任意整理の手続きの流れ|相談から和解・返済開始までの8段階
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任意整理の手続きは、相談 → 委任契約 → 受任通知 → 取引履歴の取り寄せ → 引き直し計算 → 和解の交渉 → 和解書の取り交わし → 返済開始の8段階で進みます。和解までに何か月かかるかを決める法律の定めはなく、借入先の数、取引履歴が届く早さ、各社との交渉の進み方で長さが変わります。和解した後の分割返済については、日本司法書士会連合会(日司連)の相談ページが「およそ3年間程度」の和解が多いと紹介しています。依頼先の受任通知が業者に届いた後は、本人から「直接は求めないでほしい」と言われたのに、業者が正当な理由なく電話や訪問でなお返済を求め続けることが禁じられます(貸金業法21条1項9号)。
任意整理の手続きの流れを時系列で見る
全体を一枚にすると次のとおりです。右の列は、その段階で業者からの請求がどうなっているかを示しています。
| 順 | 段階 | 中身 | 長さを左右するもの | 業者からの請求 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 相談・面談 | 借入先・残高・収入を伝え、手続きの見通しを聞く | 予約の取りやすさ、手元の資料 | これまでどおり続く |
| 2 | 委任契約 | 契約書と費用の書面を受け取って依頼する | 方針と費用に納得するまでの検討 | 続く |
| 3 | 受任通知 | 依頼先が各社へ代理人になったことを知らせる | 依頼先の事務処理 | 届いた後は、電話・訪問での直接の請求が禁じられる(21条1項9号) |
| 4 | 取引履歴 | 各社が借入れと返済の記録を出す | 各社の対応、取引の長さ | 直接の請求は止まったまま(書面は届きうる) |
| 5 | 引き直し計算 | 利息制限法の上限利率で残高を計算し直す | 取引の長さと当時の利率 | 同上 |
| 6 | 和解の交渉 | 和解額・回数・利息の扱いを話し合う | 各社の方針、社数 | 同上(訴えを起こされることはありうる) |
| 7 | 和解書 | 合意した内容を書面にする | 書面のやり取り | 和解どおりの支払いに切り替わる |
| 8 | 返済開始 | 決めた日に毎月払う | 回数(3年程度の和解が多いとの説明) | 遅れると和解書の定めに従った扱い |
1から3までは、依頼する人の側の準備で早さが決まる部分です。4から6は相手の会社があるため、自分では早められません。依頼する前の段階で「和解まではどのくらいを見込めばよいか」を聞いておくと、生活の予定が立てやすくなります。依頼の前の相談で何を聞くかは、前に読む任意整理の相談の仕方|無料相談で聞くことと準備する書類にまとめています。
相談から受任通知まで:自分ですることと、止まる請求・止まらない請求
日司連の指針(2025年改正)は、債務整理の依頼を受けるとき、受任する予定の司法書士自身が依頼者と直接面談することを原則にしています。面談できない合理的な理由があり、本人が望む場合に限ってテレビ電話やウェブ会議を使えます。契約のときは、業務の範囲を明らかにした契約書と、報酬・費用とその算定方法を書いた書面を渡すことも求めています。弁護士に頼む場合の流れは任意整理を弁護士に頼む流れ|受任から和解までに自分がすることを見てください。
面談の前にそろえておくと、受任通知までが早く進みます。
- 借入先ごとの会社名・会員番号・おおよその残高・借りはじめた時期
- カード、契約書、利用明細、返済の記録(なければ会社名だけでもよい)
- 給与明細や源泉徴収票など、収入が分かる書類
- 1か月の家計の収支(返済に回せる額の見当をつけるため)
受任通知が届いた後に業者が禁じられるのは、本人から直接求めないよう言われたのに、正当な理由なく電話・電報・FAX・訪問でなお返済を求めることです(貸金業法21条1項9号)。郵便で書面が届くことや、裁判所に訴えを起こすことまで止める条文ではありません。家賃・税金・銀行のローンなど、貸金業者でない相手にはこの条文は直接及ばないので、対象にしない支払いは今までどおり続けます。止まる範囲の詳しい説明は債務整理の受任通知とは?督促が止まる仕組みと止まらない支払いにあります。依頼した後、業者への支払いを続けるか止めるかは自分で決めず、依頼先の指示を確かめてから動きましょう。
取引履歴と引き直し計算で、和解の土台になる残高が決まる
受任通知と前後して、依頼先は各社に取引履歴を求めます。貸金業者は債務者ごとの帳簿を備えなければならず(貸金業法19条)、債務者や、代理を頼まれた弁護士・司法書士から閲覧・謄写を求められれば、権利の行使に関する調査が目的でないことが明らかな場合を除いて拒めません(19条の2、施行規則17条の2)。帳簿は、契約ごとに最後の返済期日などから少なくとも10年は保存することになっています(施行規則17条1項)。
届いた履歴をもとに、利息制限法の上限で残高を計算し直すのが引き直し計算です。上限は元本10万円未満が年20%、100万円未満が年18%、100万円以上が年15%で、超えた利息の部分は無効です(利息制限法1条)。
| 借入れの状況 | 引き直しの結果の傾向 | 出どころ |
|---|---|---|
| 銀行ローンや、平成21年6月以降の借入れで、利率が上限以下 | 減額が望めない場合がある | 日司連の相談ページ |
