債務整理の弁護士費用の内訳|着手金・報酬金・減額報酬の見方
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債務整理の弁護士費用は、主に着手金・解決報酬金・減額報酬・過払い金の報酬・実費の5つの項目でできています(自己破産・個人再生ではこれに裁判所に納めるお金が加わります)。どの項目にいくらを置くかは事務所ごとに違うため、「着手金0円」と書かれていても総額が安いとは限りません。比べるときは、自分の社数・残高・手続きで「総額=各項目の合計」を出してもらい、その総額どうしで比べます。
弁護士費用の項目と意味
まず、見積書や報酬表に出てくる言葉の意味をそろえます。名前が同じでも、何を基準に数えるかが事務所で違うので、右の列の質問で確かめます。
| 項目 | いつ・何に対して | 数え方の例 | 確かめる質問 |
|---|---|---|---|
| 着手金 | 依頼を受けて仕事を始めるときの費用 | 1社ごと、または事件1件ごと | 社数が増えたら増えるか |
| 解決報酬金(報酬金) | 和解が成立した、免責や再生計画の認可が出たなど、結果が出たときの費用 | 1社ごと、または事件1件ごと | 和解できなかった会社の分もかかるか |
| 減額報酬 | 借金の額が減ったときの費用 | 減った額×割合 | 「減った額」は何から何を引いた額か |
| 過払い金の報酬 | 払いすぎた利息を取り戻したときの費用 | 回収額×割合(訴訟をしたかで変わることが多い) | 訴訟になったら割合が変わるか |
| 実費 | 郵送・通信、書類の取り寄せ、出張の交通費など | 実際にかかった額、または定額 | 定額なら名目と額は何か |
| 裁判所に納めるお金 | 自己破産・個人再生の印紙・郵便料・予納金など | 裁判所が決める | 管財事件になったときの額も入っているか |
ほかに「事務手数料」「管理費」など、事務所独自の名目が並ぶことがあります。名前より、何の対価で、いつ、いくらかを一つずつ聞くことが大切です。
「着手金0円」で総額が分からない例
着手金は、費用のうちの1項目にすぎません。次は、計算の練習のために置いた仮の数字で、実際の料金や相場を示すものではありません。4社を任意整理し、減った元本が4社合計で40万円だったとします(金額はすべて税抜、筆者の計算)。
| 項目 | 事務所A(着手金0円と表示) | 事務所B |
|---|---|---|
| 着手金 | 0円 | 1社2万円×4社=8万円 |
| 解決報酬金 | 1社4万円×4社=16万円 | 1社2万円×4社=8万円 |
| 減額報酬 | 40万円×10%=4万円 | なし |
| 事務手数料 | 1社1万円×4社=4万円 | なし |
| 合計 | 24万円 | 16万円 |
表示だけを見るとAのほうが安く見えますが、この仮の条件では総額はAのほうが8万円多くなります。逆の結果になる条件もあるので、どちらがよいという話ではありません。分かるのは、総額は項目を全部足すまで比べられないということです。
実際より著しく有利だと誤認させる表示は、景品表示法5条2号(有利誤認)で禁じられている種類の表示です。読む側としては、広告の一行で判断せず、自分の条件の総額を書面で出してもらうことが身を守る方法になります。
総額=(1社あたりの着手金+1社あたりの解決報酬金)×社数 +減った額×減額報酬の割合 +取り戻した過払い金×過払い金の報酬の割合 +実費・事務手数料 (税抜の表示なら最後に消費税を加える)
見積もりで総額を出す計算の仕方
上の式に自分の数字を入れれば、総額の目安を自分で出せます。相談のときに次の順で聞くと、式の空欄が埋まります。
- 社数を確定する:信用情報や手元の書類で借入先を全部挙げ、何社が対象かを決める。
- 1社あたりの着手金と解決報酬金を聞く:「和解できなかった会社」「途中で見つかった会社」の扱いも聞く。
- 減額報酬の「減った額」の定義を聞く:元本が減った分だけか、将来の利息がなくなった分も含めるのか、どの金額を出発点にするのか。数え方次第で減額報酬は大きく変わります。参考として、日本司法書士会連合会の指針は、司法書士の減額報酬を「減額され、又は免れた元本」の額だけを基に数えるとしています(司法書士の規律で、弁護士の決まりではありません)。
- 過払い金の報酬の割合を聞く:交渉で回収した場合と、訴訟をした場合で分けて聞く。
- 実費が実額か定額かを聞く:定額なら、その名目と額を見積書に書いてもらう。
- 税込の総額にそろえる:複数の事務所を比べるときは、すべて税込に直す。
相談のときの聞き方の例:「カードローン2社と消費者金融2社の4社です。着手金・解決報酬金・減額報酬・実費を分けて、税込の総額を見積書にしていただけますか。減額報酬は、どの金額からどの金額を引いた分にかかるのかも教えてください。」
任意整理に絞った費用の見方は任意整理の弁護士費用|着手金・解決報酬・減額報酬と見積書の見方で、さらに細かく扱います。
日弁連の規程が弁護士に求めていること
日本弁護士連合会の「債務整理事件処理の規律を定める規程」(会規第93号)には、費用に関する次の定めがあります。対象は、規程が「非事業者等任意整理事件」と呼ぶ任意整理で、事業を営む人の借入が大きい場合などは対象から外れることがあります。
| 規程の定め | 内容 |
|---|---|
| 面談(3条) | 受任する弁護士(複数なら少なくとも1人)が債務者と自ら面談して聴き取る。やむを得ない事情があるときの例外あり |
| 費用の説明(4〜5条) | 弁護士費用とその他の費用、不利益事項を説明し、委任契約書に弁護士費用を記載する |
