借金の時効は弁護士・司法書士に頼むべき?費用の確かめ方と自分でする場合
借金の時効援用を専門家に頼むと、通知書の作成と発送、時効が成立しているかの見立て、業者とのやり取りを任せられます。自分でする場合の費用は主に郵送料ですが、時効が成立していなかったり、裁判を見落としたりしたときのやり直しが利きません。頼む場合の料金は事務所ごとに違い、公的な相場表はないので、料金表と見積書で総額を確かめるのが答えです。この記事では、自分でする場合と頼む場合を比べ、頼む前に聞くことを書きます。
自分でする場合と頼む場合の違い
先に結論を表にします。
| 自分でする | 弁護士 | 認定司法書士 | |
|---|---|---|---|
| 費用 | 郵送料(内容証明・書留・配達証明)と取引履歴の請求の実費が中心 | 事務所ごとに違う(料金表で確認) | 事務所ごとに違う(料金表で確認) |
| 手間 | 取引履歴の請求、通知書の作成、発送、返答の受け取りを自分で行う | 依頼後は窓口が事務所になる | 依頼後は窓口が事務所になる |
| 時効が成立しているかの見立て | 自分で調べる | 事情をもとに専門家が見立てる | 同左(1社あたり140万円以下の範囲) |
| 裁判や承認があった場合 | 見落としやすい | 裁判対応までの相談が可能 | 簡易裁判所の手続は範囲内なら代理可 |
| 向く人 | 契約が1〜2社、資料がそろい、裁判の心当たりがない | 金額が大きい、裁判があったかもしれない、複数社ある | 1社あたり140万円以下で、書類作成や簡易な交渉が中心 |
「認定司法書士」は、法務大臣の認定を受けた司法書士のことで、裁判外の和解の代理ができるのは、紛争の目的の価額が140万円以下の範囲です(司法書士法3条)。この140万円は、借金の合計ではなく1社ごとの債権の額で数える、と最高裁が判断しています(平成28年6月27日判決)。詳しい線引きは債務整理は弁護士と司法書士どっち?140万円の線と選ぶときの確認点にあります。弁護士・認定司法書士でない人が、報酬を得て業として債務整理の代理や交渉を行うことは、弁護士法72条などの問題になりえます。依頼先を選ぶときは、資格者本人が受任するのかを確かめます。
自分でする場合の費用と手間
自分で出す場合の主な費用は次のとおりです。
- 内容証明の加算料金(日本郵便の案内:480円、2枚目以降は1枚につき290円増し)
- 配達証明の加算料金(日本郵便の案内:350円)
- 通常の郵便料金と一般書留の料金(窓口で総額を確かめる)。内容証明と配達証明の加算だけで、筆者の計算では480円+350円=830円になり、これに郵便料金と書留料金が加わる
- 取引履歴の請求にかかる実費(業者によって、無料のところ、手数料がかかるところがあるので、請求のときに聞く)
- 信用情報を開示するなら、CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターへの手数料
手間の中心は、取引履歴を取り寄せて、最後の返済日と契約の種類を確かめる作業です。通知書の書き方は借金の時効援用の書き方に、全体の手順は借金の時効援用のやり方にまとめています。
失敗したときのリスク:専門家に頼む理由になりやすい3点
自分でする場合に、費用以外で気をつけたいのは次の3点です。
- 時効が成立していない:数え方を誤って早く出すと、援用は効果がなく、請求が続きます。さらに、業者との連絡の中で一部を払うと、承認として時効が新たに進む可能性があります(民法152条)。
- 裁判や支払督促を見落とす:裁判上の請求や支払督促があると、時効は手続の間は完成せず、判決や確定した支払督促で権利が確定すると、時効期間は10年になります(民法147条・169条)。引っ越しなどで書類を受け取っていない人もいます。
- 催告で延びただけなのに、止まったと思う:督促状や内容証明の請求は、時効の完成を6か月延ばすだけです(民法150条)。
自分でできるかの目安は、「契約が少なく、取引履歴が手元にあり、裁判や支払いの心当たりがない」ことです。どれかが当てはまらないときは、通知書を書く前に相談したほうが、結果として安く済むことがあります。
頼む場合の費用の確かめ方
事務所に頼む費用は、事務所ごとに自由に決められています。日本司法書士会連合会は、報酬は各司法書士が自由に定め、額や算定の方法・諸費用を明示して依頼者との合意で決めるとしています。弁護士の報酬も、事務所ごとの料金表と委任契約で決まります。費用の「相場」は信頼できる公的統計がないため、金額を書かず、次の手順で確かめます。
