任意整理の再和解とは?条件と応じてもらえない場合の選択肢
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任意整理の再和解は、和解した後に収入が下がるなどして返せなくなったとき、借入先ともう一度、返す額や回数を決め直すことです。法律で決まった制度ではなく、前の和解と同じく借入先が応じるかどうかしだいです。応じてもらえる見込みを高めるには、遅れる前に連絡し、収入の変化と今払える額を書類で示します。応じてもらえなければ、個人再生か自己破産に進む分かれ道になります。
任意整理の再和解とは|法律の制度ではなく和解のやり直し
任意整理の和解は、お互いに譲り合って争いをやめる約束です(民法695条)。再和解は、その約束の中身を結び直す話し合いです。たとえば次のような場面で使われます。
- 転職や病気で手取りが減り、毎月の額を払い続けられない
- 払えない月が出て、遅れた分の扱いを決め直したい
- 回数を延ばして、月の額を下げたい
借入先に再和解に応じる義務はなく、条件を変えるかどうかも借入先が決めます。任意整理に応じない業者がいるのと同じで、再和解にも断られる可能性があります。断られたときの道筋は、この記事の後半で扱います。
遅れがすでに出ているか、まだ出ていないかで、話の進め方が変わります。
| いまの状態 | 先にすること | 読む記事 |
|---|---|---|
| まだ遅れていない(遅れそう) | 支払日の前に、事務所か借入先へ連絡する | 任意整理の返済が払えないとき |
| 1〜2回遅れた | 遅れた分と損害金の額を確かめ、払える日を伝える | 同上 |
| 一括請求の通知が来た | 通知の期限と、和解書の期限の利益の条項を確かめる | 同上 |
再和解を頼むのは、遅れそうだと分かった時点がいちばん早い段階です。遅れが重なり、一括請求や裁判の話になってからでは、選べる条件が狭くなります。
再和解を頼む前の準備|収入の変化を数字と書類で示す
借入先から見て知りたいのは、「なぜ払えなくなったのか」と「新しい条件なら続けられるのか」の2点です。準備は次の順で進めます。
- 和解書を手元に出す:毎月の額、残りの回数、残りの総額、遅れたときの条項を確かめる。
- 収入と支出の変化を書き出す:前の和解のときと今を並べ、減った額と理由(減給、休職、離職、家族の事情)を書く。
- 払える額を決める:家計の表で、全社への返済に回せる合計の上限を出す。算出の仕方は任意整理の返済期間は何年?分割の回数と月の返済額が決まる考え方の手順が使える。
- 裏づけの書類をそろえる:給与明細、源泉徴収票、診断書や休職の通知、離職票、雇用契約書の写しなど、変化を示せるもの。
- 返済の記録を整理する:前の和解でこれまで遅れずに払ってきた回数と日付。
支払いを代行する事務所に頼んでいるときは、先に事務所へ相談します。自分で業者に連絡する前に、事務所が連絡を引き受けるのか、本人が連絡してよいのかを決めておくためです。
文例(事務所へ):「〇年〇月に和解した〇〇です。〇月から勤務先の事情で手取りが月〇万円減りました。今の家計だと毎月払える合計は〇万円までです。和解の条件を変えてもらうことは頼めますか。必要な書類と、費用がかかるかどうかを教えてください。」
文例(借入先へ。自分で振り込んでいる場合):「和解に基づいて返済している〇〇(会員番号〇〇)です。〇月から収入が〇円減り、今の月額を続けるのが難しくなりました。月〇円・〇回に変えていただくことはできますか。収入の変化を示す書類を送ります。」
借入先が「書類を出してほしい」と言ったときは、求められた分だけをコピーして送り、原本は手元に残します。
再和解の費用と、頼む先の選び方
再和解の費用は、法律で額が決まっていません。依頼先との契約で決まります。確かめる点は次のとおりです。
- 最初の任意整理の契約に、和解後の条件の変更が含まれているか
- 別料金なら、1社あたりの金額と総額はいくらか
- 費用を払うのは、成立したときか、依頼したときか
- 本人が借入先と直接やりとりしてよい範囲はどこまでか
費用の内訳の見方は任意整理の費用はいくら?1社あたりの内訳と総額の出し方にあります。「再和解におすすめの事務所」を順位で示すことはしません。選ぶときの確認点は任意整理の事務所の選び方|おすすめと書かれる前に見る8項目が使えます。
最初に任意整理を頼んだ事務所へ相談するのが、書類と経緯が揃っているので手早い進め方です。別の事務所に頼み直す場合は、前の和解書と、これまでの返済の記録を持っていきます。
信用情報への影響と、返済が長引くときの注意
再和解で返済の条件が変わると、信用情報に表れることがあります。CICの開示報告書には、経過状況として「支払条件変更(和解・再契約等。減額を除く)」という項目があります。JICCは、返済条件変更などの情報を、2019年10月1日以降の契約では契約継続中と契約終了後5年以内のあいだ登録するとしています。
記録が消える時期の起点は、完済して契約が終わった日です。再和解で返済が長引くと、起点もそのぶん後ろにずれます。筆者の計算で、36回で2029年10月に終わるはずだった和解が、再和解で2031年10月まで延びれば、記録が消える目安は2034年10月ごろから2036年10月ごろに動きます。消え方の全体は任意整理の完済後にすること|信用情報の回復とカード・ローンで確かめられます。
