任意整理の相談の仕方|無料相談で聞くことと準備する書類
この記事のもくじ
任意整理の相談では、事務所に聞かれることはおおむね3つに絞れます。借入先ごとの残高、いまの収入と生活費、毎月の返済に回せる額です。こちらから聞くことは、費用の総額、対象にする会社、依頼した後の請求の扱いなどです。持ち物は、借入先の一覧と収入が分かる書類が中心で、全部そろわなくても相談は始められます。この記事では、聞かれることと聞くことを表にし、持ち物、無料相談の無料の範囲、今月だけ払えないときの動き方を順に整理します。
任意整理の相談の流れ:予約から持ち帰りまで
任意整理は、裁判所を通さずに借入先と返済の条件を交渉し、主に将来の収入から分割で返す手続きです(日弁連の規程の定義)。そのため相談は、「借金の総額」より「毎月いくらなら返せるか」を中心に進みます。順番は次のとおりです。
- 相談先を決める。公的な窓口か、弁護士会・司法書士会か、事務所かで、無料の範囲が違う(後の節で比べます)。
- 予約のときに、相談料、時間、当日話す人、必要な持ち物を聞く。
- 借入先の一覧と収入・生活費のメモを作る。作り方は借金の相談に持っていく書類と準備|借入一覧と家計表の作り方に見本がある。
- 相談で、聞かれたことに答え、こちらの質問をする。急ぐ書類があれば最初に見せる。
- 見積書と契約書の写しを持ち帰り、依頼するかを自分で決める。
その場で決めずに持ち帰ってよい理由と、契約を急がされたときの断り方は債務整理の無料相談を使うコツにあります。
任意整理の相談で聞かれること
日弁連の規程3条は、債務整理を受任する前に、受任予定の弁護士が自ら本人と面談して、借金の内容、本人と家族の資産・収入・生活費、不動産があればその扱いの希望、手続きへの意向を聞くことを求めています。日司連の指針4条も、司法書士に直接の面談と、債務・資産・収入・生活の聴き取りを求めています。聞かれる中身は次の表のとおりです。
| 聞かれること | 答え方 | 準備するもの |
|---|---|---|
| 借入先の名前、1社ごとの残高 | 会社ごとに別々の残高を言う(合計だけでは足りない) | 会員ページやアプリの画面、直近の明細 |
| いつから借りているか、毎月の返済額 | 分かる範囲の時期。長く借りている会社は、そう伝える | 契約書、返済の記録 |
| 延滞があるか、督促状や裁判所の書類が届いたか | 届いた書類は日付と一緒に見せる | 督促状、裁判所の封筒と書類 |
| 手取りの収入、給料日、勤め先の形態 | 毎月の手取りと、ボーナスの有無 | 給与明細2〜3か月分 |
| 家賃・光熱費・食費などの生活費 | 1か月の合計と主な内訳 | 家計のメモ、通帳 |
| 貯金、車、保険、不動産 | あるものはすべて言う | 通帳、車検証、保険の証券 |
| 住宅ローン、車のローン、保証人つきの借入 | ローンの残りと、保証人が誰か | 返済表、契約書の控え |
| どうしたいか(全部整理する、一部だけ、家を残す) | 決まっていなくてよい。希望があれば先に伝える | メモ |
「どうしたいか」を聞かれるのは、任意整理が合うかどうかを決める材料になるからです。1社ごとの残高は、司法書士が代理できる範囲(1社140万円以下、司法書士法3条)の確認にも使います。範囲の考え方は任意整理は司法書士に頼める?1社140万円の線で確かめられます。
任意整理の相談でこちらから聞くこと
聞かれることに答えるだけで終わらないよう、質問を紙に書いて持って行きます。債務整理全般の質問は債務整理の相談で聞くことの確認表|費用・期間・不利益の質問20項目にあります。任意整理では、次の10項目を特に聞きます。
| # | 聞くこと | 答えを書き留めるところ |
|---|---|---|
| 1 | 今日話している人は、受任する弁護士・司法書士本人か | 名前と資格 |
| 2 | 任意整理の対象にする会社と、外す会社はどれか。外す理由は何か | 会社名、外した場合の返済のこと |
