個人再生と住宅・車のローン / 手順

個人再生の流れ|申立てから認可決定・返済開始までの期間

この記事のもくじ
  1. 流れの全体|9つの段階
  2. 申立てまで|相談・受任・書類
  3. 申立てから開始決定まで|平均40.0日
  4. 開始決定から認可決定まで|平均113.2日
  5. 認可決定のあと|確定・返済開始・終結
  6. 期間が延びる原因と、短くするための準備

個人再生は、相談から返済開始まで、おおよそ「準備→申立て→開始決定→債権の調査→再生計画案→決議または意見聴取→認可→確定→返済」の順に進みます。日弁連の記録調査(2023年)では、申立てから開始決定までが平均40.0日、開始決定から認可決定までが平均113.2日で、合計の平均は153.2日(約5か月)でした。この記事では、各段階で何が起きて、本人が何をするかを、東京地方裁判所の案内と条文で時系列に示します。

流れの全体|9つの段階

時系列図:個人再生の9つの段階と、本人がすること
段階 起きること 本人がすること
1 相談 借金・収入・財産・住宅の状況を伝える 借入先と残高の一覧、収入の資料を持っていく
2 受任 依頼先が引き受け、貸金業者へ受任を通知する 委任契約と費用の払い方を決める
3 申立て 住所地を管轄する地方裁判所に書類を出す 書類をそろえ、内容を確認する
4 開始決定 裁判所が手続きの開始を決め、官報に公告する 以後、再生計画によらない返済をしない
5 債権届出・認否 債権者が届出、債務者が一覧表と照らす 異議があれば期間内に述べる
6 再生計画案 返す額と期間を決めた計画案を提出する 期限内に出す
7 書面決議・意見聴取 債権者が書面で回答する(小規模)/意見を述べる(給与所得者等) 結果を待つ
8 認可決定 裁判所が計画を認める。官報に公告される 確定を待つ
9 返済開始 確定の後、計画どおりに返す 3年(最長5年)の間、返す

東京地方裁判所の案内も、基本の流れを「申立て→開始決定→債権届出(債権調査)→再生計画案の提出→再生計画案の決議又は意見聴取→再生計画の認可→再生計画に基づいた弁済」と示しています。給与所得者等再生では、7の段階が債権者の意見を聴く形になり、決議はありません(民事再生法240条)。

申立てまで|相談・受任・書類

相談と受任は、依頼先との契約の段階です。弁護士や司法書士が書面で受任を通知すると、貸金業者が正当な理由なく本人に電話や訪問で返済を求めることは禁じられます(貸金業法21条1項9号)。ここから申立てまでの準備の期間は、書類の集まり方で変わります。日弁連の調査の期間には、この準備の期間が入っていません。受任の通知を出すと銀行の口座が止まることがあるため、給料の振込先などの整理は個人再生で口座凍結される?凍結の時期と解除までの流れで先に確かめておきます。

準備の中心は、書類です。東京地方裁判所の案内(令和7年11月1日以降の申立て)で、次のものが挙がっています。

書類 期限・範囲
申立書、収入一覧及び主要財産一覧、債権者一覧表、委任状 債権者一覧表は債権者の人数分の副本も必要
住民票の写し マイナンバー記載なし、発行から6か月以内の原本
小規模個人再生の収入資料 確定申告書・源泉徴収票・課税証明書などの直近1年分、給与明細書の直近2か月分
給与所得者等再生の収入資料 直近2年分、給与明細書の直近2か月分、可処分所得額算出シート
不動産の登記事項証明書 発行から3か月以内の原本、共同担保目録つき
財産目録及び清算価値算出シート、家計全体の状況 家計は直近2か月分

債権者一覧表は、とくに注意します。個人再生では一覧表の内容が債権届出とみなされ、開始後は訂正できないためです(東京地方裁判所の案内)。借入れの漏れ、金額の誤りは、手続きが進まない原因になります。

申立てから開始決定まで|平均40.0日

申立ての後、東京地方裁判所では、全件で個人再生委員が選ばれます。委員は、申立人の財産と収入の状況を調べ、手続きを開始してよいかの意見を述べます。委員が選ばれたら、申立書などの副本を、早く委員に直接送ります。毎月の積立(履行テスト)もここから始まります。

日弁連の記録調査(2023年。申立て事件773件)では、申立てから開始決定までの平均は40.0日でした。分布は、次のとおりです。

申立てから開始決定まで 割合
10日未満 6.47%
10日以上30日未満 36.21%
30日以上45日未満 19.54%
45日以上60日未満 12.50%
60日以上90日未満 14.94%
90日以上135日未満 7.47%
135日以上 2.88%

