個人再生の費用はいくら?裁判所の費用・弁護士費用・再生委員
この記事のもくじ
個人再生の費用は、「裁判所に納める分」「個人再生委員の分」「弁護士費用」の3つに分けて数えます。裁判所に納める分は、東京地方裁判所の公表額で、債権者5社なら約2.9万円です(筆者の計算)。個人再生委員の分と弁護士費用は、裁判所と事務所ごとに違うため、全国の相場を1つの金額で言い切れません。この記事では、公表されている額で表をつくり、申立先の費用を自分で確かめる手順を示します。
費用は3つに分かれる|返済額とは別の資金
個人再生で用意するお金は、費用のほかに、再生計画で返す総額があります。費用と返済額は別のものなので、分けて数えます。
| 項目 | 払う相手 | 額の決まり方 | この記事の根拠 |
|---|---|---|---|
| 申立手数料(収入印紙) | 裁判所 | 全国共通で1万円 | 民事訴訟費用等に関する法律 別表第一 |
| 官報公告費用・郵便切手 | 裁判所 | 裁判所ごと(東京地裁は公表額あり) | 東京地裁の案内 |
| 個人再生委員の費用 | 裁判所(予納) | 選ばれるかも額も裁判所で違う | 民事再生法223条 |
| 弁護士費用 | 依頼先 | 事務所の報酬基準と契約書 | 日弁連の規程 |
| 再生計画で返す総額 | 債権者 | 最低弁済額と清算価値で決まる | 民事再生法231条 |
返す総額の決まり方は個人再生の最低弁済額の早見表|借金額ごとの返済総額と計算の仕方にあります。ここでは、費用の3つに絞って見ていきます。
裁判所に納める費用|東京地裁の公表額で計算する
申立手数料は、再生手続開始の申立てで1万円です(民事訴訟費用等に関する法律 別表第一)。収入印紙で納めます。裁判所の説明では、このほかに連絡用の郵便料と、官報に公告を載せる費用がかかります。
東京地方裁判所の案内(令和7年11月1日以降の申立て)では、官報公告費用が1万5,120円(中目黒庁舎の窓口で現金納付する場合は1万6,000円)です。予納郵便切手は、1,990円分と110円切手3枚が基本で、さらに140円切手2枚に再生債権者の数をかけた分がかかります。宛名ラベルも提出します。
東京地裁の額で合計すると、次の式になります(筆者の計算)。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 収入印紙 | 10,000円 |
| 官報公告費用 | 15,120円 |
| 予納郵便切手(基本分) | 2,320円(1,990円+330円) |
| 予納郵便切手(債権者の数に応じた分) | 280円×債権者の数 |
| 合計 | 27,440円+280円×債権者の数 |
債権者が5社なら28,840円、10社なら30,240円、15社なら31,640円です。ここに、後で述べる個人再生委員の費用と弁護士費用が加わります。これは東京地方裁判所の公表額なので、ほかの地方裁判所では、郵便切手の組み合わせや官報公告費用が違います。
個人再生委員の費用|選ばれるかと額は裁判所で違う
個人再生委員は、裁判所の補助機関で、再生債務者の財産と収入の調査、再生計画案を作るための勧告などを担当します(民事再生法223条2項)。選任は、裁判所が必要と認めるときに行われます(同条1項)。委員は、費用の前払と、裁判所が定める報酬を受け取れます(同条9項)。
選任の運用は、裁判所で大きく違います。日弁連の記録調査(2023年。2022年6月〜11月に申し立てられた773件)では、全職務で委員が選ばれた事件は17.21%、選ばれなかった事件は74.77%でした。ただし、水戸・前橋・東京・新潟・長崎・熊本では、報告された事件の全件(不明・記載漏れを除く)で委員が選ばれています。
| 裁判所 | 公表されている運用 | 費用についての記載 |
|---|---|---|
| 東京地方裁判所 | 申立書を審査したうえで全件につき選任する。毎月の積立(履行テスト)は、委員の口座に振り込む | 申立時の案内に、委員への分割予納金として、計画弁済予定額を指定期限までに振り込むとある。報酬額そのものは、筆者が開いた2つの案内には載っていない |
| 旭川地方裁判所 | 弁護士に依頼せず本人が申し立てた場合に選任する。債権の評価の申立てがあれば、代理人の有無にかかわらず選任することになっている | 委員を選任する場合は、印紙・郵便切手・官報公告費用とは別に、委員の費用が必要。額は申立先で確かめる |
旭川地方裁判所の案内は、PDFの作成時期がファイル名の「202009」しか手がかりのない資料のため、ここでは運用だけを紹介し、額は載せません。委員の費用の額は、申立先の裁判所の最新の案内で確かめます。
弁護士費用|内訳は事務所ごとで、総額は見積書で出す
個人再生の申立ての代理は、弁護士だけが行えます。司法書士は、裁判所に出す書類の作成までです(司法書士法3条1項4号)。弁護士費用の額は、日弁連の規程が「経済的利益、事案の難易、時間及び労力その他の事情に照らして適正かつ妥当なもの」と定めるだけで、全国共通の料金表はありません(弁護士の報酬に関する規程2条)。
