任意整理 / Q&A

任意整理の返済期間は何年?分割の回数と月の返済額が決まる考え方

この記事のもくじ
  1. 任意整理の返済期間は何年?法律ではなく和解で決まる
  2. 月の返済額の計算:和解額 ÷ 回数(筆者の例)
  3. 払える額を先に決めて、回数を逆算する
  4. 逆算した回数が長すぎるときと、返済中に変えたくなったとき

任意整理の返済期間は、法律では決まっていません。借入先ごとに結ぶ和解で、分割の回数が決まります。日本司法書士会連合会(日司連)の相談ページは、分割で返す場合は3年間程度とする和解が多いようだと説明しています(3年=36回)。月の返済額は、和解後の利息をつけない和解なら 和解した額 ÷ 回数 で出せます。回数から考えるより、家計から払える月の額を先に決め、そこから回数を逆算して相談するほうが、和解の後に続けやすくなります。

任意整理の全体像は任意整理とは?仕組み・流れ・向いている人を一つずつ整理にあります。

任意整理の返済期間は何年?法律ではなく和解で決まる

和解は、当事者がお互いに譲り合って争いをやめる約束です(民法695条)。任意整理は裁判所を通さない話し合いなので、何年で返すかも、借入先が応じた内容で決まります。同じ債務整理でも、個人再生は返済期間が法律で決まっている点が違います。

手続き 返済期間の決まり方 目安として示されているもの
任意整理 借入先ごとの和解 3年間程度の和解が多い(日司連の相談ページ)
個人再生 法律 認可決定の確定から原則3年、特別の事情があれば5年を超えない範囲(民事再生法229条2項)
特定調停 簡易裁判所での調停の合意 調停で合意した回数

希望を出すことはできますが、長い回数を頼んでも、そのまま通るとは限りません。日司連の指針の解説は、任意整理をした人はその後も数年にわたって和解後の債務を払い続ける必要があると書いています。数年の間、毎月同じ額を払い続ける前提で、回数と月の額を考えることになります。

返済期間は、信用情報の記録の長さにも関わります。信用情報の記録は契約が終わってから5年が目安で、返済している間も契約は続いています。和解から数えると、3年で返せばおよそ8年、5年で返せばおよそ10年が、記録が残る期間の上限の目安になります(筆者の計算:返済期間+5年)。記録の消え方は任意整理でブラックリストに載る期間|信用情報の登録と消える時期で詳しく扱います。

月の返済額の計算:和解額 ÷ 回数(筆者の例)

借入先が3社、和解した額がA社60万円・B社40万円・C社20万円(合計120万円)で、和解後の利息をつけない場合を筆者が計算しました。1円未満は四捨五入しています。

計算表:回数ごとの月の返済額(和解額120万円・将来利息なしの場合)
回数(期間) A社 60万円 B社 40万円 C社 20万円 毎月の合計
36回(3年) 16,667円 11,111円 5,556円 約33,333円
48回(4年) 12,500円 8,333円 4,167円 25,000円
60回(5年) 10,000円 6,667円 3,333円 20,000円

割り切れない端数をどの回で払うかは、和解書の定めに従います。和解した額に、それまでの利息や遅れた分の損害金が含まれているかどうかで、割る前の数字そのものが変わる点にも注意してください。その扱いは任意整理で延滞損害金と将来利息はどうなる?和解での扱いで整理しています。

和解後も利息がつく和解だと、月の額は上の表より大きくなります。A社の60万円に年15%の利息がつき、元利均等で60回払いにした場合を筆者が計算すると、毎月は約14,274円、総額は約85.6万円で、利息なしの60万円より約25.6万円多くなります。同じ条件で36回なら毎月は約20,799円、総額は約74.9万円です。年15%は、元本100万円以上の借入れに対する利息制限法の上限(1条)を例として置いた数字で、実際の利率は和解の内容しだいです。

