債務整理の全体と選び方 / 手順

債務整理の手続きの流れ|相談・受任通知から和解や申立てまで

この記事のもくじ
  1. 債務整理の手続きは、最初の4段階が共通
  2. 4つの手続きで分かれる部分を1枚で見る
  3. 特定調停の流れ
  4. 個人再生の流れ
  5. 自己破産の流れ
  6. どの手続きでも、途中で守ること

債務整理の手続きは、相談 → 委任契約 → 受任通知 → 取引履歴の取り寄せ → 方針の決定までが、どの手続きでも共通です。そこから先は、業者と話し合う任意整理、簡易裁判所で話し合う特定調停、地方裁判所に申し立てる個人再生と自己破産の4つに分かれます。この記事は、全体を1枚の表で見せ、分かれ道ごとの進み方の骨組みを示します。各手続きの詳しい流れは、記事の中のリンク先で読めます。

債務整理の手続きは、最初の4段階が共通

どの手続きを選ぶにしても、最初に次の4段階を踏みます。

段階 中身 自分がすること
1 相談・面談 借入先、残高、収入、家族の状況を伝え、考えられる手続きと見通しを聞く 借入一覧と家計のメモを用意する
2 委任契約 依頼する範囲と費用を書面で確かめ、契約する 費用の総額と払い方を書面でもらう
3 受任通知 弁護士・司法書士が、各社に代理人になったことを書面で知らせる 業者から連絡が来たら依頼先に回す
4 取引履歴・残高の確認 各社の取引の記録を取り寄せ、借入れと返済の経過を確かめる 依頼先からの問い合わせに返事をする

日本弁護士連合会の規程は、受任する予定の弁護士が自ら債務者と面談し、借金の内容、資産・収入・生活の状況を聴き取ってから受任することを求めています(3条)。方針と費用、資格の制限や信用情報への登録といった不利益も、受任の際に説明する決まりです(4条)。無料相談で何を聞くかは債務整理の無料相談を使うコツ|聞くことと持ち物のチェック表に、事務所に行かずに進められるかは債務整理はオンライン面談でできる?面談が求められる理由と確かめ方にまとめています。

3の受任通知は、貸金業法21条1項9号が前提にしている書面です。通知が届き、直接要求しないよう求めたのに、貸金業を営む者が正当な理由なく電話・電報・FAX・訪問で返済を求めることが禁じられます。止まる範囲と止まらない支払いは債務整理の受任通知とは?督促が止まる仕組みと止まらない支払いで表にしています。

4の取引履歴は、貸金業者が債務者ごとの帳簿を備えなければならず、債務者や代理を任された弁護士・司法書士が閲覧・謄写を求めたとき、権利の行使の調査が目的でないことが明らかな場合を除いて拒めない、という決まりが根拠です(貸金業法19条の2)。履歴が届くと、本当の残高と、借入れの全体像が見えます。ここまでそろって初めて、どの手続きにするかを決められます。

4つの手続きで分かれる部分を1枚で見る

早見表:手続きの流れの比較(相談から終わりまで)
任意整理 特定調停 個人再生 自己破産
共通の部分 相談 → 契約 → 受任通知 → 取引履歴(特定調停は自分で申し立てるときは依頼なしでも進められる) 同左 同左 同左
話し合い・審理の場 業者との交渉(裁判所を使わない) 簡易裁判所の調停 地方裁判所 地方裁判所
申立先 なし 相手方(業者)の住所地を管轄する簡易裁判所 債務者の住所地を管轄する地方裁判所 債務者の住所地を管轄する地方裁判所
申立ての印紙 なし 調停の申立手数料が要る 1万円 破産1,000円+免責500円
手続きの中心 取引履歴を引き直し、社ごとに和解書を結ぶ 調停委員を交えて返済方法を話し合う 再生計画案を出し、債権者の意見を聞いて認可を受ける 破産手続開始の決定と、免責許可の決定
終わり方 和解書どおりに返し終える 調停が成立し、調停調書どおりに返す 認可決定の確定後、計画どおりに返す 免責許可の決定が確定する

任意整理だけが、裁判所を通らずに、業者と1社ずつ話をつける手続きです。残りの3つは、裁判所が関わるぶん、書類が多く、提出と審理の段取りが決まっています。依頼先の違いも、ここで出ます。司法書士法3条1項4号は、司法書士の業務に「裁判所に提出する書類の作成」を挙げていますが、司法書士が代理人になれる裁判所の手続きは簡易裁判所のものに限られます(同項6号)。地方裁判所に申し立てる個人再生と自己破産で、申立人の代理人になれるのは弁護士です。線引きの詳細は債務整理は弁護士と司法書士どっち?140万円の線と選ぶときの確認点で読めます。

任意整理の流れ。 受任通知と取引履歴の後に、引き直し計算で残高を確かめ、社ごとに和解の条件(額・回数・将来の利息)を話し合い、合意したら和解書を交わして返済を始めます。裁判所を使わないので、差押えを止める法的な効果はありません。8段階に分けた時系列は任意整理の手続きの流れ|相談から和解・返済開始までの期間で、交渉に応じない業者が出たときは任意整理に応じない業者はある?和解できないときの次の手で読めます。

特定調停の流れ

特定調停は、簡易裁判所で債権者と返済方法を話し合う手続きです。裁判所の説明では、調停申立書を相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に出し、毎月いくらなら払えるか、どのくらい期限の猶予がほしいかを示します。申立てと同時に、財産の状況を示す明細書と関係する債権者の一覧表を出します(特定調停法3条)。給与明細や通帳の写し、契約書の写し、返済の領収証の写しなどの資料も添えます。調停が成立すると調停調書に記載され、確定した判決と同じ効力があります。返済を怠ると、調書に基づいて差押えを受けることがあります。