そのかわり、弁護士は、報酬の種類・金額・算定方法・支払時期を書いた報酬基準を事務所に備え置く義務があり(同規程3条)、依頼しようとする人から申し出があれば、報酬見積書の作成と交付に努めます(4条)。依頼するときは、報酬と費用の説明を受け、報酬の種類・金額・算定方法・支払時期などを書いた委任契約書を作ります(5条)。
総額の出し方の詳細は個人再生の弁護士費用|内訳と分割払い・見積書の確かめ方に分けて書きました。ここでは、裁判所に納める分と弁護士に払う分を、見積書の中で分けてもらう点だけ押さえてください。
個人再生を弁護士に頼む場合は、依頼先を比べる選択肢もあります。選ぶときは、見積書の総額と、裁判所費用・個人再生委員の費用が含まれるかどうかを確かめます。
申立先の公表資料で、費用を確かめる手順
費用は、申立先の地方裁判所で決まるため、次の順で確かめます。
- 住所地を管轄する地方裁判所を調べる。裁判所の「破産・再生」のページから、申立書提出先一覧を開けます。
- その裁判所のサイトで「個人再生」「申立てに当たって」「個人再生委員」を探す。東京地裁のように、手数料・予納金・郵便切手が1枚にまとまっている裁判所もあります。
- 次の5点を、裁判所名と確認日を付けてメモする。印紙、官報公告費用、郵便切手、個人再生委員を選任する運用、委員への予納金や積立の扱い。
- 公表資料にない点は、依頼先に聞く。担当の弁護士は、申立先の運用を知っています。
裁判所は、中立の立場から、債務整理の申立てに関する相談には応じないと案内しています(裁判所「破産・再生」)。費用の数字の確認と、手続きの見通しの相談は、別のものとして扱います。
費用が足りないときは
弁護士費用の支払いが難しい場合は、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助が選択肢になります。弁護士は、必要かつ相当と認められる場合に、法律扶助制度を説明し、利用できるよう努めることになっています(債務整理事件処理の規律を定める規程6条)。立替えの条件と流れは借金が返せないとき法テラスでできること|無料相談と費用立替の流れで見られます。
費用と、認可後に払う返済総額を合わせた資金の計画は、手続き全体の見通しとあわせて立てます。段階ごとの時期は個人再生の流れ|申立てから認可決定・返済開始までの期間、債務整理全体の費用の見方は債務整理の費用はいくら?手続き別の内訳と見積もりの確かめ方で確かめられます。
よくある質問
Q. 個人再生の費用は、分割で払えますか?
裁判所に納める印紙・予納金・郵便切手は、申立てのときに納めます。弁護士費用は、受任後の分割や積立を認める事務所があり、払う時期などの報酬の定めは、報酬基準と委任契約書に書くものです(弁護士の報酬に関する規程3条・5条)。東京地裁では、個人再生委員への分割予納金として、計画弁済予定額を毎月振り込む運用も案内されています。
Q. 個人再生委員は、毎回選ばれるのですか?
条文では、裁判所が必要があると認めるときに選任できるとされています(民事再生法223条1項)。日弁連の記録調査(2023年)では、全職務で選ばれた事件は17.21%でした。一方、東京地方裁判所は、申立書を審査したうえで全件につき個人再生委員を選任すると案内しています。
Q. 自分で申し立てれば、費用は安くなりますか?
裁判所に納める印紙などは、本人でも弁護士の代理でも同じです。旭川地方裁判所は、弁護士に依頼せずに自分で申し立てた場合に個人再生委員を選任する運用を案内しており、その分の費用が別に要ります。額は申立先の最新の案内で確かめます。書類づくりも難しく、弁護士なしでの手続きは困難と注意されています。
出典・参考にした公的な情報
- 民事再生法 第223条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民事訴訟費用等に関する法律 別表第一(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 個人再生手続の申立てに当たって(東京地方裁判所)令和7年11月1日以降適用(東京地方裁判所)
- よくある質問 個人再生手続について(東京地方裁判所民事第20部)(東京地方裁判所)
- 民事再生手続について(旭川地方裁判所。ファイル名202009)(旭川地方裁判所)
- 2023年破産事件及び個人再生事件記録調査(日本弁護士連合会 消費者問題対策委員会)(日本弁護士連合会)
- 弁護士の報酬に関する規程(日本弁護士連合会)(日本弁護士連合会)
- 債務整理事件処理の規律を定める規程(日本弁護士連合会)(日本弁護士連合会)
- 裁判手続 民事事件Q&A(個人再生手続)(最高裁判所)
- 破産・再生(裁判所。債務整理の相談には応じない旨の案内)(最高裁判所)
- 司法書士法 第3条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。