督促・取り立て・差し押さえ / Q&A

古い借金の請求が債権回収会社から来たら|時効と正規の会社の確かめ方

この記事のもくじ
  1. 知らない会社から請求が来る理由:譲渡と委託
  2. 正規の債権回収会社かどうかの確かめ方
  3. 古い借金:時効を調べる材料
  4. 信用情報への表れ方
  5. 次にすること

知らない債権回収会社から古い借金の請求が届いたら、すぐ連絡せずに、①その会社が法務大臣の許可を受けた債権回収会社かどうか、②請求されている借金が、時効の期間を過ぎていないかの2点を確かめます。債権回収会社(サービサー)は、貸金業者などから債権を譲り受けたり、回収を委託されたりして、督促をする会社です。借りた覚えのない会社の名前でも、元の借入先から債権が移った結果であれば、正規の請求のことがあります。この記事では、仕組みと許可の確かめ方、時効を調べる材料、連絡前の注意を示します。時効の成否は個別の事情で決まるため、ここでは判定しません。

知らない会社から請求が来る理由:譲渡と委託

債権の持ち主と、督促する会社が別になる形は、2つです。

早見表:債権の譲渡と委託の違い
形 債権の持ち主 督促する会社 書面で見る点
債権譲渡 債権回収会社に移る(元の貸金業者から譲り受ける) 債権回収会社が自分の債権として請求する 「債権を譲り受けた」と書かれ、元の債権者の名前が出る
回収の委託 元の貸金業者のまま 債権回収会社が代わりに回収する 「委託を受けて」と書かれる。請求の元の債権者が示される

弁護士・弁護士法人以外の者が、他人から委託を受けたり債権を譲り受けたりして貸付債権などの回収を営む「債権管理回収業」(同法2条2項)は、法務大臣の許可を受けた株式会社でなければ営めません(債権管理回収業に関する特別措置法3条)。対象になる債権は、銀行などの金融機関や貸金業者が持つ貸付債権、クレジットカードの立替金債権などです(同法2条)。長く払っていない借金は、元の会社の中で回収が難しくなると、こうした会社に回されることがあります。

債権が移っても、取立てのルールはなくなりません。貸金業者から債権を譲り受けた者にも、貸金業法21条の規制が準用されます(貸金業法24条2項)。債権回収会社には、さらに、サービサー法18条が、偽りの手段、利息制限法を超える請求、親族に代わりに払うよう求めることなどを禁じています。取立ての時間帯や勤務先への連絡など、禁止行為の一覧は取り立てが怖いとき|法律で禁止されている取立てと連絡先の一覧にあります。

正規の債権回収会社かどうかの確かめ方

「○○債権回収」という名前だけで、本物と判断しないでください。次の順で確かめます。

  1. 許可を受けた会社の一覧を、法務省のサイトで調べる。 許可を受けた債権回収会社は、法務省が公表しています。法務省のサイトで「債権回収会社(サービサー)」を探し、会社名と所在地が一覧にあるかを見ます。書面に書かれたURLではなく、自分で検索して法務省のサイトに入ります。
  2. 一覧になくても、すぐ詐欺とは決めない。 請求者が元の貸金業者本人や、弁護士・弁護士法人のときは、債権回収会社の許可の対象ではありません。その場合は、貸金業者なら金融庁の登録貸金業者情報検索サービス、弁護士なら所属弁護士会の会員検索で確かめます。弁護士名の書面は弁護士事務所から督促状が届いたら|本物の確かめ方と対応の順で説明しています。
  3. 書面の記載事項を見る。 譲り受けた債権の請求にも、貸金業法21条2項が準用され、商号・住所・電話番号、契約年月日、貸付金額、利率、催告する金額などの記載が求められます。元の債権者の名前や契約日が書かれていない書面は、問い合わせる前に疑ってかかります。偽の書面かどうかの見分けは督促状の詐欺を見分ける方法|架空請求か本物か確かめる手順のチェック表で確かめられます。
  4. 書面にある番号以外で、会社の連絡先を確かめる。 許可を受けた会社なら、会社名で調べて公式サイトの窓口を探せます。

古い借金:時効を調べる材料

債権は、権利を行使できると知った時から5年、行使できる時から10年で、時効によって消滅します(民法166条1項)。カードローンやキャッシングの返済は、ふつう「知った時」と「行使できる時」が重なるため、業者側の請求権は5年が目安になります。ただし、時効は期間が過ぎるだけでは効果が出ません。当事者が援用しなければ、裁判所は時効で裁判できません(民法145条)。