申立てにより、調停が終わるまで、民事執行の手続きの停止を命じてもらえる場合があります(特定調停法7条)。止まるかどうかは裁判所が判断します。くわしくは債務整理の特定調停とは?自分で申し立てる流れと任意整理との違いにあります。

個人再生の流れ

個人再生は、地方裁判所に申し立て、返済する総額を減らした再生計画の認可を受ける手続きです。大まかな順は次のとおりです。

  1. 申立書、債権者一覧表、住民票、収入と財産の資料などを地方裁判所に出す(印紙1万円)。
  2. 裁判所が再生手続の開始を決める。開始決定があると、再生債権に基づく強制執行は新たにできず、すでにされているものは中止する(民事再生法39条)。
  3. 小規模個人再生では、債権者が債権を届け出る期間と、債権額に異議を述べられる期間が設けられる(222条)。
  4. 再生計画案を出す。小規模個人再生は、計画案に同意しない債権者が、人数で半数に満たず、金額でも2分の1を超えないときに可決とみなされる書面決議(230条6項)。給与所得者等再生は、債権者の意見を聴いたうえで裁判所が認可を判断する(240条・241条)。
  5. 認可の決定が確定したら、計画どおりに返す。返済は、認可決定の確定日から原則3年後の月までで、特別の事情があれば最長5年、3か月に1回以上の分割払いにします(229条2項)。

差押えは、認可が確定すると効力を失います(184条)。詳しい日程は個人再生の流れ|申立てから認可決定・返済開始までの期間にまとめています。

自己破産の流れ

自己破産は、地方裁判所が破産手続の開始を決め、そのうえで免責許可が出ると、破産手続の対象になった借金を返す責任を免れる手続きです。手続きの開始だけでは、返済の責任は消えません。

  1. 申立書、債権者一覧表、事情説明書、財産目録、住民票などを地方裁判所に出す(印紙は破産1,000円と免責500円)。自分で申し立てると、免責の申立てもしたものとみなされます(破産法248条4項)。
  2. 裁判所が破産手続の開始を決める(30条)。財産が少ないときは、管財人を選ばずに終わる同時廃止になり、そうでなければ破産管財人が選ばれる管財事件になります。同時廃止では債権者集会は開かれません。
  3. 免責について、債権者と管財人が意見を述べられる期間が、公告の効力発生日から1か月以上設けられる(251条)。
  4. 免責許可の決定が確定すると、破産者は配当を除いて、破産債権の責任を免れる(252条7項・253条1項)。ただし、税金や国民健康保険料などの租税等の請求権、養育費などは免責されません。

差押えが止まる時点は、管財事件では開始決定のとき(42条)、同時廃止では廃止の決定と免責の申立てがあったときです。後者は中止にとどまり、免責が確定すると効力を失います(249条)。全体の日程は自己破産の流れ|相談から免責許可の決定までの期間と手順に書いてあります。

どの手続きでも、途中で守ること

  • 一部の業者にだけ返済したり、新たに借りたりする前に、依頼先に相談する。個人再生では、開始後は再生計画によらない返済ができなくなり(民事再生法85条1項)、自己破産では、特定の債権者にだけ利益を与える行為が免責不許可事由になりえます(破産法252条1項3号)。
  • 依頼先からの連絡には、決めた日数のうちに返事をする。
  • 住所・電話・収入が変わったら、すぐ知らせる。
  • 裁判所から書類が届いたら、期限を確かめて、その日のうちに依頼先に伝える。

手続きの途中で依頼先から辞任を告げられる場面は債務整理で弁護士が辞任するのはどんなとき?辞任を防ぐ注意点にまとめています。どの手続きにどれだけの期間がかかるかは債務整理にかかる期間|相談から終わるまでの手続き別の目安で、手続きの違いは債務整理の種類を比較|任意整理・個人再生・自己破産・特定調停の違いで確かめられます。

依頼先を選ぶときは、受任する弁護士・司法書士本人と面談できるか、費用の総額を書面で出してもらえるか、手続き別の見通しを説明してもらえるかを確かめます。依頼する前に整理しておくと役に立つのは、借入先ごとの残高と、いまの家計の収支です。次は債務整理の受任通知とは?督促が止まる仕組みと止まらない支払いで、依頼した後に何が止まり何が止まらないかを読んでください。

よくある質問

Q. 受任通知を出せば、裁判所の手続きは要らなくなりますか?

受任通知は、貸金業者などからの電話や訪問による直接の請求を止める書面です。借金の額を減らしたり、返す責任をなくしたりする効力はありません。返済の条件を変えるのは、業者との和解(任意整理)か、裁判所の手続き(特定調停・個人再生・自己破産)です。

Q. 裁判所の手続きは、自分で申し立てられますか?

自己破産・個人再生・特定調停は、本人が自分で申し立てることもできます。ただし裁判所は中立の立場で手続きを進めるため、債務整理や申立てに関する相談には応じないと案内しています。書類の書き方や手続きの選び方は、弁護士・司法書士か法テラスなどに相談します。

Q. 手続きは、どれくらいの期間で終わりますか?

法律で期間が決まっている段階は一部しかありません。たとえば個人再生の返済は、認可決定の確定の日から原則3年(特別の事情があれば最長5年)です。それ以外は借入先の数や裁判所の状況で変わるため、相談のときに依頼先へ見込みを聞きます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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