任意整理 / 手順

借金の減額交渉は自分でできる?任意整理を本人が進める流れ

この記事のもくじ
  1. 借金の減額交渉を自分でするときに、できることと難しいこと
  2. 本人が業者に返済条件の変更を頼む流れ
  3. 業者に伝える文例(電話・書面・取引履歴の請求)
  4. 特定調停との違いと、本人では難しいところ

借金の減額交渉を自分でするのは、できます。自分の借金について、本人が借入先に「回数を増やしたい」「月の額を下げたい」と頼むこと自体に、資格は要りません。ただし、弁護士・司法書士に頼む任意整理とは違って、督促を止める受任通知の効果がなく、条件を変えるかどうかは借入先の判断しだいです。利率が利息制限法の上限以下の借入れでは、計算し直しても元本はほとんど減らないため、本人の交渉で変えられるのは主に回数と月の額になります。裁判所の場で話し合いたいなら、簡易裁判所の特定調停という方法もあります。

借金の減額交渉を自分でするときに、できることと難しいこと

まず、本人で進める場合と、依頼する場合、特定調停を使う場合を並べます。

比較表:自分で交渉・任意整理を依頼・特定調停
比べる点 自分で交渉する 弁護士・司法書士に依頼 特定調停(簡易裁判所)
督促の電話・訪問 止める仕組みはない。返済や連絡の時期を申し出て、その申出が社会通念上相当なら、それ以外の時間帯の電話は正当な理由なくできない(貸金業法21条1項2号) 受任通知が届いた後は、直接の請求が禁止(同9号) 裁判所の手続をとり、裁判所から書面で通知があった場合も同9号が挙げている
取引履歴 本人が請求できる(19条の2) 代理人が取り寄せる 当事者は債権債務の内容を明らかにする(特定調停法10条)
計算し直し 自分で計算する 依頼先が計算する 調停の中で確かめる
決まった内容の形 借入先と取り交わす書面 和解書 調停調書
合意しないとき そのまま 次の手を相談 不成立で終わることがある(18条)

本人で進めるときに一番重いのは、督促が止まらないまま交渉することです。すでに延滞して一括の請求が来ている、借入先が4社も5社もある、という状態で一社ずつ電話をするのは、時間も気力も要ります。その場合は、任意整理の手続きの流れ|相談から和解・返済開始までの期間と見比べて、どちらが自分の生活に合うかを考えてみてください。

本人が業者に返済条件の変更を頼む流れ

手順は次の7つです。電話をかける前の1〜4がいちばん大事です。

  1. 借入一覧を作る:会社名、会員番号、残高、利率、毎月の返済額、返済日を一枚に書き出す。作り方は借金の返済計画の立て方|借入一覧の作り方と返す順番の決め方にあります。
  2. 返せる額を決める:1か月の収支から、無理なく返済に回せる合計を出す。これを各社の残高の割合で分ける。
  3. 契約の書面と取引履歴をそろえる:契約時の書面(貸金業法17条)がなければ、取引履歴の開示を求める。債務者は、利害関係のある部分の帳簿の閲覧・謄写を請求でき、業者は原則として拒めない(19条の2)。
  4. 計算し直しが要るかを見る:利率が利息制限法の上限(元本10万円未満は年20%、100万円未満は年18%、100万円以上は年15%)を超えていた時期がなければ、残高は変わらない。上限の早見は借金の金利の上限は何%?利息制限法と出資法の数字を早見表でへ。
  5. 電話で相談を申し入れ、内容を書面でも送る:相手の会社名と担当者の名前を聞いて控える。
  6. 決まった条件を書面で受け取る:回数、毎月の額、和解後の利息、遅れたときの扱い。
  7. 払った記録を残す:振込の控えを保管する。口座振込で払った分の受取証書は、請求すれば交付される(18条2項)。

注意したいのは、長いあいだ払っていない借金です。一部を払ったり、支払いの猶予を頼んだりすると、債務を認めたこと(承認)とされて、時効が新たに数え直しになることがあります(民法152条)。最後に払ってから何年もたっている借入先に連絡する前に、借金の時効は5年?援用の仕組みと時効が止まる・やり直しになる場合を読んでおきましょう。

業者に伝える文例(電話・書面・取引履歴の請求)

