任意整理 / チェックリスト

任意整理の事務所の選び方|おすすめと書かれる前に見る8項目

この記事のもくじ
  1. 任意整理の事務所を選ぶ8項目のチェック表
  2. 項目1〜3:資格と費用で見ておくこと
  3. 項目4〜8:和解・返済・連絡で見ておくこと
  4. 状況別:どの項目を重く見るか
  5. 「おすすめ」「ランキング」の表示を読むときの注意
  6. 2〜3か所で同じ質問をして比べる

任意整理の事務所を選ぶときは、「おすすめ」の言葉や順位より先に、任意整理という手続きに特有の8項目を、どの事務所にも同じ質問で確かめて比べるのが確かです。任意整理は裁判所を通さず借入先と返済の条件を交渉する手続きなので、見るべき点は「1社ごとの費用」「どの会社を対象にするか」「和解のあとの返済をどう扱うか」「連絡の取り方」に集まります。この記事では8項目をチェック表にし、状況別の重みとおすすめ記事の読み方も示します。順位はつけません。

任意整理の事務所を選ぶ8項目のチェック表

相談の予約の前に、次の表をメモに写しておくと、聞き漏らしが減ります。

チェック表:任意整理の事務所を選ぶ前に確かめる8項目
# 確かめること 聞き方・見る場所 根拠
1 自分の借金を代理できる資格か 弁護士か認定司法書士か。司法書士なら1社ごとの残高を伝え、全社を代理できるか聞く 司法書士法3条、最高裁の判決
2 1社あたりの費用と総額 着手金・解決報酬・減額報酬を分けた、税込の見積書 日弁連規程10〜14条、日司連指針9・10条
3 追加費用が出る場面 社数が増えたとき、訴えられたときの額を見積書に書いてもらう 日弁連規程10条2項、日司連指針13条
4 和解の方針の説明 対象にする会社、和解案の将来の利息の扱い、返済期間の考え方 日弁連規程4条、日司連指針の解説
5 他の手続きとの比較、不利益の説明 個人再生・自己破産と比べた理由、信用情報への影響 日弁連規程4条、日司連指針6・7条
6 和解後の返済の代行 使うかどうかを選べるか、手数料はいくらか 日弁連規則5条、日司連指針12条
7 連絡方法と進み具合の報告 担当者、電話・メール・郵便の使い分け、報告の頻度 日弁連規程7・17条、日司連の解説
8 途中でやめたときの返金 委任契約書の解約・精算の条項 民法651条、日司連の解説

表の「根拠」は2種類あります。日本弁護士連合会(日弁連)の「債務整理事件処理の規律を定める規程」は弁護士に、日本司法書士会連合会(日司連)の「債務整理事件の処理に関する指針」は司法書士に当てはまる、それぞれの団体の決まりです。どちらも法律ではなく、料金の相場を決めるものでもありませんが、頼む側が質問をする根拠になります。

項目1〜3:資格と費用で見ておくこと

項目1:代理できる資格と範囲 認定司法書士が任意整理を代理できるのは、1社(個別の債権)ごとの借金が140万円以下の場合です。1社でも超える会社があれば、その会社の和解は弁護士に頼むことになります(司法書士法3条、最高裁 平成28年6月27日判決)。1社ごとの数え方は任意整理は司法書士に頼める?1社140万円の線に例があります。違い全体は債務整理は弁護士と司法書士どっち?で比べています。

項目2:1社あたりの費用の内訳 任意整理の費用は、多くが借入先1社ごとに積み上がります。弁護士の場合、日弁連の規程と規則は、和解できたことへの解決報酬金を1社2万円まで、減った債務の額に応じた減額報酬金を減った額の10%まで(いずれも消費税を含まない額)と定めています。着手金には上限の金額がなく「適正かつ妥当な金額」とされています。司法書士の場合、日司連の指針は、任意整理の報酬を1社5万円(税抜)まで、減額報酬を減った元本の10%までとしています。

上限は料金表の額そのものではありません。たとえば借入先が5社なら、弁護士の解決報酬金の上限は2万円×5社=10万円(税抜)、税込11万円です(筆者の計算)。見積書の解決報酬がこの線を超えて見えるときは、どの名目の費用か聞いてかまいません。

弁護士の規程11条は、着手金を受け取っている場合に、受任通知の発送や引き直し計算など任意整理の通常の事務ごとに、別の手数料を名目を問わず請求することを禁じています。見積書に「事務手数料」「管理費」のような行があれば、何に対する費用かを確かめましょう。項目ごとの意味は任意整理の費用の内訳と総額の出し方にまとめています。