応じてもらえないときの分かれ道|個人再生・自己破産
再和解を断られたら、返済の見通しで次の道を比べます。
| 状況 | 考える手 | 確かめること |
|---|---|---|
| 条件を少し変えれば払える | 回数や額を見直して、もう一度再和解を頼む | 払える額の根拠、他社の返済との合計 |
| 継続した収入はあるが、任意整理の額では払えない | 個人再生 | 借金の総額が5,000万円以下(住宅ローン等を除く)で収入の見込みがあるか(民事再生法221条1項) |
| 返済の見込みが立たない | 自己破産 | 免責不許可事由に当たらないか、当たる場合の裁判所の裁量(破産法252条) |
個人再生は、裁判所が認めた再生計画で、返す額に法律の下限があります。借金の総額(基準債権)が100万円〜500万円なら下限は100万円、500万円〜1,500万円なら5分の1です(民事再生法231条2項4号。住宅ローン等を除く)。筆者の計算で、和解後に残った借金が300万円なら、任意整理を36回で払うと毎月約83,333円、個人再生の下限の100万円を36回で払うと毎月約27,778円です。ただし下限は、財産の価値(清算価値)などで上がることがあります。返済期間は認可の確定から原則3年、特別の事情があれば5年までです(229条2項)。全体の比べ方は任意整理と個人再生の違い|借金額・収入・住宅で選ぶ分かれ道にあります。
自己破産は、破産手続の開始の原因が「支払不能」(15条1項)で、そのうえで免責の許可を受けて責任を免れる手続きです。税金や養育費などは免責されません(253条1項)。保証人がいる借金は、免責されても保証人への請求は残ります(253条2項)。比べ方は任意整理と自己破産の違い|返済の有無と失うものを比べるに書いています。
どちらの手続きも、申立ての前に特定の人にだけ返済すると、後の手続きで問題になることがあります。たとえば自己破産では、特定の債権者に特別の利益を与える目的で、義務のない弁済や、義務の方法・時期によらない弁済をすることが、免責不許可事由に挙がっています(252条1項3号)。再和解の話し合い中は、家族や友人の借金を先に返す、別の借入れで穴埋めするといったことは避け、依頼先に相談してから動きます。
再和解の話し合いで気をつけること
- 口約束で済ませない:新しい条件は、書面(合意書や和解書)で受け取る。
- 前の条件で払う分は止めない:話し合い中でも、条件が変わるまでは前の約束が続く。払える範囲を払い、払えない分は連絡する。
- 新しい借入れで埋めない:返済がさらに増える。任意整理中に新たな借り入れはできる?借りた場合に起きることで確かめられる。
- 早く終えたい場合は逆の話:余裕ができて一括で返したいときは、任意整理後に繰り上げ返済や一括返済はできる?早く終える方法へ。
収入が戻る見込みが近いなら、再和解で月の額を下げ、戻ったら繰り上げて払う、という組み立ても考えられます。収入が戻る見込みがなければ、個人再生や自己破産との比較を早めに始めたほうが、選べる道が残ります。
よくある質問
Q. 再和解に応じてもらえる条件は決まっていますか?
法律に条件はなく、借入先がそれぞれ判断し、一律の基準はありません。こちらでできるのは、収入が下がった理由と時期、今払える額、払える見込みの期間を書類つきで示し、前の和解の返済を遅れなく続けてきた記録を整えることです。
Q. 再和解をすると、信用情報の記録はまた最初から数え直しになりますか?
再和解の内容が返済条件の変更として登録されることがあります。JICCは、2019年10月1日以降の契約の返済条件変更などの情報を、契約継続中と契約終了後5年以内のあいだ登録するとしています。起点は完済して契約が終わった日なので、再和解で返済が長引けば、記録が消える時期もそのぶん後になります。
Q. 再和解の費用はいくらですか?
法律で決まった額はなく、依頼先との契約で決まります。最初の任意整理の契約に条件の変更が含まれているか、別料金かを契約書で確かめてください。見積もりは、1社あたりの金額と総額を書面で出してもらい、比べるのが確実です。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第695条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民事再生法 第221条・第229条・第231条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 破産法 第15条・第252条・第253条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 個人再生手続(裁判所)(最高裁判所)
- 信用情報の登録期間(JICC)(株式会社日本信用情報機構)
- 信用情報開示報告書 表示項目の説明(CIC)(株式会社シー・アイ・シー)
- 債務整理事件の処理に関する指針の解説(日本司法書士会連合会)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。