| 3 | 費用の総額(税込)と内訳。社数が増えたとき、訴えられたときの追加費用 | 見積書 |
| 4 | 依頼した後、止まる請求と、止まらない支払いは何か | 家賃、税金、ローンなどの扱い |
| 5 | 和解のあとの毎月の返済額と、回数の見通し | 取引履歴が届く前は仮の数字であること |
| 6 | 信用情報への影響と、その間にできなくなること | カード、ローンなど |
| 7 | 家族や勤め先に、郵便や電話で知られる場面はあるか | 連絡の方法 |
| 8 | 任意整理が合わないとき、ほかにどの手続きがあるか | 理由 |
| 9 | 途中でやめたとき、払ったお金はどうなるか | 契約書の条項 |
| 10 | 受任通知は、依頼したあといつ送られるか | 日にち |
4番は、貸金業法21条1項9号で説明できます。弁護士や司法書士に債務の処理を委託した旨が書面で通知され、本人に直接請求しないよう求められた後に、貸金業者がなお電話や訪問で返済を求めることは禁じられています。ただし家賃や税金、銀行のローンなど貸金業者でない相手には、この条文は直接及びません。範囲は債務整理の受任通知とは?督促が止まる仕組みと止まらない支払いで確かめてください。5・6番は任意整理の手続きの流れと任意整理のデメリットは?信用情報・カード・保証人への影響で、7番は任意整理は家族や会社にバレる?で詳しく扱っています。
持ち物と、ないときの代わり
全部そろえてから予約する必要はありません。持ち物は、任意整理の相談で使う順に並べると次のとおりです。
| 持ち物 | 使いみち | ないときの代わり |
|---|---|---|
| 借入先の一覧(会社名・残高・月の返済額・借りはじめた時期) | 対象にする会社と費用を決める | 思い出せる範囲のメモ |
| 督促状、裁判所から届いた書類 | 急ぐ期限があるかを見る | 写真 |
| 給与明細2〜3か月分、源泉徴収票 | 返済に回せる額を出す | 手取りの金額のメモ |
| 通帳(直近数か月) | 収入と、借入先への返済の動きを見る | 通帳アプリの画面 |
| 1か月の家計のメモ | 生活費の確認 | 明細を見ながらその場で書く |
| 住宅ローン・車のローンの返済表、保証人つきの契約の控え | 対象から外すかの判断 | 毎月の額と残りのメモ |
| 本人確認書類 | 受任の手続き | 予約のときに何が要るか聞く |
借入先がすべては分からない場合は、信用情報機関に開示を申し込むと、載っている借入れの一覧を確かめられます。申込みの方法と最新の受付の状況は信用情報の開示のやり方|CIC・JICC・KSCの申込み方法と手数料で、思い出すための方法は自分の借金を調べる方法で扱っています。取引履歴は、依頼した後に事務所が借入先へ請求するので、相談の前に自分で取り寄せなくても進められます。
無料相談の「無料」の範囲と、今月だけ払えないときの動き方
無料の範囲は窓口で違う 法テラスは、収入や資産が一定の基準以下などの条件を満たした人に無料法律相談を行っています。弁護士会の窓口も、無料の範囲が違います。金融庁の2026年版リーフレットでは、東京三弁護士会の「クレサラ無料法律相談」は予約制で3回まで無料、愛知県弁護士会の窓口は要予約で初回無料と案内されています。事務所の「初回無料」は、無料の時間、回数、その後の費用を予約のときに聞いておきましょう。公的な窓口の番号と受付時間は借金の相談窓口はどこ?公的な窓口の番号・受付時間と選び方にあります。
今月だけ払えないとき 相談しただけでは、借入先からの請求は止まりません。止まるのは依頼した後に受任通知が届いてからで、委任契約を結ぶ前の返済日は、そのまま来ます。返済日が近いときは、次の順で動きます。
- 返済日の前に、借入先へ電話し、いつなら払えるかを伝える(借金の返済を一時停止できる?業者との相談と手続きで止まる仕組みに話し方があります)。
