借金があると転職で不利?会社に知られる場面と知られない場面
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借金があるだけで、転職先や今の会社にそれが知られることは通常ありません。会社は採用のために信用情報を見ることができないからです。会社に知られるのは、①返済が止まって給料が差し押さえられたとき、②督促の連絡が勤務先に入ったとき、③自己破産で就けない仕事に就いているとき、④自分から信用情報の開示書を見せたとき、の主に4つの場面です。この記事では、その分かれ目を表で示します。
借金があると転職で不利?会社は信用情報を見られるか
カードローンやクレジットカードの契約内容・返済状況は、信用情報機関に登録されます。CIC は、信用情報を利用できるのは支払能力の調査の目的に限られ、ダイレクトメールの送付や社員の採用の参考にする使い方は禁じていると説明しています。違反した会員には、利用の停止や加盟契約の解除などの措置がとられます。
このため、転職先が銀行やカード会社のような信用情報機関の会員であっても、採用のために応募者の信用情報を照会することは認められていません。CIC は、開示報告書を勤務先や不動産会社に提出したり見せたりしないよう呼びかけてもいます。応募先から開示書の提出を求められても、借金の記録を自分から差し出す必要があるかは慎重に考えてください。
例外として気をつけたいのは、借金そのものではなく「手続き」が仕事に関わる場合です。自己破産をすると、手続きが終わるまで就けない仕事(資格の制限)があります。対象の仕事と期間は自己破産で就けない仕事と資格制限の一覧で確かめてください。信用情報と採用の関係をさらに詳しく知りたい人は、信用情報が転職で見られる範囲と例外を読んでください。
会社に知られる場面と知られない場面の早見表
| 場面 | 会社に知られるか | 理由 |
|---|---|---|
| 借金があり、毎月返している | 知られない | 会社は採用・人事に信用情報を使えない |
| 返済が数日遅れ、本人の携帯や自宅に連絡が来た | 通常は知られない | 督促は本人あてが基本 |
| 借入先から勤務先に電話・訪問があった | 知られることがある | 正当な理由のない勤務先への連絡は禁止されている(貸金業法21条1項3号) |
| 判決などの後、給料が差し押さえられた | 知られる | 裁判所の命令が勤務先に届く |
| 税金を滞納し、給料が差し押さえられた | 知られる | 役所が勤務先に通知する。裁判は要らない |
| 任意整理をした | 通常は知られない | 裁判所を使わず、官報にも載らない |
| 自己破産をした | 仕事によって知られる | 資格の制限がある仕事では申告が要ることがある |
| 自分から開示報告書を提出した | 知られる | 本人が見せた |
表のとおり、会社に知られる場面の多くは「返済が止まった後」に起きます。返している間は、借金の有無で転職が不利になる仕組みにはなっていません。
給料の差し押さえで会社に知られる流れ
借金の返済が止まった状態が続くと、借入先は裁判所に訴えたり支払督促を申し立てたりして、判決などの「強制執行ができる書類」を手に入れます。その後に給料の差し押さえを申し立てると、裁判所の差押命令が本人と勤務先の両方に送られます(民事執行法145条)。勤務先は、差し押さえられた分を本人に払わず債権者に渡す立場になるため、ここで会社に知られます。
差し押さえられる額には上限があります。民事執行法152条により、給料の4分の3は差し押さえてはいけない部分です。ただし、その4分の3が月33万円を超える場合は33万円までしか守られません(民事執行法施行令2条)。筆者の計算では、差し押さえの基準となる月の額(税金や社会保険料を引いた後の手取り)が20万円なら差し押さえられ得るのは5万円、50万円なら17万円です。
裁判所の手続きには時間がかかり、訴状や支払督促が自宅に届く段階があります。そこで弁護士・司法書士や公的な窓口に相談すれば、勤務先に命令が届く前に動ける可能性があります。差し押さえまでの流れは差し押さえとは何か、借金で差し押さえられるまでの流れで詳しく扱っています。
なお、借金(貸金やカードの代金)の債権者は、裁判所を通じて市区町村などから本人の勤務先の情報を取り寄せる手続き(民事執行法206条)を使えません。この手続きを使えるのは、養育費などの債権や、命や体を傷つけられたことの損害賠償の債権者に限られています。
