債務整理の全体と選び方 / Q&A

債務整理後に教育ローンは組める?子どもの進学費用の準備の仕方

この記事のもくじ
  1. 教育ローンが難しくなる理由と、記録が残る期間
  2. 借りる前に調べる「返さなくてよい」支援
  3. 子ども名義の奨学金と、保証の選び方
  4. 社会福祉協議会の教育支援資金と、国の教育ローンの条件
  5. 債務整理中・後の家庭が進学費用を準備する順番

債務整理をした後、信用情報機関に記録が残っている間は、銀行などの教育ローンの審査でその記録を見られます。国の教育ローンも、申込みの際に信用情報機関へ照会する仕組みです。そのため進学費用は「借りられるか」から考えるより、授業料の減免や返さなくてよい給付奨学金、子ども本人が申し込む奨学金、社会福祉協議会の貸付など、ほかの手段を先に確かめる順番が現実的です。ここでは、記録が残る期間の確かめ方と、手段ごとの条件を公式の情報で整理します。

教育ローンが難しくなる理由と、記録が残る期間

教育ローンも、お金を貸す側が返済の見通しを審査するローンです。日本政策金融公庫の国の教育ローンでは、FAQで審査基準を「勤務(営業)の状況、収入(所得)の状況、お借入の状況、住宅ローンや公共料金の返済・支払の状況などから、総合的に判断」と説明しています。さらに申込みの同意事項では、公庫が加盟する信用情報機関として株式会社シー・アイ・シー(CIC)と全国銀行個人信用情報センター(KSC)を挙げ(提携先として JICC も記載)、照会した情報を返済能力の調査に使うとしています。

債務整理の記録が残る期間は、信用情報機関ごとに決まっています。機関別の年数は債務整理の後の生活はどうなる?変わることと変わらないことの表にまとめています。

ここで大事なのは、起点が「手続きをした日」とは限らない点です。たとえば任意整理で和解した後に分割で返している間は、契約が続いているので記録も残り、完済して契約が終わってから5年が数えられます。自分の記録がいつまで残るかは、開示した報告書で確かめるのがいちばん早い方法です。CIC の報告書には「保有期限」の欄があります。

手続き別の年数の早見表はブラックリストの期間の早見表|延滞・債務整理・破産ごとの年数、開示の申込み方は信用情報の開示のやり方|CIC・JICC・KSCの申込み方法と手数料にあります。手続き後の生活で変わることの全体は債務整理の後の生活はどうなる?変わることと変わらないことで確かめられます。

借りる前に調べる「返さなくてよい」支援

子どもの進学費用で最初に調べたいのは、返済の負担が残らない支援です。ローンのように返済能力を審査するものではなく、世帯の収入の基準などで対象かどうかが決まる仕組みです。

大学・短大・高専・専門学校:高等教育の修学支援新制度 文部科学省の制度で、授業料・入学金の免除または減額と、返還を要しない給付型奨学金を組み合わせて進学を支える仕組みです。授業料・入学金の減免は大学など(国や自治体の確認を受けた学校)が、給付奨学金の支給は日本学生支援機構(JASSO)が行います。令和6年度から多子世帯(扶養する子供が3人以上いる世帯)などの中間層へ対象が広がり、令和7年度からは多子世帯の学生について、所得制限なく国が定める一定額まで授業料・入学金が減免されています。JASSO のページには、収入の基準に当たるかのおおよその目安を確かめられる進学資金シミュレーターがあります。

高校:高等学校等就学支援金 高校の授業料支援制度は法改正(令和8年3月31日成立、4月1日施行)で所得制限が撤廃されました。受けるには申請手続きが要り、学校からの案内に沿って進めます。授業料以外の支援として高校生等奨学給付金の制度もあり、文部科学省の同じページから案内をたどれます。

このほか、都道府県・市区町村や大学が独自に設けている奨学金もあります。JASSO のサイトに「大学・地方公共団体等が行う奨学金制度」の案内があるので、進学先の候補と住んでいる自治体の名前で探します。

進学費用の手段を調べる順番
  1. 返さなくてよい支援:授業料・入学金の減免、給付奨学金、高校の就学支援金・奨学給付金、自治体・大学の給付型の奨学金
  2. 子ども本人が申し込む貸与奨学金(JASSO。保証は人的保証か機関保証を選ぶ)
  3. 低所得世帯向けの無利子の公的な貸付(社会福祉協議会の教育支援資金)
  4. 親が借りる教育ローン(国の教育ローン・民間)。信用情報の記録と、いまの返済との両立を確かめてから

子ども名義の奨学金と、保証の選び方

JASSO の貸与奨学金は、借りて返すのは子ども本人です。親が債務整理をしていても、保証の選び方で申し込める形があります。

人的保証では、連帯保証人(原則として父母)と保証人(原則として4親等以内の親族で、本人・連帯保証人と別生計の人)を立てます。JASSO が示す条件には、連帯保証人・保証人のどちらにも「債務整理中(破産等)でないこと」が入っています。条件に合う親族がいないときは、機関保証を選べます。機関保証では公益財団法人日本国際教育支援協会が保証し、保証料は毎月の貸与額から差し引かれます。保証料を払っても、返す義務は本人に残ります。

