個人間の借金返済の領収書の書き方|残す項目とテンプレート
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個人間の借金を返したら、受け取った人に**領収書(法律の言葉では「受取証書」)**を書いてもらいます。返す側は、返すのと引き換えに受取証書を求めることができると民法486条に定められているので、頼むのは失礼なことではありません。残す項目は「日付・金額・何の借金の返済か・返した後の残額・受け取った人の署名」の5つが中心で、この記事の下にそのまま使えるテンプレートを置きました。
個人間の借金の領収書は誰が書く?返す側が頼んでよい理由
領収書を書くのは、お金を**受け取った側(貸した人)**です。返した側が自分で「返しました」と書いても、受け取った証拠にはなりにくいからです。民法486条1項は「弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができる」と定めています。2項では、紙の代わりにデータ(電磁的記録)で出してもらうことも求められます。
完済したときには、もう一つ頼めることがあります。借りたときに借用書を書いていれば、全額を返した人はその借用書の返還を求められます(民法487条)。借用書が貸した人の手元に残ったままだと、何年もたってから「まだ返してもらっていない」と言われたときに説明が難しくなります。
家族の間ほど「水くさい」と思われがちですが、記録は貸した側も守ります。国税庁のタックスアンサー(No.4420)は、親子の間の金銭の貸し借りも「真に金銭の貸借であると認められる場合」は贈与にならないとしています。国税庁は判断の材料として借入金の返済能力や返済状況を挙げているので、返した記録が残っていることは、貸し借りの実態を示す材料の一つになります。家族間で貸し借りするときの借用書の作り方は、家族間の借金の注意点と借用書の書き方にまとめています。
頼み方の例:「きちんと返した記録を残しておきたいので、受け取ったら日付と金額と残りの額を書いた紙を1枚もらえる?書く欄はこちらで用意するね」
領収書に残す7つの項目と書き方
個人間の返済の領収書に決まった書式はありません。ただ、後で食い違いが起きやすい点を先回りして書いておくと、記録としての力が上がります。
| 項目 | 書き方の例 | 残す理由 |
|---|---|---|
| 作成日・受け取った日 | 2026年10月23日 | いつ返したかの基準になる |
| 宛名(返した人) | 山田一郎 様 | 誰が返したかを特定する |
| 受け取った金額 | 金30,000円 | 数字の書き換えを防ぐため「金」「円」で挟む |
| 何の返済か | 2026年4月1日に借りた30万円の返済の第6回分として | 借金が複数あるときにどれに当てたかを示す |
| 利息・元本の内訳(利息の約束があるとき) | うち利息500円、元本29,500円 | 何に当てたかで残りが変わる |
| 返済後の残額 | 残額 120,000円 | 「あといくらか」の争いを防ぐ |
| 受け取った人の住所・氏名・押印か署名 | 東京都… 鈴木花子(署名) | 受け取ったのが本人だと示す |
「何の返済か」と「内訳」を書くのには理由があります。同じ人から何回かに分けて借りていて、返した額が全部をなくすのに足りないとき、どの借金に当てるかを指定できるのは、まず返す側です(民法488条1項)。返す側が指定しなければ、受け取る側が受け取る時に指定できます(同条2項)。また、利息や費用も払う約束がある借金で返済が足りないときは、法律上の順序で充当されます(民法489条1項。順序は借金の利息の計算方法にあります)。利息の約束がある借金で「元本を返したつもりが利息に回っていた」とならないよう、内訳と残額をその場で書いてもらいます。当事者どうしで充当の順序を合意していれば、その合意が先に使われます(民法490条)。
収入印紙は、営業に関しない金銭の受取書は非課税と国税庁が案内しています(No.7105)。家族・友人の間の生活上の貸し借りの返済なら、印紙を貼らずに作るのが通常です。
そのまま使える領収書のテンプレート(一括返済・分割返済)
下の文面を紙に書き写すか、表計算ソフトに入れて印刷し、受け取った人に日付・署名を書いてもらいます。2枚作って双方で1枚ずつ持つと安心です。
一括で返したとき
領収書 山田一郎 様 金300,000円 上記の金額を、2026年4月1日に貸し付けた金30万円の返済として、全額受け取りました。これにより、この貸付金の残額はありません。 2026年10月23日 住所 東京都〇〇区〇〇町1-2-3 氏名 鈴木花子(署名)
分割で返しているとき(毎回これを1枚)
領収書(第6回) 山田一郎 様 金30,000円 上記の金額を、2026年4月1日に貸し付けた金30万円の返済(第6回分)として受け取りました。 返済後の残額:金120,000円 受け取った方法:現金手渡し(または〇〇銀行への振込) 2026年10月23日 住所 東京都〇〇区〇〇町1-2-3 氏名 鈴木花子(署名)
利息の約束があるときは、金額の下に「うち利息〇円、元本〇円」の1行を足します。振込で返すときも、振込の記録は「送った」ことは示せても「何の返済か」「残りがいくらか」までは示せません。振込の名義の後ろに「ヘンサイ6」のように回数を入れ、領収書かメッセージで残額を書いてもらう組み合わせが確実な残し方です。
