個人再生と住宅・車のローン / Q&A

離婚後に住宅ローンが払えないとき|名義と連帯保証の確認

この記事のもくじ
  1. 名義・連帯債務・連帯保証で、請求が来る相手が変わる
  2. 金融機関と元配偶者に話す順番
  3. 払えないときの選択肢
  4. 離婚そのものの借金は別の記事で

離婚後に住宅ローンが払えなくなったとき、**金融機関が請求できるのは、契約書に債務者・連帯債務者・連帯保証人として載っている人です。**夫婦のあいだで「あなたが払う」と決めても、その取り決めは金融機関には通用しません。だから最初にすることは、誰が払うかの話し合いではなく、契約書で自分がどの立場かを確かめることです。この記事では、立場ごとの請求のされ方、話す順番、払えないときの選択肢を、Q&Aの形で整理します。

名義・連帯債務・連帯保証で、請求が来る相手が変わる

住宅ローンの契約書を開き、自分の名前がどの欄にあるかを見ます。立場によって、請求の範囲が違います。

契約書での立場別|請求が来る相手の早見表
契約書での立場 金融機関から見たあなた 請求が来る範囲 根拠
債務者(単独名義) 借りた本人 全額 契約
連帯債務者(収入合算など) 同じ借金を一緒に負う人 一人に対して全部または一部を請求できる 民法436条
連帯保証人 債務者が払わないときに払う人 催告・検索の抗弁がなく、いきなり請求されうる 民法454条
契約書に名前がない 契約の当事者ではない 原則として請求は来ない 契約

連帯債務では、連帯債務者の一人に起きたことは、別段の合意がない限り他の連帯債務者に効力を生じません(民法441条)。「元配偶者が破産したから自分は払わなくてよい」とはならず、自分の分の請求は続きます。

連帯保証人になっている場合は、債務者が払えなくなったことを知らされないまま滞納が進むのが不安です。個人の連帯保証人は、債務者が期限の利益を失ったことを債権者が知った時から2か月以内に、債権者から通知を受けられる決まりがあります(民法458条の3)。通知しなかった期間の遅延損害金は請求できません。また、委託を受けた保証人が請求すれば、債権者は主債務の不履行の有無と残額の情報を提供しなければなりません(民法458条の2)。元配偶者の返済状況が気になるなら、金融機関にこの情報提供を求められます。どちらも2020年4月1日より前に結んだ保証契約には適用されないので、契約日を確かめてください。

契約書が見つからないときは、金融機関に自分の立場を書面で出してもらえないかを聞きます。ペアローンのように、夫婦が別々の契約を結び、お互いが相手の契約の連帯保証人になる商品もあります。商品の仕組みは金融機関ごとに違うので、契約書の「債務者」「連帯債務者」「連帯保証人」の欄を一つずつ読んでください。

金融機関と元配偶者に話す順番

払えなくなりそうな時点で、次の順で動きます。

  1. 契約書と返済状況をそろえる:金銭消費貸借契約書、保証委託契約書、直近の返済予定表、引き落とし口座の通帳を集めます。
  2. 金融機関に連絡する:遅れる前に相談します。住宅金融支援機構のローンなら、返済期間の延長や一定期間の返済額の減額などの返済方法の変更を、借りている金融機関に申請します。審査があり、希望に添えない場合もあります。
  3. 元配偶者と、支払いの分担を書面にする:誰が毎月いくら払うかを決めたら、書面に残します。金融機関への効力はなくても、夫婦間では払わなかった側に責任を問う根拠になります。
  4. 払えない場合は、売却か、法的な整理かを分ける:後の節で説明します。

財産分与は、婚姻中に築いた財産を夫婦で分ける手続きです。離婚の時から5年を過ぎると家庭裁判所に請求できなくなります(民法768条2項)。この5年は、2026年4月1日以後に離婚した場合の期間で、それより前に離婚した場合は従前の2年のままです。ローンつきの家をどちらが取るかは財産分与の中で話し合いますが、分与で決めた内容は金融機関に対する返済義務を動かしません。