| いまの貸付け全般 | 上限を超える利率で貸す業者はほとんどなく、計算し直す必要がないことが多い | 日司連の指針の解説 |
| 古くから上限を超える利率で借りていた | 残高が減る、または払いすぎ(過払い金)が見つかることがある | 日司連の相談ページ |
このため、最近借りた分が中心の人は、和解の交渉は「残高はそのままに、どう分けて払うか」が中心になります。払いすぎが見つかったときの扱いは任意整理で過払い金が見つかることはある?調べる範囲と流れで確かめてください。
和解の交渉から返済開始まで:和解書で確かめること
交渉では、借入先ごとに、和解する額、分割の回数と毎月の額、和解後の利息(将来利息)をつけるか、遅れた分の損害金をどうするか、を決めます。日司連の指針は、依頼者の経済的利益を損なう安易な和解をしてはならないと定め、解説では、将来利息や遅延損害金をつけることを安易に受け入れた例が苦情として寄せられたと書いています。利息と損害金の扱いは任意整理で延滞損害金と将来利息はどうなる?和解での扱い、回数と月額の決まり方は任意整理の返済期間は何年?分割の回数と月の返済額が決まる考え方で詳しく扱います。
和解書が届いたら、署名の前に次の項目を自分の目で確かめます。
- 和解する額(残高、経過した利息、損害金の内訳)
- 回数、毎月の額、初回の支払日と振込先
- 和解後の利息がつくかどうか
- 何回分(いくら)遅れると残りを一括で払う定めになっているか
- 繰り上げて返すことができるか
交渉がまとまらない会社が出ることもあります。その場合の次の手は任意整理に応じない業者はある?和解できないときの次の手にまとめています。返済は、自分で各社に振り込む方法と、事務所にまとめて預けて払ってもらう支払代行があります。日司連の指針では、司法書士の支払代行の手数料は1人1か月1,000円(税抜)までで、使うかどうかは依頼者が選べるものとされています。
返済期間中は契約が続いているので、信用情報の記録も消えません。JICCは、2019年10月1日以降の契約について、債務整理の情報を「契約継続中及び契約終了後5年以内」登録するとしています。
和解までの期間が延びやすい場面と、見込みの聞き方
期間が延びるのは、たいてい次のどれかに当てはまるときです。
- 借入先が多く、各社と別々に交渉している
- 取引が長く、途中で完済と借り直しをくり返していて、履歴の確認に時間がかかる
- 取引履歴の開示に時間がかかる会社がある
- 依頼者と連絡が取りにくく、書類や返事が遅れる
自分で縮められるのは最後の点です。依頼先からの連絡には決めた日数のうちに返し、住所や収入が変わったらすぐ知らせます。日司連の指針は、処理の状況を定期的に、また必要に応じて報告することを求めています。進み具合が見えないときは、次のように聞いてかまいません。
文例(依頼先への問い合わせ):「任意整理をお願いしている〇〇です。各社の取引履歴が届いたか、交渉がどこまで進んでいるかを教えてください。和解までにあとどのくらいかかる見込みかと、次に連絡をいただける時期もうかがえますか。」
これから依頼する人は、事務所を比べるときに、和解までの見込みの期間、進み具合の報告の方法、受任する資格者本人と面談できるかを同じように聞いておくと、選ぶ材料がそろいます。
依頼せずに自分で業者と話す方法もあります。何ができて何が難しいかは、次に読む借金の減額交渉は自分でできる?任意整理を本人が進める流れで整理しています。手続き全体の中での位置づけは債務整理の手続きの流れ|相談・受任通知から和解や申立てまでで確かめられます。
よくある質問
Q. 任意整理を頼んだら、業者からの電話はいつから来なくなりますか?
依頼先が出した受任通知が業者に届いた後は、本人から直接求めないよう言われたのに、正当な理由なく電話や訪問でなお返済を求めることが貸金業法21条1項9号で禁じられています。依頼した日ではなく通知が届いた日が境目なので、発送した日を依頼先に聞いておくと安心です。銀行や家賃・税金のように貸金業者でない相手には、この条文は直接は及びません。
Q. 交渉の途中で業者から裁判を起こされることはありますか?
受任通知は、電話や訪問での直接の請求を止めるもので、訴えの提起を禁じる条文ではありません。和解の話し合いが長引く間に、業者が訴えや支払督促を選ぶこともありえます。裁判所から書類が届いたら、期限があるので開封してすぐ依頼先に知らせてください。
出典・参考にした公的な情報
- 貸金業法 第19条の2・第21条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 貸金業法施行規則 第17条・第17条の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 利息制限法 第1条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 借金がふくらみ『多重債務』に陥りどうしようもない状況です(日本司法書士会連合会)
- 『多額の借金』返済できる限度を超えました(日本司法書士会連合会)
- 債務整理事件の処理に関する指針(令和7年理事会決定・改正)(日本司法書士会連合会)
- 債務整理事件の処理に関する指針の解説(日本司法書士会連合会)
- 信用情報の登録期間(JICC)(株式会社日本信用情報機構)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。