保証の方法 立てる人 親が債務整理中のとき 費用
人的保証 連帯保証人と保証人 その親は連帯保証人・保証人の条件に合わない 保証人を頼める親族がいることが前提(機関保証の保証料にあたる差し引きは、人的保証のページに記載がない)
機関保証 立てない(保証機関が保証) 保証人を立てずに申し込める 毎月の貸与額から保証料を差し引く

子ども名義で借りることは、卒業後に子どもが返していくことでもあります。月々の返還額や返せないときの制度は、申し込む前に家族で奨学金の返済ガイド|月いくら・いつまで・返せないときの制度を見て話し合っておくと、借りすぎを防げます。

子どもへの伝え方の例:「お父さんは前に借金の整理をしたから、いまは教育ローンを借りにくい。だから学費は、まず返さなくていい支援を一緒に調べたい。足りない分を奨学金で借りるなら、卒業後に月いくら返すことになるかも一緒に計算しよう。」

社会福祉協議会の教育支援資金と、国の教育ローンの条件

教育支援資金(生活福祉資金貸付制度) 低所得世帯の子どもが高校・高専・短大・大学に通うための公的な貸付で、相談先は住んでいる地域の社会福祉協議会です。厚生労働省の条件一覧では、次のとおりです。

種類 使いみち 上限 利子・保証人
教育支援費 在学中に必要な経費 月額:高校3.5万円、高専6万円、短大6万円、大学6.5万円(特に必要と認める場合は各上限の1.5倍まで) 無利子・保証人不要(世帯内で連帯借受人が必要)
就学支度費 入学の際に必要な経費 50万円以内 同上

返済は卒業後6か月以内の据置期間を経て、20年以内です。貸付けの判断では、これらの条件に加えて返済できる見込み(償還可能性)が考えられると一覧に書かれています。家計全体の立て直しも一緒に相談したいときは、生活費が足りないときの公的な相談先|家計改善支援と住居確保給付金の窓口も使えます。

国の教育ローン(日本政策金融公庫) 借りる場合の主な条件は次のとおりです(公庫のページと FAQ による)。

  • 融資額:子ども1人につき上限350万円(一定の要件に当たる場合や海外留学は450万円)
  • 金利:固定金利で年4.05%(令和8年7月時点)
  • 返済期間:20年以内。在学中は元金の返済を据え置き、利息だけを払う形も選べる
  • 申込人:入学・在学する子の保護者で、子どもの人数に応じた世帯年収(所得)の上限がある。親族などでも利用できる場合がある
  • 保証:公益財団法人教育資金融資保証基金の保証(保証料を融資金から差し引く)か、4親等以内の親族の連帯保証人
  • 時期:受験前でも申し込め、必要な時期の2〜3か月前の申込みが目安。審査に10日前後、入金までさらに10日前後かかる

申込人になった人が返済の責任を負います。記録がある人の代わりにほかの家族が申し込む場合も、その人が返していける額かを家計表で確かめてからにします。

債務整理中・後の家庭が進学費用を準備する順番

進学が近づいてから慌てないように、時期ごとにすることを並べておきます。

  1. 進学の2〜3年前:自分の信用情報を開示し、記録がいつまで残るかを確かめる。家計表を作り、毎月いくら教育費に回せるかを出す。
  2. 進学の1年半〜1年前:修学支援新制度・給付奨学金の基準に当たるかを、JASSO の進学資金シミュレーターで見ておく。高校在学中に学校を通じて申し込む方法があるので、学校の奨学金の担当に時期を聞く。
  3. 進学先が決まる前後:自治体・大学の奨学金、社会福祉協議会の教育支援資金を調べる。貸与奨学金を借りるなら、保証の方法(人的保証か機関保証か)を決める。
  4. 入学金・前期の授業料の支払い前:奨学金や減免の手続き・振込みの時期と、入学前に払うお金の時期がずれないかを確かめる。足りない分だけを教育ローンで考える。

任意整理の返済中など、手続きの途中で新しく借りることを考えるときは、借りる前に依頼先へ伝えます。和解した返済が続けられなくなると、手続きそのものが崩れるおそれがあるためです。借入の考え方は債務整理中や後に借入できる?借りられない期間と借りる前の注意点にまとめています。

進学費用の悩みの中に、家族や知人から借りたお金の扱いが絡むこともあります。その場合は個人間の借金も債務整理の対象?家族や友人への借金の扱いもあわせて読んでください。

よくある質問

Q. 任意整理の返済中でも、国の教育ローンに申し込めますか?

申込み自体はできますが、日本政策金融公庫は審査でお借入の状況や返済・支払の状況を見て総合的に判断し、申込みの際には信用情報機関にも照会します。和解した返済に加えて毎月返せるかの見通しも問われるので、申し込む前に依頼先の弁護士・司法書士に伝え、返済の負担がない授業料減免や給付奨学金を先に調べます。

Q. 自己破産した親は、子どもの奨学金の連帯保証人になれますか?

日本学生支援機構の人的保証では、連帯保証人・保証人の条件に「債務整理中(破産等)でないこと」があります。条件に合う人を立てられないときは、保証機関が保証する機関保証を選べます。機関保証の保証料は毎月の貸与額から差し引かれます。

Q. 国の教育ローンの金利はどのくらいですか?

日本政策金融公庫のページでは、固定金利で年4.05%(令和8年7月時点)と示されています。金利は年2回、5月と11月の1日前後に見直され、借りた時点の金利が完済まで変わらない仕組みです。申し込む時期の金利を公庫のページで確かめてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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