30日未満が約43%、60日未満が約75%です(筆者の計算)。ほかの裁判所では、委員を選ばない運用もあるため、期間は申立先で違います。

開始決定から認可決定まで|平均113.2日

開始決定があると、裁判所は、債権届出の期限、異議を述べる期間、再生計画案の提出期限を定め、官報に公告します(東京地方裁判所の案内)。この日から、再生債権者への返済は禁じられ(民事再生法85条1項)、借金に基づく強制執行は中止されます(39条1項)。

その後は、次の順に進みます。

  1. 債権の届出と認否。 一覧表に争いのない債権者は、届出をしなくても届出をしたものとして扱われます。申立人は、債権者から届いた届出書を委員に送り、内容を確認して、債権認否一覧表を、異議を述べる期間の初日までに裁判所へ出します。異議があれば、その期間内に述べます。
  2. 再生計画案の作成と提出。 最低弁済額と清算価値(給与所得者等再生は可処分所得も)を確認し、返す額と期間を決めます。提出が期限に遅れると、手続きは廃止になります。債権者の数だけ副本と宛名ラベルを出します。
  3. 決議または意見聴取。 小規模個人再生では、計画案に同意しない債権者が、書面で、期限までに回答します。反対が頭数の半数以上か、額の2分の1を超えると廃止です(230条6項・237条1項)。
  4. 認可決定。 裁判所が、委員の意見を踏まえて認可を決め、官報に公告します。

日弁連の調査では、開始決定から認可決定までは、4か月未満が65.57%、4か月以上5か月未満が27.26%、5か月以上6か月未満が5.88%、6か月以上が1.29%でした。債権者が債権の額に異議を述べて、再生債権の評価の申立てがされると(227条1項)、個人再生委員の選任が必要になり、期間が延びます。

認可決定のあと|確定・返済開始・終結

認可の決定は、官報に公告されます。東京地方裁判所は、決定日から1か月程度たってから、確定したかどうかを問い合わせるよう案内しています。小規模個人再生は、確定で手続きが終結します(233条)。この日から、再生計画のとおりに、再生債務者自身が返していきます。

返す期間は、確定の日から原則3年で、特別の事情があれば5年までのばせます。分割は、3か月に1回以上の割合で払います(229条2項)。小規模個人再生では確定で手続が終結するため(233条)、確定後の返済は本人が計画どおりに続けます。払えなくなりそうなときの手は、個人再生が失敗する場合|却下・不認可・取消しになる原因の表で確かめられます。

申立ての後から確定までの積立の目的と扱いは、個人再生の履行テストとは?積立の目的と払えなかった場合にあります。

期間が延びる原因と、短くするための準備

日弁連の調査の平均は、あくまで全国の合計です。次の事情があると、延びる方向に働きます。

  • 債権者一覧表の誤りや、書類の不足で、補正が必要になる
  • 債権者が債権の額に異議を述べ、評価の申立てがされる(227条)
  • 住宅資金特別条項を使い、住宅ローンの債権者の意見を聴く(201条2項)
  • 個人再生委員の調査や、計画案の修正に時間がかかる

準備で短くできるのは、書類と一覧表です。借入先を全部、取引明細や請求書でさかのぼって集め、残高を依頼先に出します。依頼先を決めるときは、費用と、申立てまでの見通しを一緒に聞きます。

個人再生の依頼先として、弁護士に頼む選択肢があります。面談で、申立先の裁判所での進み方と、見積書の総額を確かめます。

費用の中身は個人再生の弁護士費用|内訳と分割払い・見積書の確かめ方、全体の仕組みは個人再生とは?いくら減るかの決まり方と家を残す条件・流れにあります。

よくある質問

Q. 個人再生は、申立てから何か月で終わりますか?

日弁連の記録調査(2023年)では、申立てから開始決定まで平均40.0日、開始決定から認可決定まで平均113.2日で、合計は平均153.2日(約5か月)でした。認可決定が確定するまでには、さらに官報公告の後の期間がかかります。申立前の準備の期間は、この数字に入っていません。

Q. 個人再生の手続き中、督促や差押えは止まりますか?

弁護士や司法書士が書面で受任を通知した後は、貸金業者が正当な理由なく本人に返済を求めることは禁じられます(貸金業法21条1項9号)。差押えなどの強制執行は、再生手続の開始決定があると中止され(民事再生法39条1項)、認可が確定すると効力を失います(184条)。申立てだけでは自動的に止まりません。

Q. 認可決定が出たら、すぐに返済を始めるのですか?

認可決定の後、確定を待ちます。東京地方裁判所は、確定したかどうかは決定が官報に載ってから1か月程度後に問い合わせるよう案内しています。返済の期間は、認可決定が確定した日から数えます(民事再生法229条2項)。最初の返済日と額は、認可された再生計画に書かれています。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

個人再生の弁護士費用|内訳と分割払い・見積書の確かめ方

個人再生の履行テストとは?積立の目的と払えなかった場合

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