- 料金表を見る:事務所の料金表で、時効援用の項目があるかを探します。「着手金0円〜」のような表示だけでは総額が分かりません。
- 見積書をもらう:相談の場で、相談料、着手金、報酬金(成功報酬)、実費、消費税(税込か税抜か)を分けて、書面で出してもらいます。司法書士には、受任の前に報酬の基準を依頼者に示す義務があります(司法書士法施行規則22条)。日本司法書士会連合会の指針(令和7年改正)も、受任する業務の範囲を明らかにした契約書と、報酬額・費用・算定方法を記載した書面を依頼者に渡すよう会員に求めています(第5条)。
- 社数と期間で総額を出す:借入先が複数なら、1社ごとに費用がかかるのか、まとめてか。援用が通らなかった場合の追加費用、途中で解約したときの返金のルールも聞きます。
- 事務所の受付条件を確かめる:事務所によっては、受付条件に「時効が成立している借金だけの依頼は受け付けない」と書いているところがあります。時効援用だけを頼みたいときは、相談の申し込み前に確かめます。
総額の出し方を、仮の数字で示します。数字は筆者の計算で、実際の費用ではありません。3社に援用し、1社あたりの報酬が仮に3万円(税別)、実費が仮に1社2,000円とします。
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 報酬(税別) | 3万円×3社 | 9万円 |
| 消費税10% | 9万円×10% | 9,000円 |
| 実費 | 2,000円×3社 | 6,000円 |
| 総額 | 9万円+9,000円+6,000円 | 10万5,000円 |
見積書の金額を、この表の形に当てはめて、社数をかけ忘れていないか、税が別になっていないかを確かめます。
質問の具体例は債務整理の相談で聞くことの確認表に、見積書の見方は債務整理の料金の見積書で確かめる項目にまとめています。
選択肢の一つとして:事務所に相談する
時効が成立しているか自信がない人、裁判があったかもしれない人、複数の会社から請求が来ている人は、弁護士・司法書士の事務所に相談するという選択肢があります。選ぶときは、資格者本人が面談するか、費用の総額を書面でもらえるか、時効援用だけの依頼を受けるか、住む地域に対応しているかを確かめます。
事務所に頼まず、まず公的な窓口で話を聞く方法もあります。窓口の一覧は借金の相談窓口はどこ?公的な窓口の番号・受付時間と選び方で案内しています。
よくある質問
Q. 時効援用だけを頼めますか?
事務所によって受け付け方が違います。受付条件に「時効が成立している借金だけの依頼は対象外」と書いている事務所もあるので、相談の申し込み前に、時効援用だけの依頼を受けるか、他の借金の相談を一緒に求められるかを聞いてください。
Q. 費用を払えないときは、自分でするしかありませんか?
自分でする方法のほかに、収入や資産が一定の基準以下なら法テラスの民事法律扶助を使える場合があります。使えるかどうかと費用の立替の仕組みは[借金が返せないとき法テラスでできること](/houterasu-shakkin/)で説明しています。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第145条・第147条・第152条・第166条・第169条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 弁護士法 第72条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 司法書士法 第3条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 司法書士法施行規則 第22条(報酬の基準の明示)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 最高裁判所 平成28年6月27日第一小法廷判決(認定司法書士の和解代理の範囲)(最高裁判所)
- 債務整理事件の処理に関する指針(令和7年改正)(日本司法書士会連合会)
- 債務整理事件の処理に関する指針の解説(日本司法書士会連合会)
- 内容証明・配達証明(ご利用料金)(日本郵便)
- 配達証明(ご利用料金)(日本郵便)
- 司法書士の報酬(日本司法書士会連合会)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。