払える額を先に決めて、回数を逆算する

月の額から決めると、和解の後で家計が持つかどうかを確かめながら相談できます。手順は次のとおりです。

  1. 1か月の家計を書き出す:手取りの収入、家賃や光熱費などの固定費、食費などの変動費、急な出費のための予備を並べる。
  2. 返済に回せる額を出す:収入から支出と予備を引いた残りを、全社への返済の合計の上限にする。
  3. 回数を逆算する:和解の見込み額の合計 ÷ 回せる額 = 回数。上の例で回せる額が25,000円なら、120万円 ÷ 25,000円 = 48回(筆者の計算)。
  4. 各社に割り振る:残高の割合で分ける。上の例ならA社12,500円、B社8,333円、C社4,167円。
  5. 相談の場で数字で伝える:家計の表を見せながら、払える合計額を示す。

文例(相談先への伝え方):「家計を見直したところ、返済に回せるのは毎月2万5千円が上限です。3社の残高の合計は約120万円なので、48回程度での分割を希望します。この回数で各社と話し合うことはできますか。難しい会社があれば、その場合の案も教えてください。」

固定費の見直し方は赤字家計の立て直し方|借金返済中に固定費から見直す手順にあります。月の額を高めに約束すると、少しの出費で払えなくなる月が出ます。遅れたときに何が起きるかは、次に読む任意整理の返済が払えないとき|遅れたらどうなるかと再和解で確かめておきましょう。

逆算した回数が長すぎるときと、返済中に変えたくなったとき

逆算した回数が極端に長くなる場合は、任意整理が合っているかを見直す合図です。たとえば120万円を毎月1万円で返すと120回、10年かかります(筆者の計算)。借入額と月の返済額の関係は任意整理はいくらまでできる?借金額と月の返済額の目安で扱っています。返済額そのものを大きく減らす必要があるなら、法律で最低限の返済額が決まる個人再生と比べます。違いは任意整理と個人再生の違い|借金額・収入・住宅で選ぶ分かれ道へ。収入が少なく回数が長くなりやすいアルバイトやパートの人は、アルバイトやパートでも任意整理できる?収入の目安と準備で月の額の置き方を確かめられます。

返済の途中で、期間を変えたくなることもあります。向きによって見る記事が違います。

変えたい向き 考えること 読む記事
早く終えたい 繰り上げや一括で払えるか、和解書の定めを確かめる 任意整理後に繰り上げ返済や一括返済はできる?早く終える方法
月の額を下げたい 収入の変化を示して条件を決め直す再和解を頼む 任意整理の再和解とは?条件と応じてもらえない場合の選択肢

和解から返済開始までの段階は任意整理の手続きの流れ|相談から和解・返済開始までの期間にまとめています。回数は和解の時に決まり、後から変えるには借入先の同意が要るので、最初の相談で家計の数字をそろえておくことが、いちばん効く準備になります。

よくある質問

Q. 借入先ごとに返済の回数がばらばらになってもかまいませんか?

和解は借入先ごとに結ぶので、会社によって回数や毎月の額が違うことはあります。大事なのは、全社の毎月の合計が家計から払える額に収まっているかです。回数の短い会社が終わると、その分だけ月の負担が軽くなる流れも見込んでおきましょう。

Q. ボーナスの月だけ多く払う形の和解は頼めますか?

和解の中身は借入先との話し合いで決まるので、ボーナス月に多めに払う案を示すことはできます。応じるかどうかは借入先しだいです。ボーナスは減ったり出なかったりすることがあるので、出なくても払える毎月の額を先に固め、上乗せは繰り上げ返済として後から払う考え方もあります。

Q. 返済期間を長くすると、信用情報の記録も長く残りますか?

長くなる方向に働きます。JICCは2019年10月1日以降の契約について、債務整理の情報を「契約継続中及び契約終了後5年以内」登録するとしています。返し終わるまでは契約が続いているので、返済期間が延びれば、記録が消える時期もその分あとになります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

任意整理の返済が払えないとき|遅れたらどうなるかと再和解

任意整理の手続きの流れ|相談から和解・返済開始までの8段階

任意整理後に繰り上げ返済や一括返済はできる?早く終える方法

任意整理はいくらまでできる?借金額と月の返済額の目安