- 並行して、事務所の予約を取る。予約のときに「今月の返済日が○日で、払えない」と伝え、受任通知を送れる時期を聞く。
- 来月以降も足りないかを、家計表で確かめる。
「今月だけ」か「毎月足りない」かで、任意整理が合うかが変わります。毎月の収支を、次のように並べてみてください。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 毎月の手取り | 22万円 |
| 生活費(家賃・光熱費・食費・通信費・保険など) | 16万5,000円 |
| 借金の返済に回せる額(手取り−生活費) | 5万5,000円 |
| いま借金に払っている額(合計) | 7万円 |
| 毎月の不足(7万円−5万5,000円) | 1万5,000円 |
この例では、毎月1万5,000円が不足しています。「今月だけ」ではなく毎月続く不足なので、返済日を延ばしても解決しません。返済に回せる5万5,000円を和解後の毎月の返済の目安にして、仮に36回で払うなら5万5,000円×36回=198万円までの借金が、収支の面から見た目安になります(筆者の計算)。実際に何回の和解になるか、いくらに減るかは、取引履歴を取り寄せ、借入先と交渉した後に決まるため、この数字は相談で話すための材料です。
文例(相談の予約):「任意整理の相談をしたいです。借入先は4社で、今月の返済日が来週ですが払えそうにありません。依頼する前に借入先へ連絡しないでほしいのですが、相談のときに、受任通知がいつ送れるかも教えてください。」
任意整理の相談先として事務所を選ぶなら、選ぶときは、受任する弁護士・司法書士本人と話せるか、費用の総額を書面で出してもらえるか、無料の範囲はどこまでか、相談したあと持ち帰って決めてよいかを確かめてください。事務所を比べる8項目は、前に読む任意整理の事務所の選び方|おすすめと書かれる前に見る8項目に、依頼した後の流れは、次に読む任意整理の手続きの流れ|相談から和解・返済開始までの期間にまとめています。
よくある質問
Q. 任意整理を相談したことは、借入先に知られますか?
相談しただけでは、借入先に連絡は行きません。借入先に知らせるのは、委任契約を結んで依頼した後に、弁護士や司法書士が送る受任通知です。日弁連の規程も、任意整理の基本の事務として、受任したことを債権者に通知し、取引履歴の開示を求めることを挙げています。相談の段階で「依頼するまで借入先には連絡しないでください」と伝えておくと安心です。
Q. 借入先が全部は分からなくても、相談できますか?
相談できます。思い出せる範囲の一覧を持って行き、足りない分は、信用情報機関の開示で調べるか、依頼した後に事務所が借入先へ取引履歴を請求して分かる場合があります。ただ、伝え漏れた借入先には受任通知が送られず、請求が続くので、分かった時点ですぐ事務所に伝えてください。
Q. 任意整理の相談は、弁護士と司法書士のどちらにすればよいですか?
認定司法書士が代理できるのは、1社ごとの借金が140万円以下の場合です。相談では、借入先ごとの残高を伝え、その事務所が全社を代理できるかを最初に聞いてください。1社でも140万円を超えるなら、弁護士の相談が先になります。
出典・参考にした公的な情報
- 債務整理事件処理の規律を定める規程(会規第93号)(日本弁護士連合会)
- 債務整理事件の処理に関する指針(令和7年理事会決定・改正)(日本司法書士会連合会)
- 貸金業法 第21条(取立て行為の規制)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 司法書士法 第3条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 多重債務相談窓口リーフレット2026(東京都版)(金融庁)
- 多重債務相談窓口リーフレット2026(愛知県版)(金融庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。