電話では、事情・払える額・頼みたいことの3つを短く伝えます。返事を急かされても、その場で払えない額を約束しないことが大切です。

文例(電話):「〇〇(氏名)です。会員番号は〇〇です。収入が減り、いまの約束どおりの返済を続けるのが難しくなりました。毎月〇万円であれば払い続けられます。返済の回数を増やすなど、条件の変更をご相談できないでしょうか。決まった内容は書面でいただけますか。」

文例(書面):「返済条件の変更についてのお願い。会員番号〇〇、氏名〇〇。〇年〇月から収入が月〇万円減り、現在の毎月の返済額〇円の支払いが難しくなっています。家計を見直した結果、毎月〇円であれば継続して返済できます。この額での分割返済へ条件を変更していただけるよう、ご検討をお願いいたします。給与明細の写しを同封します。」

文例(取引履歴の請求):「貸金業法第19条の2にもとづき、契約日から現在までの取引履歴(借入れと返済の日付・金額)の開示をお願いします。送付先は〇〇です。」

電話で担当者を名乗らないなど、相手が誰か分からないときは、会社名・担当者の名前・どの契約の請求かを尋ねてかまいません。取立てをする側は、相手方から請求があればこれらを明らかにすることになっています(貸金業法21条3項)。返済が遅れそうなときの一般的な連絡の仕方は借金の返済ができないときの業者への連絡の仕方と伝える文例にまとめています。

特定調停との違いと、本人では難しいところ

特定調停は、返済を続けるのが難しい人が、簡易裁判所で調停委員を交えて借入先と返済方法を話し合う手続きです。申立書は相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に出し、毎月いくらなら払えるかも示します(裁判所の簡易裁判所Q&A)。成立すると調停調書が作られ、日司連の相談ページは、決めた返済が滞るとすぐに給料などを差し押さえられる可能性があると注意しています。自分で動く点は同じでも、裁判所が間に入ることと、決まった内容に強い力があることが、本人の交渉との大きな違いです。流れと費用は債務整理の特定調停とは?自分で申し立てる流れと任意整理との違いで確かめてください。

本人の交渉で難しいのは、次の3つです。

難しいところ 理由
取引履歴の計算し直し 取引が長い、途中で完済と借り直しをくり返した、などの場合は計算が複雑になる
和解後の利息(将来利息)の扱い 回数を増やす代わりに利息が続く案を示されると、総額が増える。断ってよいかの判断材料が手元にない
複数社との同時の交渉 一社が応じても、ほかの会社は別に話す必要がある。督促も止まらない

日司連の相談ページは、銀行ローンや平成21年6月以降の借入れで利率が上限以下なら、引き直しによる減額は望めない場合もあると説明しています。つまり「減額」の中身は、元本が減ることより、利息のつき方と月の額が変わることのほうが多いと考えておくと、交渉の目標が立てやすくなります。

自分で動いてみて、督促が続いてつらい、条件の話が進まない、という場合は、依頼する選択肢に切り替えるのも一つの方法です。費用が心配なら、借金が返せないとき法テラスでできること|無料相談と費用立替の流れで立替えの仕組みを確かめておきましょう。

依頼先を選ぶときは、受任する資格者本人と面談できるか、費用の総額を書面で出してもらえるか、司法書士なら1社140万円以下の範囲に収まるかを確かめます。和解で決まる回数と月の額の考え方は、次に読む任意整理の返済期間は何年?分割の回数と月の返済額が決まる考え方で扱います。

よくある質問

Q. 自分で業者と話して返済条件を変えると、信用情報に載りますか?

載ることがあります。CICの開示報告書には、クレジット会社等との和解・再契約等で支払条件や支払総額が変わったものとして「支払条件変更」「支払総額変更」という表示があります。JICCも、債務整理などの取引事実を登録する項目に挙げています。弁護士・司法書士に頼んだ場合に限らず、条件が変わった事実が記録の対象になりえます。

Q. 「減額交渉を代わりにします」という業者に頼んでもよいですか?

弁護士・弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で和解などの法律事務を扱うことは弁護士法72条で禁じられています。代わりに交渉する相手を選ぶなら、弁護士か、1社140万円以下の範囲で代理できる認定司法書士かを確かめます。司法書士は、日本司法書士会連合会の司法書士検索で簡裁代理権の有無を見られます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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