そして、期間の数え方は借金ごとに変わります。次の4つの材料を手元にそろえてから、連絡します。

チェックリスト:時効を確かめる前にそろえる材料
調べること 見る理由
最後に払った日 起算点の手がかりになる。一部の支払いは時効を更新させる(民法152条の「承認」)ことがある
契約を結んだ日 2020年(令和2年)3月31日以前に結んだ契約から生じた債権は、旧法の期間が使われることがある。旧法では貸金業者(会社)からの借入れは商事時効5年が目安とされる
裁判や支払督促の有無 判決や支払督促で確定していれば、時効は10年になる(民法169条)
督促や催告の記録 催告(督促状など)は6か月完成を猶予するだけで、やり直しにはならない(民法150条)

判決や支払督促の書類を受け取った覚えがなくても、住所が変わっていて届いていなかった場合があります。自分で調べる手順は借金の時効が成立しているか確かめる項目|最後の返済日と裁判に、時効の全体像は借金の時効は5年?援用の仕組みと時効が止まる・やり直しになる場合にまとめています。

連絡する前に、言ってはいけないこと

時効が気になる借金は、最初の電話で次のような話をしないでください。

  • 「少しなら払えます」と言う、または実際に一部を払う
  • 「借りた事実は認めます」と書面に署名する
  • 分割払いの約束をする

民法152条は、権利の「承認」があると時効が新たに進み始めると定めています。一部の支払いや返済の約束がこれにあたるかは個別に判断されるため、確かめる前に払いません。最初の連絡は、次のような文面にとどめます。

文例(書面または電話):「通知を受け取りました。元の債権者の名前、契約年月日、貸付金額、現在の残高の内訳が分かる書面を送ってください。内容を確認してから、あらためて連絡します。」

信用情報への表れ方

信用情報機関のJICCは、登録する「取引事実に関する情報」の例として、債権回収、債務整理、債権譲渡などを挙げています。2019年10月1日以降の契約については、契約継続中および契約終了後5年以内が登録期間とされ、債権譲渡の事実だけは発生日から1年以内です。ここまで、JICCの登録内容と登録期間のページに基づきます。他の信用情報機関での表れ方は、それぞれの開示で確かめます。

自分の記録にどう載っているかは、開示で確かめられます。開示の手順と最新の受付状況は信用情報の開示のやり方|CIC・JICC・KSCの申込み方法と手数料にあります。時効の援用をしたあとの信用情報は借金の時効援用をした後はどうなる?信用情報と業者からの連絡で説明しています。

次にすること

古い借金の請求は、①債権回収会社の許可を確かめる、②時効の材料をそろえる、③連絡は書面の請求だけにして払う約束をしない、の順に進めます。時効の援用や、残高の確認、交渉は、弁護士や認定司法書士に頼める範囲です。認定司法書士が代理できるのは、1社あたり140万円以下の債権で、簡易裁判所の手続きまでと決まっています。弁護士と司法書士の違いは債務整理は弁護士と司法書士どっち?140万円の線と選ぶときの確認点で説明しています。

よくある質問

Q. 債権回収会社から請求が来たら、時効でも払わないといけませんか?

時効の期間が過ぎていても、時効の援用をしなければ、時効の効果は使えません(民法145条)。期間が過ぎたかどうかは、最後の返済日、契約日、裁判の有無で変わります。判断は書類をそろえて、弁護士や認定司法書士に確かめます。この記事で決めることはできません。

Q. 債権回収会社に債権が移ると、取立てのルールはなくなりますか?

なくなりません。貸金業者から債権を譲り受けた者にも、貸金業法21条の取立ての規制が準用されます(24条2項)。債権回収会社には、サービサー法18条の禁止行為もあります。夜間の電話や家族への請求などは、会社が変わっても認められません。

Q. 債権回収会社に電話したら、どんな話をすればよいですか?

最初の電話では、払う約束や金額の話をせず、元の債権者、契約年月日、残高の内訳を書面で送ってほしいと伝えます。時効が気になる借金なら、少額でも払うと約束する前に、専門家に確かめてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

督促状の詐欺を見分ける方法|架空請求か本物か確かめる手順

借金の時効が成立しているか確かめる項目|最後の返済日と裁判

弁護士事務所から督促状が届いたら|本物の確かめ方と対応の順

借金の時効は5年?援用の仕組みと時効が止まる・やり直しになる場合