金融機関に、離婚で債務者を替えたい、連帯保証を外したいと相談する場合は、債権者の承諾が欠かせません。引受人が債務を負い、元の債務者が債務を免れる免責的債務引受は、債権者と引受人の契約か、債務者と引受人の契約に債権者が承諾する形でできます(民法472条)。金融機関が応じる条件は、収入や信用情報、担保の価値などから審査されます。

払えないときの選択肢

払えないと分かった時点の選択肢を、整理します。

選択肢 向いている状況 注意点
返済条件の変更 収入が一時的に減っただけで、続けられる見込みがある 総返済額が増えることがある。審査がある
家の売却(任意売却を含む) 家に住み続けない。売却代金でローンを減らしたい 売却代金がローン残高に届かない分は借金として残る。債権者の承諾が必要
個人再生の住宅資金特別条項 家に住み続けたい。ほかの借金も重い 住宅の要件がある。代位弁済から6か月の期限がある
自己破産 返済の見込みが立たない 持ち家は原則として処分される

個人再生の住宅資金特別条項が使えるのは、再生債務者が所有し、自己の居住の用に供する建物のローンです(民事再生法196条1号)。名義人が家を出て元配偶者だけが住んでいる場合は、「自己の居住の用に供する」に当たるかが問題になりえます。当てはまるかは個別の事情で変わるので、弁護士に家の使い方を伝えて確かめてもらってください。

保証会社が代位弁済した日から6か月を過ぎると、住宅資金特別条項は定められなくなります(民事再生法198条2項)。名義人でも保証人でも、保証会社からの通知が届いたら日付を記録してください。競売までの流れは住宅ローンが払えないと競売に?滞納からの流れと任意売却の時期、選択肢の全体図は住宅ローンが払えないときの選択肢、住宅ローンを払い続ける再生の特則は個人再生で住宅ローンを払い続ける特則に書いてあります。

離婚そのものの借金は別の記事で

この記事は、住宅ローンの名義と請求の相手に絞っています。ほかに、離婚のときに夫婦の借金をどう分けるか、財産分与で借金が考慮されるかは、離婚するとき借金はどうなる?財産分与と夫婦の借金の分け方で扱っています。慰謝料や養育費の金額は、この記事では扱いません。

相談先に迷う場合は、借金の相談窓口はどこ?から、自分の状況に近い窓口を選んでください。

文例:「離婚後の住宅ローンについて相談したいです。契約書では私が連帯保証人になっており、元配偶者の返済が遅れています。残高と延滞の状況を教えてもらえますか。」

次の記事の車のローンが払えないときどうなる?引き上げの流れと相談先では、家と並んで負担になりやすい、車のローンの扱いを説明します。

よくある質問

Q. 元配偶者が「自分が払う」と約束したのに払わないとき、私に請求が来ますか?

金融機関から見て債務者・連帯債務者・連帯保証人のどれかに自分が入っているなら、夫婦の間の約束とは関係なく請求が来ます。債務者を替えるには、債権者と引受人の契約、または債務者と引受人の契約に債権者が承諾する形が必要です(民法472条)。離婚協議書だけでは足りません。

Q. 離婚後に連帯保証人を外してもらうことはできますか?

外せるかは金融機関の判断です。保証人を別の人に替える、ローンを借り換えて新しい契約にする、といった形が考えられますが、いずれも審査があり、希望どおりにならないこともあります。まず契約書の名義と保証の欄を確かめ、金融機関に相談してください。

Q. 家に住んでいない名義人でも、住宅ローンを払い続けないといけませんか?

住んでいるかどうかは、契約上の返済義務を左右しません。名義人(債務者)は、家を出ても契約どおり返済する立場のままです。家に住まない側が払い続けるのか、売却するのかは、離婚の話し合いの中で金融機関の承諾も得ながら決める事柄です。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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