個人再生の弁護士費用|内訳と分割払い・見積書の確かめ方
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個人再生の弁護士費用は、全国共通の料金表がなく、事務所ごとの報酬基準で決まります。日弁連の規程が求めているのは、報酬基準を事務所に備えること、受任の前に報酬と費用を説明すること、契約書に支払時期と解約時の清算方法を書くことです。つまり、見積書と契約書の中身を自分で読んで、総額を出すことが確かめの中心になります。この記事では、見積書に出てくる項目の意味、住宅資金特別条項で変わる点、分割払いの注意点、総額を確かめる手順を示します。
見積書に出てくる項目の意味
弁護士費用は、いくつかの項目の合計です。名前は事務所で違いますが、意味は次のように整理できます。
| 項目 | 意味 | 確かめること |
|---|---|---|
| 着手金 | 結果の成功・不成功にかかわらず、受任のときに受ける委任事務の対価(債務整理事件処理の規律を定める規程2条8号) | 額と払う時期。認可されなかった場合も戻らないのか |
| 報酬金 | 成功の程度に応じて受ける対価(同条9号) | 何を成功とするのか(認可決定か、確定か)。額と払う時期 |
| 加算 | 住宅資金特別条項を使う、債権者が増えるなどの条件で足される額 | どの条件で、いくら足されるのか |
| 実費 | 裁判所に納める費用、書類の取得費、郵送費など | 弁護士費用に含まれるのか、別にかかるのか |
裁判所に納める分は、弁護士の報酬ではありません。印紙・官報公告費用・郵便切手・個人再生委員の費用の中身は個人再生の費用はいくら?裁判所の費用・弁護士費用・再生委員で数えています。見積書では、裁判所に納める分が、弁護士費用の外の金額として書かれているかを見ます。
日弁連の規程で、報酬の上限が具体的に決まっているのは、任意整理事件です(9条〜15条)。個人再生には、金額の上限を定めた条文は書かれていません。上限がないからこそ、見積書で総額を比べる必要があります。
住宅資金特別条項があると、見積りが変わる理由
住宅ローンを払い続けて家を残す住宅資金特別条項は、日弁連の記録調査(2023年)で、個人再生事件の41.05%が利用していました。使うかどうかで、依頼先の作業が増えます。
東京地方裁判所の案内で、書類の違いが見えます。住宅や敷地などの不動産がある場合は、共同担保目録つきの登記事項証明書(発行から3か月以内の原本)が要ります。住宅資金貸付債権の一部弁済の許可を申し立てる場合は、許可申立書の提出も必要です。条文の側でも、特別条項を定めた計画案が出ると、裁判所は住宅ローンの債権者の意見を聴きます(民事再生法201条2項)。保証会社が代わりに払ってから6か月を過ぎると使えなくなる(198条2項)ため、時期の確認も作業に入ります。
見積書では、次の点を確かめます。
- 住宅資金特別条項を使う場合と使わない場合の、2通りの総額が分かるか
- 報酬表に「住宅資金特別条項」の項目や加算があるか
- 住宅ローンの債権者(銀行・保証会社)とのやり取りが、費用に含まれるのか
家を残すかどうかの判断材料は個人再生で住宅ローンを払い続ける特則|家を残す条件と流れにあります。
分割払い・積立の仕組みと、裁判所への積立の重なり
弁護士費用を一括で払えないときは、受任の後に毎月積み立てて、申立ての準備が整う頃までに着手金にあてる形があります。何回で払うか、積立の間に何を進めるかは、事務所と契約書で決まります。
| 時期 | 払うもの | 注意点 |
|---|---|---|
| 受任〜申立て | 弁護士費用の積立(分割払い) | 弁護士が書面で受任を通知すると、貸金業者が正当な理由なく本人に返済を求めることは禁じられる(貸金業法21条1項9号) |
| 申立て〜認可の確定 | 裁判所の積立(履行テスト)と、弁護士費用の残り | 東京地裁は、計画弁済予定額を毎月、個人再生委員の口座に振り込むよう求める |
| 認可の確定後 | 再生計画で決まった返済 | 3か月に1回以上の分割で、原則3年(民事再生法229条2項) |
重なる時期の家計は、早めに数字にしておきます。たとえば、これまで返済に回していた月8万円のうち5万円を積立に回すなら、12か月で60万円です(仮の数字を使った筆者の計算)。申立ての後は、これに加えて履行テストの積立が毎月かかります。積立が続かないと、手続きの進行に響くおそれがあります。
旭川地方裁判所の案内(2020年9月版)も、認可が確定するまでの間、返済予定総額を36で割った額を毎月積み立てるよう求めています。止めている間の借入れの扱いは債務整理の受任通知とは?督促が止まる仕組みと止まらない支払いで確かめられます。
見積書で総額を確かめる手順
