任意整理の完済後にすること|信用情報の回復とカード・ローン
任意整理の返済を終えたら、まず最後の入金が済んで残高が0円になったことを確かめ、和解書と振込の記録を保管します。そのうえで、完済から1〜2か月たってから信用情報を開示し、「完了」と表示されているか、記録がいつまで残るかを見ます。記録が消える目安は、和解の日ではなく完済して契約が終わった日から5年です。カードやローンをまた申し込むのは、開示で記録が消えたことを確かめてからにしましょう。
任意整理の完済後に最初にすること
最終回の振込が終わった直後に、次の4つを片づけておきます。後から「まだ残っている」「完済した証拠がない」と困らないための作業です。
- 最終回の入金を確かめる:振込の控えやネットバンキングの記録で、和解書に書かれた最後の回の額と日付が合っているかを見ます。端数の調整で最終回だけ額が違う和解もあります。
- 依頼した事務所に完済を伝える:支払いの代行を頼んでいた場合は、事務所が最後の振込をして、預かり金の精算をします。日本司法書士会連合会の指針は、司法書士に事件が終わったときの経過と結果の報告(16条3項)と、費用の精算・預かった書類の返還(17条)を求めています。
- 書類をまとめて保管する:和解書(合意書)、毎回の振込の記録、事務所からの終了の報告書を一つの封筒やフォルダに入れます。開示の結果が違っていたときの資料になります。
- 引き落とし口座や自動振込を止める:自分で設定した自動送金が残っていると、完済後も振り込まれてしまうことがあります。
| 時期 | やること | 目的 |
|---|---|---|
| 最終回の直後 | 入金の確認・事務所へ連絡・書類の保管 | 完済の証拠を残す |
| 1〜2か月後 | 3つの信用情報機関に開示を申し込む | 「完了」と保有期限を確かめる |
| 記録に誤りがあったら | 登録元の会社に資料を添えて連絡 | 記録を正しく直してもらう |
| 保有期限の後 | もう一度開示して、記録が消えたか確かめる | 申し込みの前の確認 |
| 申し込むとき | 1社ずつ、間をあけて申し込む | 申込みの記録を増やさない |
借金全般の完済後の手続き(完済証明書の取り方や、カードを解約するか残すか)は、借金の返済が終わったらやることで詳しく扱っています。
完済後、信用情報の記録が消えるまでの期間(機関別)
任意整理の記録が消える時期は、信用情報機関ごとに決まりがあります。3つの機関とも、起点は「完済して契約が終わった日」と考えておくと間違えません。
| 機関 | 任意整理した契約の記録が残る期間 |
|---|---|
| CIC | 契約期間中と、契約終了後5年間 |
| JICC | 2019年10月1日以降の契約は、契約継続中と契約終了後5年以内。2019年9月30日以前の契約の「債務整理」は発生日から5年以内 |
| 全国銀行個人信用情報センター | 契約期間中と、契約終了日(取引情報の完了区分発生日)から5年を超えない期間。登録された「延滞」は、延滞解消日(2006年10月以前の成約は返済区分発生日)から5年たつと「成約」に変わる |
検索で見かける「和解後5年」は、JICC の古い区分(2019年9月30日以前の契約で、債務整理の記録を発生日から数える)を指していることがあります。それでも、同じ契約の返済状況や、ほかの機関の記録は完済から5年残るので、全体としては完済+5年が目安です。
筆者の計算で例を示します。2026年4月から60回で返す和解なら、最終回は2031年3月です。そこから5年なので、記録が消える目安は2036年3月ごろになります。繰り上げて早く返し終えれば、その分だけ起点も早まります。早く終える方法は、前に読む任意整理後に繰り上げ返済や一括返済をする方法で説明しています。登録のされ方を機関ごとに詳しく知りたい人は、任意整理でブラックリストに載る期間と消える時期を見てください。
開示で完済の反映を確かめる手順
完済したことが記録に反映されたかは、自分で開示して確かめるしかありません。CIC は、クレジットカードなどの記録は原則月1回、ローンやキャッシングは新しい契約や変更があった日の翌日までに更新すると案内しています。カードを任意整理した人は、完済から1〜2か月あけて申し込みます。
- 任意整理した会社がどの機関に加盟しているかを並べる:和解書の会社名と、契約時の書面や会員規約にある「信用情報機関への登録の同意」の条項を見ます。分からなければ3つの機関すべてに申し込みます。
- 開示を申し込む:申込み方法・手数料・今の受付状況は、信用情報の開示のやり方(CIC・JICC・KSC)にまとめています。2026年10月は受付の変更が続いているので、申し込む前に各機関の公式サイトで最新のお知らせを見てください。
- 機関ごとに見る欄を確かめる:下の表の欄を見ます。
- 期限をメモする:保有期限の年月を手帳やスマートフォンに書いておくと、次に開示する時期が決まります。
| 機関 | 見る欄 | 完済が反映されていれば |