| 解決報酬金(13条) | 規程は5万円以内で規則が上限を定める形で、日弁連の案内では債権者1人あたり2万円以下(税別。商工ローンは5万円以下) |
| 減額報酬金(14条) | 減額・免除された債務額の10%以下(規則で定める割合) |
| 過払金報酬金(15条) | 回収額の20%以下(訴訟による場合は25%以下。規則で定める割合)。税別 |
| 着手金の追加(10条) | 受任時に定めた着手金の追加請求は、債権者が申告より増えたときなど規程が挙げる場合に限る |
上の数字は、日弁連の案内ページ「債務整理の弁護士報酬のルールについて」に出ているもので、2011年4月1日以降に弁護士が受任した非事業者等の任意整理に当たります。着手金には数字の上限はありませんが、規程は着手金に含まれる事務の範囲を決めています(10条)。見積書の解決報酬金が1社あたり2万円(税別)を超えていたら、商工ローンの借入か、規程の対象外の事件かを聞いてみます。
自己破産・個人再生の弁護士費用で別に見る項目
裁判所を使う手続きでは、社数ではなく「事件1件」として着手金と報酬金を決める事務所もあります。どちらの数え方でも、裁判所の判断で額が変わる部分があります。
- 管財事件か同時廃止事件か:どちらになるかは裁判所が判断し、管財事件では管財人を選ぶための費用(予納金)が加わります(裁判所Q&A)。見積書に両方の場合の額が書かれているかを見ます。違いは自己破産の同時廃止と管財事件の違い|分かれ目と費用・期間へ。
- 個人再生委員が付くか:裁判所は必要があると認めるときに個人再生委員を選び、その費用の予納を求めることがあります(民事再生法223条)。
- 住宅資金特別条項を使うか:家を残す設計にすると、手続きの内容が増えます。追加の報酬があるかを聞きます。
手続き別の費用の内訳は、自己破産の弁護士費用の内訳|着手金・報酬・分割払いと見積書と個人再生の弁護士費用|内訳と分割払い・見積書の確かめ方で扱います。
司法書士の費用と比べるときの注意
弁護士と司法書士の見積もりを並べるときは、金額の前に「頼める範囲が同じか」をそろえます。
| 比べる点 | 弁護士 | 認定司法書士 |
|---|---|---|
| 任意整理・過払い金の交渉の代理 | 金額の制限なし | 1社(個別の債権)ごとに140万円以下の範囲(最高裁平成28年6月27日判決) |
| 自己破産・個人再生 | 代理人として手続きを進める | 裁判所に出す書類の作成で関わり、申立人は本人 |
| 報酬の上限の決まり | 事務所の報酬基準と委任契約による。非事業者等の任意整理には日弁連の規程が上限を置く(解決報酬金は1社あたり税別2万円以下) | 日本司法書士会連合会の指針に上限あり(任意整理は1社あたり税抜5万円まで など) |
1社でも140万円を超える借金があると、その会社との交渉を司法書士は代理できません。範囲の線と選び方は債務整理は弁護士と司法書士どっち?140万円の線と選ぶときの確認点で確かめてください。費用の全体像(裁判所に納めるお金を含む)は債務整理の費用はいくら?手続き別の内訳と見積もりの確かめ方にあります。
弁護士に依頼する場合は、受任する弁護士本人と面談できるか、総額を書面で示してもらえるか、分割払いの回数と、払えなくなったときの扱いを確かめてから選びます。
よくある質問
Q. 着手金0円の事務所を選べば、費用は安く済みますか?
着手金が0円でも、解決報酬金や減額報酬、事務手数料などが高ければ総額は増えます。比べるのは「着手金」ではなく、自分の社数と残高で出した総額です。同じ条件で総額を書面にしてもらい、税込か税抜かもそろえて比べてください。
Q. 弁護士費用に上限の決まりはありますか?
日本弁護士連合会の「債務整理事件処理の規律を定める規程」は、非事業者等の任意整理について、解決報酬金は債権者1人あたり2万円以下(税別。商工ローンは5万円以下)、減額報酬金は減額分の10%以下、過払金報酬金は回収額の20%以下(訴訟による場合は25%以下)という上限があります(規程13〜15条と施行規則、日弁連の案内による)。事務所の報酬基準がこの範囲に収まっているかを、見積書で確かめます。司法書士は日本司法書士会連合会の指針に別の上限があり、混ぜずに見ます。どちらも、受任の前に報酬基準と委任契約書を見せてもらい、総額を確かめるのが確かな方法です。
Q. 弁護士費用はいつ払うのですか?
受任のときに一部を払う、受任後に分割や積立で払う、解決したときに報酬を払うなど、事務所の契約によって違います。委任契約書に「いつ・いくら・何回で払うか」と「払えなくなったときの扱い」が書かれているかを確かめてください。
出典・参考にした公的な情報
- 司法書士法(第3条)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 最高裁判所 平成28年6月27日 第一小法廷判決(認定司法書士の代理の範囲)(裁判所)
- 債務整理事件の処理に関する指針(令和7年)(日本司法書士会連合会)
- 債務整理事件処理の規律を定める規程(会規第93号)(日本弁護士連合会)
- 債務整理の弁護士報酬のルールについて(日本弁護士連合会)
- 裁判手続 民事事件Q&A(破産・個人再生)(裁判所)
- 民事再生法(第223条)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 不当景品類及び不当表示防止法(第5条)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。