債務整理の全体と選び方 / Q&A

債務整理にかかる期間|相談から終わるまでの手続き別の目安

この記事のもくじ
  1. 債務整理の期間は「手続き」と「返済」に分けて考える
  2. 手続き別の段階と、期間を決める法律の定め
  3. 期間が延びやすい場面と、短くするために自分でできること
  4. 最長で何年かかるか

債務整理の期間は、手続きそのものにかかる期間と、決まった額を返していく期間の2つに分けて考えると見通しが立ちます。返済を続ける手続きでは、後者のほうがずっと長くなります。たとえば個人再生の返済期間は、計画の認可が確定してから原則3年、特別な事情があれば5年までと法律で決まっています。任意整理の分割は相手との合意で決まり、日本司法書士会連合会はおよそ3年程度の和解が多いと説明しています。自己破産には返済の期間がなく、免責許可の決定が確定すれば返済の責任を免れます。

債務整理の期間は「手続き」と「返済」に分けて考える

手続き別に、2つの期間を並べます。手続きの期間は、借入先の数、書類が集まる早さ、裁判所の運用で変わるため、法律で決まっている部分と、事情で変わる部分を分けて書いています。

早見表:手続き別の「手続きの期間」と「返済の期間」
手続き 手続きの期間(相談から返済開始・終了まで) 返済の期間 根拠
任意整理 法律の定めなし。取引履歴の取り寄せと交渉の早さで変わる 合意による(およそ3年程度の和解が多い) 日本司法書士会連合会の説明
特定調停 民事調停一般は2、3回の期日でおおむね3か月以内に終了 調停で合意した期間 裁判所「民事調停」
個人再生 申立てから認可の確定まで、裁判所の手続きの段階を順に経る 認可の確定から原則3年、最長5年 民事再生法229条2項
自己破産 申立て → 開始決定 → 免責の判断。管財事件は財産の換価の分だけ長くなる なし 破産法216条・251条・252条

特定調停の「おおむね3か月」は、裁判所が民事調停全体について示している目安です。特定調停に限った統計ではないので、借入先が多いときや申立先が分かれるときは長くなると考えておきます。

手続き別の段階と、期間を決める法律の定め

任意整理の段階は、相談 → 依頼(受任通知の発送)→ 取引履歴の取り寄せと残高の確認 → 借入先ごとの交渉 → 和解 → 分割返済の開始、です。法律で期間が決まっている段階はありません。借入先の数が多い、取引の期間が長く履歴の確認に時間がかかる、といった事情で交渉の期間は延びます。依頼の時点で、和解までの見込みを依頼先に聞いておくと予定が立てやすくなります。段階ごとの細かい流れは任意整理の手続きの流れ|相談から和解・返済開始までの期間で扱っています。

特定調停は、資料をそろえて申し立てると、調停期日が指定されます。成立すれば調停調書が作られ、そこから合意した返済が始まります。合意の見込みがないと不成立で終わることがあり(特定調停法18条)、その場合は別の手続きを考えることになるので、全体の期間はさらに延びます。流れは債務整理の特定調停とは?自分で申し立てる流れと任意整理との違いにあります。

個人再生は、申立て → 開始決定 → 債権の届出と異議の期間 → 再生計画案の提出 → 書面による決議(給与所得者等再生では意見の聴取)→ 認可決定の確定 → 返済の開始、と進みます。段階ごとに、法律で決まった期間が入ります。申立てから認可の確定までの期間は裁判所の運用で決まる部分が大きく、計画どおりの額を積み立てる運用(いわゆる履行テスト)がある裁判所もあります。詳しくは個人再生の流れ|申立てから認可決定・返済開始までの期間へ。

自己破産は、申立て → 破産手続開始の決定 →(管財事件なら財産の調査・換価・債権者集会)→ 免責についての意見を出す期間 → 免責許可の決定 → 確定、と進みます。免責について債権者などが意見を述べられる期間は、公告が効力を生じた日から1か月以上と決まっています(破産法251条3項)。財産が少なく費用も出せないときは、開始決定と同時に手続きを終える同時廃止になり(216条1項)、管財人が財産を調べて換価する管財事件より短く終わります。どちらになるかは裁判所が判断します。段階ごとの流れは自己破産の流れ|相談から免責許可の決定までの期間と手順へ。