日弁連の規程は、弁護士に、受任を予定する弁護士自身が債務者と面談して、債務の内容や収入・資産の状況を聴くことを求めています。そのうえで、事件処理の方針と見通し、弁護士報酬とその他の費用、手続きの不利益を説明します(債務整理事件処理の規律を定める規程3条・4条)。この機会を使って、次の順で総額を出します。
- 手続きの前提を決める。小規模個人再生か給与所得者等再生か、住宅資金特別条項を使うかを伝える。
- 着手金・報酬金・加算・実費を、項目ごとに書面にしてもらう(報酬見積書は、申し出があれば作成と交付に努めることになっている。弁護士の報酬に関する規程4条)。
- 裁判所に納める費用と個人再生委員の費用が、見積りの中か外かを確かめる。
- 税込か税抜かをそろえる。
- 分割・積立にする場合は、回数・期間・払えなくなったときの扱いを書面で確かめる。
- 認可されなかった場合や途中で解約した場合の清算方法を、契約書で読む(弁護士の報酬に関する規程5条4項)。
- 総額を、最短で終わる場合と、期間が延びた場合で見る。
依頼するときの聞き方は、次のようにします。
文例:「個人再生を前提に、住宅ローンを払い続ける場合と、そうでない場合の2通りで、着手金・報酬金・加算・実費・裁判所に納める費用・個人再生委員の費用を分けた総額の見積書をください。分割払いなら、回数と、認可されなかった場合の清算方法も書面で知りたいです。」
見積書の項目を債務整理全体で確かめる表は債務整理の料金の見積書で確かめる項目|総額・追加費用・返金の条件にもあります。
「安い」「着手金0円」の見方と、依頼先を決める前に
「個人再生 安い」で探すときは、金額の低さではなく、含まれる範囲を比べます。着手金が安くても、報酬金や加算で総額が上がる場合があります。着手金0円という表示は、総額の条件が見えにくくなりがちなので、書面の見積りで確かめます。弁護士は、債務整理の広告を出すとき、報酬の基準を表示するよう努めることになっています(規程18条1項)。
費用が心配なときは、弁護士に法律扶助制度を説明してもらえます(債務整理事件処理の規律を定める規程6条)。法テラスの立替えの条件と流れは借金が返せないとき法テラスでできること|無料相談と費用立替の流れで見られます。
弁護士に依頼するなら、面談で見通しと費用を説明してもらえるか、見積書の項目が上の表と同じ形で分かれているかを確かめます。
依頼から申立てまでの期間と、認可までの段階は個人再生の流れ|申立てから認可決定・返済開始までの期間に分けて書いています。
よくある質問
Q. 個人再生の弁護士費用に、全国共通の上限はありますか?
日弁連の規程が、報酬の上限を具体的に定めているのは任意整理事件です(債務整理事件処理の規律を定める規程9条〜15条)。個人再生の報酬は、適正かつ妥当な額という一般の定めがあるだけで、金額の上限は書かれていません。事務所の報酬基準と見積書で総額を確かめるのが最も確かな方法です。
Q. 弁護士費用は、いつまでに全額払う必要がありますか?
払う時期は事務所の契約で違います。弁護士は、委任契約書に報酬の種類・金額・算定方法・支払時期と、契約を途中で解除できる旨、途中で終わった場合の清算方法を書かなければなりません(弁護士の報酬に関する規程5条4項)。申立ての前に払い終える契約か、認可の後まで続く契約かは、契約書で確かめます。
Q. 着手金0円の事務所なら、総額も安くなりますか?
着手金が0円でも、報酬金や加算、実費が高ければ総額は増えます。比べるのは、自分の手続き(住宅資金特別条項の有無)と債権者の数で出した総額です。広告の額と実際の条件が違わないかは、見積書と契約書で確かめます。
出典・参考にした公的な情報
- 債務整理事件処理の規律を定める規程(日本弁護士連合会)(日本弁護士連合会)
- 弁護士の報酬に関する規程(日本弁護士連合会)(日本弁護士連合会)
- 民事再生法 第196条〜第202条・第223条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 個人再生手続の申立てに当たって(東京地方裁判所)令和7年11月1日以降適用(東京地方裁判所)
- よくある質問 個人再生手続について(東京地方裁判所民事第20部)(東京地方裁判所)
- 2023年破産事件及び個人再生事件記録調査(日本弁護士連合会 消費者問題対策委員会)(日本弁護士連合会)
- 貸金業法 第21条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民事再生手続について(旭川地方裁判所)2020年9月版(旭川地方裁判所)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。