債務整理の全体と選び方 / Q&A

債務整理すると住宅ローンは組める?審査の目安と家を残す方法

この記事のもくじ
  1. 今払っている住宅ローンはどうなる?手続き別に家を残す方法
  2. 個人再生の住宅資金特別条項で家を残す仕組み
  3. 債務整理の後に新しく住宅ローンを組める時期の目安
  4. 住宅ローンを申し込む前に確かめること
  5. 家族の名義で組む・家族と一緒に組むときの注意

答えは2つに分かれます。今払っている住宅ローンは、任意整理なら対象から外して払い続ける方法があり、個人再生なら「住宅資金特別条項」を使ってローンを払い続けながらほかの借金を減らす方法があります。自己破産では、家は原則として手放すことになります。新しく住宅ローンを組むのは、信用情報機関の記録が消えた後が目安で、任意整理なら返済を終えてから5年、自己破産や個人再生では銀行系の機関に官報の記録が最長7年残ります。

今払っている住宅ローンはどうなる?手続き別に家を残す方法

早見表:手続き別に見る住宅ローンと家
手続き 住宅ローン 家 押さえる点
任意整理 対象から外して払い続けられる 残しやすい 外したローンは契約どおり払う。同じ銀行のカードローンを対象にするときは影響を依頼先に確かめる
個人再生(住宅資金特別条項あり) 原則として約定どおり払い続ける(減らない) 残せる ほかの借金を減らす。代位弁済から6か月を過ぎると使えない
個人再生(特別条項なし) 抵当権が実行されうる 手放す可能性が高い 特別条項の要件を満たすかを先に確かめる
自己破産 返済の責任は免責の対象 原則として手放す 家は破産財団に入り、抵当権者は手続きの外で抵当権を実行できる

任意整理は、対象にする借入先を選べるため、住宅ローンを外してカードローンやリボだけを話し合う形が取れます。ローンを外すと、毎月の返済額はそのまま残るので、ほかの借金を減らした後の家計で住宅ローンを払い続けられるかが分かれ目です。考え方の詳細は任意整理しても住宅ローンは払い続けられる?で扱っています。

自己破産では、破産手続開始の時に持っている財産が破産財団になります(破産法34条1項)。住宅ローンの抵当権を持つ銀行や保証会社は「別除権者」として、破産の手続きによらずに抵当権を実行できます(65条1項)。そのため家は売却されるのが原則です。持ち家の流れと、住み続ける方法として語られる選択肢は自己破産すると持ち家はどうなる?にまとめています。

個人再生の住宅資金特別条項で家を残す仕組み

個人再生の「住宅資金特別条項」(住宅ローン特則とも呼ばれます)は、住宅ローンだけを手続きの外に置くのではなく、再生計画の中に「住宅ローンは払い続ける」という条項を入れる仕組みです。民事再生法の条文から、要点を並べます。

  1. 対象のローン:住宅の建設・購入・改良のための分割払いの貸付けで、その債権(または保証会社の求償権)を担保する抵当権が住宅に付いているもの(196条3号)。
  2. 使えない場合:住宅に住宅ローン以外の担保権が付いているときなどは定められません(198条1項ただし書)。カードローンや事業の借入の担保が家に付いていると、この条項は使えません。
  3. 代位弁済の後の期限:保証会社が銀行に代わりに全額を払った日から6か月を過ぎる前に申し立てれば、まだ使えます(198条2項)。
  4. 払い方:原則は約定どおり払い、認可までの滞納分は計画の期間内に払います。それで難しければ、最終の支払い期限を約定から10年を超えず、変更後の最終期限の時点で70歳を超えない範囲で延ばす方法も、計画の認可の見込みがない場合には取れます(199条2項)。
  5. 認可されない場合:住宅を失う見込みがあるときは、計画は認可されません(202条2項3号)。

住宅ローンの額そのものは減らないことに注意してください。減るのはカードローンなどほかの借金で、その返済と住宅ローンの返済を両方続けられる収入が要ります。要件の詳しい当てはめは個人再生で住宅ローンを払い続ける特則で扱っています。

債務整理の後に新しく住宅ローンを組める時期の目安

住宅ローンの審査では、銀行などが信用情報を照会します。全国銀行個人信用情報センターの加盟資格には、銀行、政府関係金融機関、信用保証協会、銀行・政府関係金融機関の推薦を受けたクレジットカード会社や保証会社が並んでいます。どの機関の記録を見るかは申込先ごとに違うので、3つの機関すべての記録が残っているものとして考えておきます。

