任意整理の費用はいくら?1社あたりの内訳と総額の出し方
任意整理の費用は、1社ごとに決まる報酬(着手金・解決報酬金)×対象の社数に、減額報酬や過払い金の報酬と実費を足したものです。「いくら」は事務所と社数で変わるため、相場の数字ではなく、決まりのある上限と自分の社数での計算式で見るのが確実です。弁護士の解決報酬金は1社2万円以下が原則(税別、日本弁護士連合会)、司法書士は1社あたり着手時とその後の報酬の合計が5万円まで(税抜、日本司法書士会連合会)という上限があり、弁護士の着手金だけは上限の決まりがありません。
任意整理の全体像は任意整理とは?仕組み・流れ・向いている人を一つずつ整理にまとめています。
任意整理の費用の内訳|弁護士と司法書士の上限
まず、費用に出てくる項目を、2つの団体の決まりで並べます。上限は、どちらも法律ではなく弁護士会・司法書士会の自主的な決まりで、消費税を含まない額です。
| 項目 | 弁護士(日弁連の規程・案内) | 認定司法書士(日司連の指針) |
|---|---|---|
| 着手金 | 上限の決まりはない | 着手時の報酬とその後の報酬の合計で、債権者1人あたり5万円まで |
| 解決報酬金 | 1社あたり2万円以下が原則(商工ローンは5万円以下) | 上の5万円の中に含まれる |
| 減額報酬 | 減額分(業者の主張額と実際に払う額の差)の10%以下 | 減額・免除された元本の10%以下(5万円とは別枠) |
| 過払い金の報酬 | 回収額の20%以下(訴訟なら25%以下) | 回収額の20%以下(訴訟なら25%以下)(5万円とは別枠) |
| 支払代行(送金代行)の手数料 | 規則で金額の規制がある(個別手数料の原則禁止の例外) | 依頼者1人につき月1,000円まで。使うかは依頼者が選ぶ |
| そのほかの名目 | 着手金を受けている間の個別手数料(管理費・引き直し計算の手数料など)は原則受けられない | 上の項目以外の報酬を請求・受領しない |
弁護士の規程が対象にしているのは、消費者や従業員の少ない小さな会社の任意整理です(総債権者への債務が住宅ローンを除いて5,000万円を超える人は除かれます)。日弁連の案内は、破産や民事再生の報酬は規制の対象外としています。司法書士の指針は、債権者1人あたりの合計の上限を「定額」とはしておらず、より低い基本報酬に追加の報酬を足した合計が天井だと日司連の解説は説明します。上限があっても、その額が相場とは限りません。
司法書士に頼める範囲は、1社あたり140万円以下の債権です。境目の見方は任意整理は司法書士に頼める?1社140万円の線と確かめ方で確かめられます。
総額の出し方|3社を例にした筆者の計算
下の式に、自分の社数と、見積書の数字を入れれば総額が出ます。
総額=(1社の着手金+1社の解決報酬金)×社数 +減額報酬(減った額×割合) +過払い金の報酬(回収額×割合) +実費・支払代行の手数料 (上限は税別なので、最後に消費税を加えて税込にそろえる)
次は、計算の練習のために置いた仮の数字です。実際の料金や相場を示すものではありません。
弁護士に3社を頼む場合(金額は税別、筆者の計算)
- 着手金:1社2万円(仮)×3社=6万円
- 解決報酬金:1社2万円(日弁連の原則の上限)×3社=6万円
- 減額報酬:業者の主張額が合計で17万円分減ったとして、10%の1.7万円(上限)
- 報酬の合計:13.7万円。消費税10%を足すと約15.07万円
- 実費:別に、実額または定額
認定司法書士に同じ3社を頼む場合(上限どおりの場合)
- 任意整理の報酬:5万円×3社=15万円。消費税10%を足すと16.5万円
- 減額報酬:元本が減ったときだけ。減った元本が5万円なら、10%の5,000円が別に加わる
- 支払代行:使うなら月1,000円。36回なら3.6万円
この例は、あくまで上限を当てはめたものです。上限を下回る料金表の事務所も、上限近くの事務所も考えられます。どちらの職種が安い・高いとは言えません。項目が同じ名前でも数え方が違うので、総額で見比べます。
減額報酬の数え方も違います。日弁連の案内は、業者が主張していた債務額と実際に払う額の差を基にしています。日司連は元本の減額分だけです。将来の利息や遅延損害金が消えた分が含まれるかで、同じ和解でも報酬が変わります。
追加費用が出る場面と、取られない費用
費用が当初の見積もりから増えるのは、決まった場面に限られます。弁護士の規程は、受任のときに決めた着手金に追加できる場合を次のように挙げています。
