時効と過払い金 / 手順

借金の時効援用のやり方|内容証明で通知する流れと注意点

この記事のもくじ
  1. 時効援用とは:期間が過ぎただけでは借金は消えない
  2. 援用の流れ:確認・通知・業者の確認・信用情報
  3. 援用の前に業者へ連絡してはいけない理由
  4. 援用しても効果がない場合と、裁判になったとき
  5. 自分でするか、専門家に頼むか

借金の時効を使うには、期間が過ぎるだけでは足りず、債権者に「時効を援用します」と伝える必要があります(民法145条)。やることは、最後の返済日などを確かめる、時効が成立していそうなら援用の通知を送る、業者の対応を確かめる、信用情報を確かめる、の4つの順番です。その前に業者へ連絡して支払いを約束したり借金を認めたりすると、時効が数え直しになるおそれがあるため、援用の前の連絡は避けます。この記事は、4つの手順と各段階の注意を順に示し、時効が成立しているかの判断は個別の書類で行うものとして、結論は出しません。

時効援用とは:期間が過ぎただけでは借金は消えない

民法145条は、時効は当事者が援用しなければ、裁判所はこれによって裁判できないと定めています。時効の効力は起算日にさかのぼります(144条)。また、時効の利益はあらかじめ放棄できません(146条)。

援用できるのは、借金をした本人のほか、保証人など、権利の消滅について正当な利益を持つ人です(145条のかっこ書き)。期間の基本(知った時から5年、行使できる時から10年)や、時効が止まる事情は、正本の借金の時効は5年?にまとめています。

援用の流れ:確認・通知・業者の確認・信用情報

次の表は、4つの段階でやることと、ここで起きやすい失敗を並べたものです。

手順表:借金の時効援用の流れ
段階 やること つまずきやすい点
1. 確認 最後の返済日、約定の返済期日、契約日、裁判の有無を確かめる 裁判で確定していると10年になる。2020年3月31日以前の契約は旧法の場合がある
2. 通知 債権者に、時効を援用する書面を、日付と内容が残る方法で送る 債権が別の会社に移っていると、送り先を間違える
3. 業者の確認 業者からの返事や、請求が止まったかを確かめる 返事がこない、時効の成立を認めない、と言われる
4. 信用情報の確認 信用情報機関に開示を請求し、記録がどうなったかを見る 登録会社の認識と一致していないと、記録が残る

1. 最後の返済日と裁判の有無を確認する

まず、時効が成立していそうかを確かめます。最後に返した日、返済期日、契約日を、通帳や明細から書き出します。次に、裁判所から支払督促や訴状、判決が届いたことがないかを探します。確定していれば、時効は10年です。確認の項目は借金の時効が成立しているか確かめる項目のチェックリストにあり、数え直しになる事情は借金の時効の更新と完成猶予にあります。契約日が2020年3月31日以前なら、旧法の期間が関わる場合があるため、民法改正で借金の時効はどう変わった?で確かめます。

2. 援用の通知を送る

時効の援用に決まった書式はありません。送った日と内容を後から証明できるように、内容証明郵便で送り、配達証明を付けて届いた日も残す方法がよく使われます。通知に書くのは、債権者、借金を特定する情報、最後の返済日、時効を援用する旨、日付と自分の名前です。

項目ごとの書き方と文例は借金の時効援用の書き方で扱います。送ったあとは、内容証明の控えと配達証明を保管します。

債権が別の会社に移っている場合は、現在の債権者を調べて、その会社あてに送ります。古い借金は、債権回収会社に譲渡されていることがあります。見分け方は古い借金の請求が債権回収会社から来たらにあります。

3. 業者の対応を確かめる

通知が届いたあと、業者から書面で時効を認める返事が来ることもあれば、返事がないこともあります。時効が成立していないと言われて請求が続くこともあります。返事の内容は、書面で残し、電話で長く話さないようにします。時効が成立していなければ、援用しても借金は残り、請求は続きます。