項目3:追加費用が出る場面 日弁連の規程10条2項は、一般的な任意整理で着手金を追加できる場合を限っています。借入先の数が申告より増えたとき、業者の訴えに応じて代理人になるとき、予想されなかった法律事務や、予想を著しく超える時間・労力が必要になったとき、などです。日司連の指針13条も、任意整理で上限の定めのある報酬以外の報酬を、名目を問わず請求してはならないとしています。

追加費用の原因で防げるのは、借入先の伝え漏れです。家族に隠している借入も含めて全部伝え、そのうえで「社数が増えたときと、訴えられたときの費用はいくらか」を、見積書に書いてもらいます。

項目4〜8:和解・返済・連絡で見ておくこと

項目4:和解の方針 任意整理は、すべての借入先を対象にするとは限りません。住宅ローンを残したい、保証人がついた借入がある、という場合は、対象を絞る選び方があります(任意整理は一社だけでもできる?)。日司連の解説は、偏った事件処理の例として、安易に将来の利息や遅延損害金を付ける和解を挙げています。和解案に将来の利息が付くのか、付くならその理由は何かを聞きましょう。和解案を受け入れるかは自分で決めます。

項目5:他の手続きとの比較と不利益 日弁連の規程4条は、受任の際に、方針と見通し、費用、予想される不利益の説明を弁護士に求めています。例に挙がるのは、信用情報機関への登録で借入れに支障が出るおそれ、不動産などの資産を失う可能性、破産を選んだ場合の資格制限です。日司連の指針7条3項は、破産や民事再生が適切なのに、安易に任意整理を選んではならないとしています。

文例:「任意整理を勧める理由と、個人再生や自己破産を選んだ場合との違いを教えてください。信用情報への影響と、家や車、保証人への影響も聞かせてください。」

項目6:和解後の返済の代行 和解が成立すると、毎月の返済を各業者に自分で振り込むか、事務所に代行してもらうかを選べます。代行の手数料には上限があり、弁護士は1回の送金につき債権者1人あたり1,000円まで(振込の実費を含む。日弁連規則5条)、司法書士は依頼者1人につき1か月1,000円まで(日司連指針12条)です。司法書士の指針は、代行を使うかどうかを依頼者に選ばせ、強制しないことも求めています。

比べ方:和解後の返済の代行の手数料の上限(5社・36回の場合)
資格 上限の決まり 5社・36回の合計の上限(筆者の計算)
弁護士 1回の送金・債権者1人あたり1,000円まで 1,000円×5社×36回=18万円
司法書士 依頼者1人につき1か月1,000円まで 1,000円×36回=3万6,000円

上の数字は上限で使った場合の計算で、実際の手数料は事務所の料金表で違います。社数が多く期間が長いほど総額に響くので、自分で振り込めるなら使わない選択も含めて、金額と選べるかどうかを聞いておきましょう。

項目7:連絡方法と進み具合の報告 日弁連の規程7条は、受任した弁護士に、担当する弁護士の氏名と事務所の所在地を速やかに本人へ示すことを求めています。17条は、和解契約書など結果を示す文書を受け取ったら、遅れずに原本か写しを本人に渡すこと、取引履歴などの重要な事項は面談か書面・電子メールなどで報告することを定めています。日司連の解説は、進み具合の報告を1〜2か月に1回程度行うべきだとしています。

確かめるのは、担当者の名前、連絡の手段(電話、メール、郵便)、連絡がつく時間帯、報告の頻度です。自宅に届く郵便物の差出人名などは任意整理は家族や会社にバレる?で扱っています。

項目8:途中でやめたときの返金 民法651条により、委任契約はいつでも解除できますが、払った費用の精算は委任契約書の条項で決まります。日司連の解説は、積立中に払えなくなって解除になり、受任通知を送った程度しか作業していないのに、着手金を一切返さない条項は、消費者契約法に違反するおそれが高いと書いています。契約前に、解約のとき何が戻るのかを読みましょう。積立金の扱いは債務整理の預り金と積立金が返金される場合で説明しています。

