利息の率など、携帯会社ごとの個別の事情は携帯代を滞納したらどうなる?止まる時期と強制解約・信用情報とドコモの携帯代を滞納したら|利用停止から解約までの流れに任せ、ここでは一括請求に関わる割賦販売法の催告の定めだけを説明します。

端末代金などの分割払いは、割賦販売法の対象になる契約があります。同法は、割賦販売業者が賦払金の遅れを理由に契約を解除したり、支払時期が来ていない分を請求したりするには、20日以上の相当な期間を定めて書面で催告し、その期間内に払われないことが必要だと定めています(同法5条)。カードの分割・リボも、包括信用購入あっせん(30条の2の4)や個別信用購入あっせん(35条の3の17)に同じ定めがあります。この規定に反する特約は無効です。

一方、お金を借りるカードローンやキャッシングは、商品・役務の代金の分割払いではないので、この20日の催告の定めは当てはまりません。消費者金融の一括請求は、契約書の期限の利益の条項が基準になります。携帯の端末代の契約が割賦販売なのか、信販会社のクレジットなのかは、契約書面で確かめます。

一括請求の書面が内容証明郵便で届いたときの読み方は借金の内容証明郵便が届いたら|書いてあることの読み方と対応に、裁判の前に預金や給料が止められたときは仮差押えとは?裁判の前に預金や給料が止められる場合と流れにあります。保証会社が代わりに払った後の請求は代位弁済の通知が届いたら|保証会社から請求される仕組みと対応の記事で扱っています。

よくある質問

Q. 一括請求は、1回遅れただけで来ることがありますか?

契約の条項しだいです。カードローンやキャッシングの契約には、1回でも遅れたら期限の利益を失う、と書いてあるものがあります。ただ、業者が実際にその条項を使うかは別で、督促を重ねてから一括請求にする運用もあります。契約書の条項と、届いた書面の文言を読み分けます。

Q. 一括請求が来た後でも、分割で払わせてもらえますか?

法律上は、業者に分割へ戻す義務はなく、応じるかは業者の判断です。ただ、一括請求の後に分割で話し合う例はあり、毎月払える額と開始時期を示して相談します。応じてもらえない場合や払える額が出ない場合は、債務整理を選ぶ段階に入ります。

Q. 一括請求が来たら、時効はどうなりますか?

書面での請求は、催告として時効の完成を6か月だけ猶予する効果があります。時効が更新されるのは、裁判で権利が確定したときや、借金を認める行為があったときです。時効かどうかは契約の時期や裁判の有無で変わるので、時効の可能性を考える前に、書面の日付を残して専門家へ相談します。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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