4. 信用情報を確かめる

時効を援用すると、信用情報の記録が変わる場合があります。JICCは、債権者の登録会社に時効を援用し、会社と認識が一致した場合、時効の起算日にさかのぼって完済として登録され、そのときに登録期間を過ぎていれば抹消されると説明しています。援用しただけで記録が消えると言えるわけではなく、会社と認識が一致するかどうかが前提です。CICと全国銀行個人信用情報センター(KSC)の援用後の扱いは、公式の案内で見つけられなかったので、援用の後に自分で開示して記録の状態を確かめます。開示の手順は信用情報の開示のやり方にあります。

援用の前に業者へ連絡してはいけない理由

時効の期間が過ぎたかもしれない借金で、業者から電話や手紙が来たとき、最初にしたくなるのは「事情を説明する」「少し払う」ことです。これが危険なのは、次のことが承認(借金を認めること)にあたると、時効が新しく数え始められるおそれがあるからです(民法152条)。

  1. 一部の支払い(振込、コンビニ払い)
  2. 「分割で払います」という約束
  3. 「借金があることは認めます」という発言や署名
  4. 「今は払えないので待ってください」という申し出

時効が完成した後に払ったり借金を認めたりした場合も、あとから援用できなくなる場合があるとされています。承認になるかどうかは言葉の使い方や状況で判断されるため、線引きを自分で決めないほうが安全です。

電話がかかってきたときは、次のように、書面で連絡してもらう形にとどめられます。

文例:「その件は、いま電話ではお答えできません。内容は書面で送ってください。」

業者から返済を求められる電話が続くのは、つらいものです。取立ての禁止行為は取り立てが怖いときにまとめています。

援用しても効果がない場合と、裁判になったとき

次の場合は、援用しても借金は消えません。

  • 時効期間が過ぎていない
  • 判決や支払督促で確定していて、10年が過ぎていない
  • 途中で承認があり、時効が数え直しになっている

裁判を起こされた場合は、訴訟の中で時効を主張する(援用する)ことになります。期日と期限は呼出状に書かれているため、放置せず、書類を持って専門家に相談します。裁判の書類が届いたときの準備はクレジットカードの滞納や借金で訴状が届いたらに書いています。

自分でするか、専門家に頼むか

援用の通知は、自分で書いて送ることもできます。ただ、時効が成立しているかどうかの判断を誤ると、通知が空振りになり、請求が続きます。次のような場合は、専門家に相談するほうが安全です。

  • 契約が2020年3月31日以前で、旧法と新法の判断が必要
  • 裁判の有無がはっきりしない
  • 最後の返済日が分からない
  • 債権が移って、どこに通知するのか分からない
  • 業者や債権回収会社との連絡を自分でしたくない

業者との交渉や手続きの代理を任せられるのは、弁護士と、認定司法書士(1社あたり140万円以下の範囲)です。資格の違いは債務整理は弁護士と司法書士どっち?にあります。費用と自分でする場合の違いは借金の時効援用を弁護士・司法書士に頼む費用で比べます。公的な相談窓口は借金の公的な相談窓口と受付時間にあります。

時効の確認から援用の手続きまでを専門家に任せたいときは、弁護士・司法書士の事務所に依頼する方法もあります。選ぶときは、登録や代理できる範囲、面談の有無、費用の総額が書面で示されるか、対応地域を確かめます。

よくある質問

Q. 内容証明郵便でなければ、時効の援用は無効ですか?

民法に援用の方法の決まりはなく、内容証明郵便でなければ無効とは言えません。ただ、援用した日と内容を後から証明する必要があるので、内容証明郵便に配達証明を付ける方法がよく使われます。

Q. 時効の援用が通ったら、借金の記録はすぐに消えますか?

すぐには消えません。JICCは、登録会社に援用して認識が一致した場合、時効の起算日にさかのぼって完済として登録され、登録期間を過ぎていれば抹消されると説明しています。会社の認識の一致が前提なので、開示で確かめます。

Q. 時効の期間がまだ過ぎていない借金に援用したらどうなりますか?

時効の効力は生じず、請求は続きます。通知が空振りになるだけでなく、業者とのやりとりが長引くこともあるので、出す前に最後の返済日と裁判の有無を確かめます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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