|---|---|---|
| CIC | 残債額・終了状況・保有期限 | 残債額0円、終了状況に「完了」、保有期限に年月が出る |
| JICC | 契約内容・返済状況の完済日、異動参考情報 | 完済日が入っている |
| 全国銀行個人信用情報センター | 完了区分・完了区分発生日 | 「完了」と、その発生日が入っている |
残高が残っている、完済日が空いているなど、事実と違う記録を見つけたときは、信用情報機関ではなく登録元の会社に連絡します。CIC は、記録の訂正は登録元の会社が調べて行うと案内しています。連絡のときは、最終回の振込の記録と和解書の写しを手元に置き、「○年○月○日に和解どおり完済したので、信用情報の更新をお願いします」と伝えます。手続きの流れは、信用情報の削除依頼と誤った登録を訂正する手順でも扱っています。
完済後にカードやローンを再び使うときの注意
保有期限が過ぎても、それだけで審査に通るわけではありません。審査は各社が独自の基準で総合的に判断し、その基準は公表されていないからです。完済後に申し込むときは、次の点を押さえておきます。
- 記録が消えたことを開示で確かめてから申し込む:期限の直前に申し込むと、まだ記録が残っていることがあります。
- 申し込みは1社ずつ、間をあける:申し込んだ記録(申込情報)は、CIC と JICC では照会日から6か月残り、加盟先から見えます。短い期間に何社も申し込むのは避けます。
- カードは信用情報を見て発行される:割賦販売法30条の2は、カード会社がカードを発行するときや利用枠を増やすときに、指定信用情報機関の情報を使って支払える見込みを調べるよう定めています。完済後のカードの作り方は、任意整理するとクレジットカードは使えるか、作れる時期にまとめています。
- 任意整理した会社の社内の記録は、機関の期間とは別:貸金業者は、取引の帳簿を最終返済期日などから少なくとも10年保存する決まりです(貸金業法施行規則17条1項)。保存が決まりなのは帳簿で、申込みの審査にその記録をどう使うかは会社しだいです。同じ会社に申し込むときは、開示で記録が消えていても通るとは限らないと考えておきます。
- 住宅ローンなど大きな借入れ:銀行の審査では全国銀行個人信用情報センターの記録も見られます。3つの機関すべてで記録が消えたことを確かめてから相談すると話が早く進みます。
返済に回していた毎月の額は、完済後にそのまま積み立てに回すと、次に急な出費があっても借りずに済みます。信用情報の回復の考え方を借金全般で知りたい人は、信用情報の回復までの期間と確かめ方を、和解の中身でよく出てくる利息の言葉は、次に読む任意整理で延滞損害金と将来利息はどうなるかを読んでください。
よくある質問
Q. 任意整理の和解から5年たてば、信用情報は消えますか?
和解の日から数えるのではなく、完済して契約が終わった日から5年が基本です。CIC と全国銀行個人信用情報センターは契約終了から5年、JICC も2019年10月1日以降の契約は契約終了後5年以内です。和解後に5年かけて返したなら、記録が消えるのは和解からおよそ10年後になります。
Q. 完済したのに、開示すると残高が残っています。どうすればよいですか?
会社の更新がまだ届いていないか、登録元の処理が漏れている可能性があります。信用情報機関は自分で記録を直さないので、最後の振込の記録や和解書の写しをそろえて、登録元の会社に更新を頼みます。カードの記録は月1回の更新が多いため、完済から1〜2か月たってから開示すると無駄がありません。
Q. 任意整理をした会社のカードを、完済後にまた作れますか?
審査は各社が独自の基準で総合的に判断し、基準は公表されていません。信用情報機関の記録が消えても、貸金業者は自社の取引の帳簿を最終返済期日などから少なくとも10年保存する決まりで、審査での扱いは会社しだいです。申し込むなら、記録が消えたことを開示で確かめてから、まず1社にしぼるのが無理のない順番です。
出典・参考にした公的な情報
- CICが保有する信用情報(登録期間)(CIC(指定信用情報機関))
- よくあるご質問「情報の登録や更新のタイミングはいつですか?」(CIC(指定信用情報機関))
- よくあるご質問(登録内容の訂正・削除)(CIC(指定信用情報機関))
- 信用情報の登録期間(日本信用情報機構(JICC))
- 登録情報開示報告書の見方(全国銀行個人信用情報センター(全国銀行協会))
- 割賦販売法 第30条の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 貸金業法施行規則 第17条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 債務整理事件の処理に関する指針(令和7年理事会決定・改正)(日本司法書士会連合会)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。