状況別:どの項目を重く見るか

8項目は状況によって重みが変わります。

いまの状況 先に見る項目 理由
1社でも残高が140万円前後ある 1 司法書士が和解を代理できない会社が出るため
借入先が5社以上ある 2・3・6 費用も、返済の代行の手数料も、社数に応じて増えるため
住宅ローンや保証人つきの借入がある 4・5 対象の選び方で、家や保証人への影響が変わるため
家族や職場に知られたくない 7 郵便物や電話の取り扱いを、契約の前に決めておくため
収入が不安定で、返済を続けられるか不安 6・8 和解後に払えなくなった場合の対応は任意整理の返済が払えないときの再和解で確かめる
費用を一度に払えない 2・8 分割や法テラスの立替えは任意整理の費用が払えないときの分割払いと法テラスの立替で比べる

「おすすめ」「ランキング」の表示を読むときの注意

「任意整理 おすすめ」で出てくる記事の多くは、事務所の広告と結びついています。消費者庁の運用基準は、事業者がアフィリエイトプログラムで第三者に自社のサービスを表示させる場合、その表示は事業者自身の表示にあたるとしています。広告であることが分かりにくい表示は、2023年10月1日から景品表示法の規制の対象です。

読むときは、次の点を見ます。

  • 「広告」「PR」の表記が、記事の冒頭と、事務所を紹介する場所の近くにあるか。
  • 順位や評価の基準が書かれているか。
  • 「満足度」「実績」の数字に、調査の時期、対象、出どころが書かれているか。
  • 事務所の広告に、報酬の基準と「受任する弁護士との面談が必要」という記載があるか。日弁連の規程18条は、弁護士が債務整理の広告を出すときに、この2点を表示するよう努めることを求めています。

司法書士については、日司連の指針19条が、有利な結果を保証するような広告と、面談の前に債務の減額を期待させる表示を禁じています。減ることを言い切る表示や、入力だけで減額が分かるとする診断は、そのまま信じず、面談で費用と方針の説明を受けてから判断します。口コミの読み方は債務整理の口コミはどこまで信じる?にあります。当サイトも事務所の広告枠に「PR」と表示しています。

2〜3か所で同じ質問をして比べる

8項目は、1か所だけでは答えの良し悪しが分かりにくいので、2〜3か所に同じ質問をします。

  1. 借入先、1社ごとの残高、毎月返している額を1枚にまとめ、どの事務所にも同じ内容を渡す。
  2. 予約のときに、当日話すのが受任する弁護士・司法書士本人かを聞く。
  3. 面談で8項目を順に聞き、答えを表のメモに書き込む。
  4. 見積書を持ち帰り、税込の総額と、返済の代行の手数料、解約の返金の条件を並べて見る。
  5. 答え方が具体的か、急がされなかったかも書き添えて決める。

文例(見積書の依頼):「任意整理を検討しています。借入先は5社です。着手金、解決報酬、減額報酬、追加費用が出る場合、返済の代行の手数料を分けて、税込の総額を書面でいただけますか。途中で解約した場合の返金の条件も教えてください。」

その場で契約を求められたときの断り方は債務整理の無料相談を使うコツにあります。債務整理全体の選び方は債務整理の事務所の選び方|おすすめを探す前に確かめる10項目にあります。

任意整理の依頼先として弁護士の事務所を選ぶなら、選ぶときは、受任する弁護士本人と面談できるか、1社ごとの費用を分けた税込の見積書が出るか、返済の代行を使わない選択ができるか、途中で解約したときの返金の条件はどうかを確かめてください。相談で聞くこと、準備する書類は、次に読む任意整理の相談の仕方にまとめています。

よくある質問

Q. 任意整理の実績が多い事務所のほうが、安心して頼めますか?

実績の件数は事務所が自分で数えた数字で、何を1件と数えたか、いつの数字かは表示によって違います。件数より、自分の借入先の数や残高に近い事案をどう進めるかの説明と、費用の書面を出してもらえるかのほうが、比べる材料になります。

Q. 任意整理の事務所は、近くにないとだめですか?

任意整理は裁判所を通さず借入先と交渉する手続きなので、事務所が遠くても進められる場合があります。ただし、日弁連の規程は受任する弁護士が自ら本人と面談することを、日司連の指針は受任する司法書士が直接面談することを原則にしています。通えない場合は、面談の方法を誰が決めたのかを予約のときに聞いておきましょう。

Q. 依頼したあとで、別の事務所に変えられますか?

民法651条により、委任契約はどちらの側からもいつでも解除できます。ただし、それまでに払った着手金や積立金の精算は、委任契約書の条項で決まります。変えるかもしれないと思ったときは、契約の前に、途中で解約したときの返金の条件を書面で確かめておくのが安全です。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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