3つの機関ごとの年数は、債務整理の後の生活はどうなる?変わることと変わらないことの表にまとめてあります。住宅ローンで押さえるのは、官報に載る個人再生と自己破産では、銀行系が使う全国銀行個人信用情報センターに官報情報が決定日から7年を超えない期間残ることです。

たとえば任意整理で和解し、5年かけて返した場合、JICCの数え方では記録が消えるまでの上限は和解から約10年です(筆者の計算:返済5年+終了後5年)。「任意整理から5年」と覚えていると、返済中に申し込んで記録が見える、ということが起きます。機関ごとの年数の一覧はブラックリストの期間の早見表を参考にしてください。

記録が消えた後の審査は、各金融機関が収入・勤続・借入の状況・物件などを総合して判断します。信用情報機関は審査をしないので、落ちた理由を機関に聞いても答えはありません(CIC)。記録が審査にどう関わるかの考え方は信用情報に傷があると住宅ローンは組めない?にまとめています。

住宅ローンを申し込む前に確かめること

記録が消える時期が近づいたら、申し込む前に次の点を確かめます。

  1. 3つの機関で開示する:債務整理した契約や官報情報が残っていないかを見ます。報告書に保有期限が表示される機関もあります。手順は信用情報の開示のやり方へ。
  2. 完済や免責が正しく反映されているかを見る:自己破産の後に残高が残ったまま表示されていたら、免責を確かめられる資料をそろえて登録元の会社に更新を頼みます。
  3. 申込みを短期間に重ねない:申込みの記録は、CICで照会日から6か月、全国銀行個人信用情報センターでは会員への提供が6か月を超えない期間残ります。事前審査を何行にも同時に出すと、その記録が並びます。
  4. 頭金と返済の計画を数字で用意する:記録がなくなっても、取引の履歴が少ない状態です。手元資金と、返済が収入に占める割合を示せる準備をしておきます。
  5. 整理の対象にした銀行やその系列は後回しにする:信用情報の記録とは別に、過去の取引をどう考えるかはその銀行の判断です。

家族の名義で組む・家族と一緒に組むときの注意

自分の記録が残っている間に家を買いたいときは、配偶者の名義で組む方法を考える人もいます。この場合、審査されるのは原則として申し込んだ配偶者です。一方で、ペアローンや連帯債務、収入合算のように自分も契約者や保証人になる形では、自分の信用情報も審査の対象になります。

家族の名義にするときは、次の点を先に話し合ってください。

  • 返済の責任を負うのは名義人で、払えなくなったときに困るのも名義人であること
  • 家の持ち分と、ローンの名義をどう分けるか
  • 債務整理の手続き中(特に個人再生の計画の返済中や破産の手続き中)に、大きな契約をしてよいか、依頼先に確かめること

結婚や同居で家を考えている人は、配偶者の信用情報との関係を債務整理は結婚に影響する?で整理しています。家を買う前の住まいとして賃貸を探すときの注意は、次の債務整理後のアパート契約はできる?にまとめました。

よくある質問

Q. 住宅ローンを滞納していても、個人再生で家を残せますか?

滞納が続いて保証会社が銀行に代わりに払った(代位弁済)後でも、その日から6か月を過ぎる前に個人再生を申し立てれば、住宅資金特別条項を定められると民事再生法198条2項にあります。6か月を過ぎると使えなくなるので、督促や代位弁済の通知が届いているなら、日付を確かめてすぐに相談してください。

Q. 任意整理の返済中に住宅ローンを申し込めますか?

和解後の分割返済中は、JICCでは「契約継続中」として債務整理の記録が残る数え方です。この間の申込みは、審査で記録が見られる前提で考えます。完済して契約が終わってからも5年以内は記録が残りうるので、開示で消えたことを確かめてから申し込む方が、無駄な申込みの記録を増やさずに済みます。

Q. 配偶者の名義なら住宅ローンを組めますか?

配偶者が単独で申し込む場合、審査されるのは原則として配偶者の収入と信用情報です。ただし、自分が連帯債務者や連帯保証人になる、収入を合算する、といった形では自分の記録も審査の対象になります。名義と持ち分は、税金や将来の売却にも関わるので、申込みの前に金融機関で確かめてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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