領収書の見本1枚に、7つの項目(日付・宛名・金額・何の返済か・内訳・残額・署名)を番号つきの吹き出しで示す。「金」「円」で挟む、残額を書く、の2点を色で強調する。
分割返済の記録の付け方|返済台帳の例
分割で返すときは、領収書とは別に返済台帳を1枚作り、返すたびに1行足していくと、残りがひと目で分かります。返す側と受け取る側が同じ表を持ち、毎回の返済後に写真やファイルで送り合う形が、食い違いを最も起こしにくい方法です。
下は、30万円を利息なしで借り、毎月3万円ずつ10回で返す約束の例です。
| 回 | 返した日 | 返した額 | 方法 | 返済後の残額 | 領収書・記録 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2026年5月25日 | 30,000円 | 振込 | 270,000円 | 振込記録+メッセージ |
| 2 | 2026年6月25日 | 30,000円 | 振込 | 240,000円 | 振込記録+メッセージ |
| 3 | 2026年7月25日 | 30,000円 | 現金 | 210,000円 | 領収書(第3回) |
| 4 | 2026年8月25日 | 20,000円 | 振込 | 190,000円 | 一部だけ返した旨のメッセージ |
| 5 | 2026年9月25日 | 40,000円 | 振込 | 150,000円 | 前月の不足分を含む旨を明記 |
4回目のように約束より少なくしか返せなかった月は、「今月は2万円、不足の1万円は来月足す」とその場で伝え、相手から了解の返事をもらって残しておきます。黙って減らすと、後で約束違反かどうかの話になりやすいからです。返済の管理を表計算やアプリでする場合の記録項目は、借金返済アプリや表計算で管理するときの選び方で比べています。
返すのが苦しくなってきたら、遅れる前に相手に相談するのが先です。話し合いの進め方や書面の残し方は個人間の借金が返せないときの話し合い方にまとめました。
完済したときに受け取るものと、書いてもらえないときの残し方
全額を返し終えたら、次の3つを受け取って一緒に保管します。
- 最後の回の領収書:「残額はありません」「本件の貸付金はすべて返済を受けました」の一文を入れてもらう。
- 借用書の原本:借りたときに書いた借用書を返してもらう(民法487条)。返してもらえないときは、借用書の写しに「完済済み」と書いて相手の署名をもらう。
- 完済の確認のメッセージ:日付と「〇〇年〇月に借りた〇万円は全額受け取った」という文面。
完済確認書の文例:「私は、山田一郎氏に2026年4月1日に貸し付けた金30万円について、2027年2月25日までに全額の返済を受けました。本件に関して、今後何らの請求もしません。」(日付・住所・氏名・署名)
相手が忙しい、照れくさいなどの理由で領収書を書いてくれないときは、責めずに残し方を変えます。現金ではなく振込で返す、返したその日に「今日〇万円返しました。残りは〇万円で合っていますか」とメッセージを送り、相手の返事を保存する、の2つで、受け取ったことと残額の両方を記録に残せます。
借りるときの約束を公証役場で公正証書にしている場合は、強制執行との関係など別の注意点があります。そちらは借金の公正証書とは?作るときの注意と強制執行との関係で扱っています。
よくある質問
Q. 領収書は手書きでも有効ですか?
手書きでも、パソコンで作って署名だけ手で書く形でも使えます。大事なのは形式より中身で、日付・金額・何の借金の返済か・残額・受け取った人の氏名がそろっていることです。2枚作って双方が1枚ずつ持つか、写真を撮って残しておくと、後で食い違いが起きにくくなります。
Q. 個人間の返済の領収書に収入印紙は要りますか?
国税庁のタックスアンサー(No.7105)は、営業に関しない金銭の受取書は非課税としています。家族や友人の間で生活上の貸し借りを返したときの領収書はこれに当たるのが通常です。貸した側が事業として貸している場合は扱いが変わりうるので、税務署で確かめてください。
Q. LINEの「受け取ったよ」というメッセージだけでは足りませんか?
日付と金額が分かるメッセージは記録の一つになりますが、何の借金の返済か、残りがいくらかまでは書かれていないことが多いです。分割で返しているなら、毎回の返済後に残額まで書いたメッセージをもらうか、この記事のテンプレートで領収書を書いてもらうと、後で「まだ残っている」「もう終わった」の食い違いを防げます。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第486条(受取証書の交付請求等)・第487条(債権証書の返還請求)・第488条・第489条(弁済の充当)・第490条(合意による充当)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- No.7105 金銭又は有価証券の受取書(タックスアンサー・令和8年4月1日現在法令等)(国税庁)
- No.4420 親から金銭を借りた場合(タックスアンサー)(国税庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。