督促の電話や郵便で知られる場面
貸金業法21条1項は、貸金業者が取り立てるときに、正当な理由なく勤務先に電話や訪問をすることや、貼り紙などの方法で借入れの事実を本人以外に明らかにすることを禁じています。督促状も、封をするなど本人以外に借入れが分からない方法で送るよう、施行規則19条で決められています。なお、この規制は貸金業者(消費者金融やカード会社のキャッシングなど)が対象で、銀行や信用金庫の貸付けには直接は及びません。
それでも、本人の携帯にも自宅にもまったく連絡がつかない状態が続くと、勤務先に連絡が入るおそれは高まります。会社に知られたくないなら、返済が遅れそうな時点で自分から借入先に連絡し、払える日を伝えることがいちばんの防ぎ方です。伝え方は返済できないときの業者への連絡の仕方と文例に文例を載せています。
また、新しく借入れを申し込んだときに、勤務先に在籍しているかの確認の電話が入ることがあります。これは返済の督促ではなく、申込みの審査の一部です。
転職の前後で気をつけること
転職そのものは借金があっても自由にできます。そのうえで、次の4点を確かめておくと、転職後に困る場面を減らせます。
- 収入が途切れる月の返済:退職から入社までの間や、初任給が出るまでの月の返済額を先に用意する。払えない月があるなら、その前に借入先へ相談する。
- 登録している勤務先・収入の変更:契約時に届け出た勤務先や収入が変わったら、会員ページなどで変更の手続きが要るか確かめる。
- 住民税の支払い方の変化:退職すると、給料から天引きされていた住民税を自分で納める形に変わることがある。納付書が届く時期に、返済と重ならないよう家計を組む。
- 資格の制限がある仕事への転職:警備など、自己破産の手続き中に就けない仕事を目指すなら、債務整理の方法を選ぶ前に制限の有無を確かめる。
借金を完済した後の手続きや、信用情報に完済が反映されたかの確かめ方は、借金の返済が終わったらやることで順に説明しています。
転職と借金のほかに、結婚を控えて相手に借金を伝えるか迷っている人は、借金があると結婚できない?相手に伝える時期と結婚後の影響も読んでください。
よくある質問
Q. 転職先の会社が信用情報機関の会員なら、採用のときに借金を調べられますか?
信用情報は支払能力の調査のために使うもので、社員の採用の参考にすることは CIC が禁じている使い方です。会員の会社であっても、採用の目的で本人の信用情報を照会することはできません。
Q. 任意整理や自己破産をしたら、会社に知られますか?
任意整理は裁判所を使わない手続きで、官報にも載りません。自己破産や個人再生は官報に載りますが、会社が官報を日ごろ確かめているとは限りません。ただし自己破産では、手続き中に就けない仕事があるので、その仕事に就いている人は会社に伝える必要が出ることがあります。
Q. 給料が差し押さえられている途中で転職したら、どうなりますか?
差し押さえは勤務先から支払われる給料を対象にするものなので、退職すれば前の会社からの給料はなくなります。ただし借金が残っている以上、債権者が新しい勤務先を知れば、そちらの給料にあらためて差し押さえを申し立てることがあります。転職で逃れるより、返済の相談や債務整理で借金そのものを片づける方が先です。
出典・参考にした公的な情報
- 信用情報の利用について(CIC(指定信用情報機関))
- よくあるご質問「開示報告書を、不動産会社や自分が勤務する会社に提出したり見せたりしてもいいのですか?」(CIC(指定信用情報機関))
- 貸金業法 第21条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 貸金業法施行規則 第19条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民事執行法 第145条・第152条・第206条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民事執行法施行令 第2条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 国税徴収法 第47条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。