期間が延びやすい場面と、短くするために自分でできること

どの手続きでも、期間が延びる原因の多くは書類と連絡です。次のチェック表を、相談の前から少しずつ進めておくと手戻りが減ります。

  • 借入先ごとの契約書・利用明細・返済の記録を探してまとめる(なければ会社名と借りた時期だけでも書き出す)
  • 給与明細・源泉徴収票など、収入が分かる書類を2か月分以上そろえる
  • 家計の収支を毎月書き留める(個人再生・自己破産では家計の状況を出すことが多い)
  • 通帳の記帳をして、手元にない期間の取引も確かめておく
  • 依頼先からの連絡(電話・メール)に、決めた日数のうちに返す
  • 住所・勤務先・収入が変わったら、すぐに依頼先へ伝える

相談の場では、全体の見通しを段階ごとに聞いておくと予定を組めます。聞き方の例です。

文例:「受任してから、和解(または申立て、認可、免責の判断)までの見込みを段階ごとに教えてください。私のほうで遅れやすい書類はどれですか」

反対に、次のような事情があると長くなりやすくなります。

  • 借入先が多い、または取引の期間が長い
  • 自己破産で、財産や免責不許可事由を調べる必要があり管財事件になった
  • 個人再生で、債権の額に争いがあり評価の手続きが入った
  • 特定調停で、借入先ごとに申立先の簡易裁判所が分かれた

費用の準備も期間に関わります。東京地方裁判所は、個人の管財事件の予納金を最低20万円などと公表しており(2026年1月1日現在)、こうした費用を積み立ててから申し立てる場合は、その分だけ開始が後ろにずれます。予納金の額は裁判所ごとに違うので、申立先の地方裁判所の案内で確かめます。

最長で何年かかるか

「最長何年」と聞かれたときは、返済の期間と、信用情報に記録が残る期間を分けて答えます。

何の期間か 手続き 長さ
返済 個人再生 原則3年、特別な事情があれば5年を超えない範囲(民事再生法229条2項)。認可の後にやむを得ない事由があれば、最終の期限から2年を超えない範囲で延長できる(234条1項)
返済 任意整理・特定調停 法律の上限はなく、合意した回数による
返済 自己破産 なし(免責されない税金などは別)
信用情報 4つの手続き JICCは2019年10月1日以降の契約について、債務整理・破産申立などの取引事実の情報を契約継続中と契約終了後5年以内

計算すると、個人再生では返済期間が最長で5年、さらに延長が認められれば合わせて7年まで延びることがあります(筆者の計算:5年+2年)。任意整理では、返済中は契約が続いているので、信用情報の5年は返し終えてから数え始めます。返済の期間を短くしたいときは、和解のあとの繰り上げ返済ができるかを依頼の時点で確かめておきます。

手続き全体の流れは債務整理の手続きの流れ|相談・受任通知から和解や申立てまでで、どの手続きを選ぶかは債務整理とは?4つの手続きの違いと自分に合う方法の選び方で確かめられます。依頼先を比べるときは、和解や申立てまでの見込みの期間、連絡の方法、資格者本人と面談できるかを聞いておくと、期間の見通しも立てやすくなります。

次は、借金の一部だけを整理できるかを債務整理は一部のみ選べる?手続き別に対象から外せる借金の範囲で確かめておきましょう。

よくある質問

Q. 返済している途中で収入が減ったら、返済期間を延ばせますか?

個人再生では、やむを得ない事由で計画どおりの返済が著しく難しくなったとき、最終の期限から2年を超えない範囲で延長を申し立てる制度があります(民事再生法234条1項)。任意整理は法律の制度ではないため、借入先と改めて話し合う再和解になり、応じるかは相手しだいです。

Q. 自己破産の手続き中に旅行や引っ越しをしてもよいですか?

破産者は、裁判所の許可を得なければ居住地を離れられません(破産法37条1項)。裁判所の民事事件Q&Aも、破産手続が終わるまでは許可なしに転居できないと説明しています。予定があるときは、依頼した弁護士を通じて早めに裁判所へ相談します。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

任意整理の手続きの流れ|相談から和解・返済開始までの8段階

自己破産の流れ|相談から免責許可の決定までの期間と手順

個人再生の流れ|申立てから認可決定・返済開始までの期間

債務整理の手続きの流れ|相談・受任通知から和解や申立てまで