- 債権者の数が、着手金を決めたときに申告されていた数より増えたとき
- 債権者からの請求訴訟に応訴するなど、ほかの法的手続の代理人になるとき
- 受任のときに予想されなかった法律事務が必要になり、相当の時間や労力がかかるとき
- 面談・説明や通常の事務に、受任のときの予想を著しく超える時間や労力がかかるとき
反対に、着手金を受けている間は、管理費・事務手数料・引き直し計算の手数料といった名目で別に請求することは、日弁連の案内では原則禁止とされています(支払代行の手数料が例外)。見積書にこうした名目が並んでいたら、何の対価で、決まりのどの項目に当たるのかを質問しましょう。日司連の指針も、上限の項目以外の報酬を請求・受領してはならないと定めています。
「着手金0円」「1社○万円〜」といった表示だけでは、総額は分かりません。日弁連の業務広告に関する指針は、別の名目で金銭を取るのに「着手金0円」と表示することや、実際は表示額を著しく超える額を取るのに「着手金○万円〜」とすることを、不正確な表現の例に挙げています。広告ではなく、自分の社数と残高での見積書で比べます。
見積書で総額を確かめる手順
- 借入先の数と、対象にする会社を決める(外す借金があれば、そこまで決める)。
- 料金表をもらい、着手金・解決報酬金・減額報酬・過払い金の報酬・実費を分けて書いてもらう。
- 減額報酬の「減った額」の数え方(何から何を引くか)を聞く。
- 追加費用が出る場面(債権者の増加、訴訟)と、その額を聞く。
- 税込か税抜か、支払い方(一括か分割か)、途中でやめたときの返金を聞く。
司法書士の場合は、受任の前に報酬の算定方法を示すのが司法書士法施行規則22条の義務で、日司連の解説は、報酬表に基づいた計算例まで示して説明するよう求めています。見積書の項目の一覧は、債務整理の料金の見積書で確かめる項目|総額・追加費用・返金の条件のチェック表で確かめてください。
相談のときの聞き方の例:「借入は4社で、うち1社は外す予定です。3社を任意整理した場合の総額を、着手金・解決報酬金・減額報酬・実費に分けて、税込で書面にしてください。減額報酬は、どの金額からどの金額を引いた分にかかりますか。追加費用が出るのはどんなときですか。」
弁護士費用を項目ごとに深く見たい人は、次に読む任意整理の弁護士費用|着手金・解決報酬・減額報酬と見積書の見方へ。手続き全体(破産・個人再生を含む)の費用の箱は債務整理の費用はいくら?手続き別の内訳と見積もりの確かめ方で整理しています。費用が出せないときの道は任意整理の費用が払えないとき|分割払いと法テラスの立替にあります。前の記事は任意整理で過払い金が見つかることはある?調べる範囲と流れで、費用に関わる過払い金の報酬を扱っています。
よくある質問
Q. 任意整理の費用に相場はありますか?
このサイトでは相場の数字を挙げていません。弁護士の着手金には上限の決まりがなく、事務所ごとに違うためです。確かな数字として言えるのは、弁護士の解決報酬金・減額報酬・過払い金の報酬の上限(日弁連の規程)と、司法書士の報酬の上限(日司連の指針)だけです。自分の社数での総額は、見積書で確かめてください。
Q. 費用は一括で払わないといけませんか?
事務所ごとに違い、受任のときに一部を払う、分割や積立で払う、和解のあとに払うなどの形があります。契約書で「いつ・いくら・何回か」と「払えなくなったときの扱い」を確かめます。払えない場合の道は、費用が払えないときの記事で扱っています。
Q. 任意整理の費用は税込ですか、税抜ですか?
日弁連の規程と日司連の指針の上限は、どちらも消費税を含まない額です。事務所の料金表が税込か税抜かは表示によって違うので、複数の事務所を比べるときは、すべて税込に直して見比べます。
出典・参考にした公的な情報
- 債務整理の弁護士報酬のルールについて(日本弁護士連合会)
- 債務整理事件処理の規律を定める規程(会規第93号)(日本弁護士連合会)
- 弁護士等の業務広告に関する指針(日本弁護士連合会)
- 債務整理事件の処理に関する指針(令和7年)(日本司法書士会連合会)
- 債務整理事件の処理に関する指針の解説(日本司法書士会連合会)
- 司法書士の報酬(日本司法書士会連合会)
- 司法書士法施行規則(第22条)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。