任意整理 / 悩み整理

任意整理の返済が払えないとき|遅れたらどうなるかと再和解

この記事のもくじ
  1. 任意整理の返済が遅れたら、何がどの順で起きるか
  2. 遅れそうなときに連絡する順番と文例
  3. 立て直しの選択肢:一時的な遅れの相談・再和解・個人再生・自己破産
  4. 和解書で確かめておく条項と、事務所との関係

任意整理の和解後に返済が払えないときは、支払日の前に、返済を管理している相手へ連絡するのが最初の一手です。事務所の支払代行を使っているなら事務所、自分で振り込んでいるなら借入先です。遅れたままにすると、遅れた日数分の損害金がつき、和解書の「期限の利益の喪失」の条項に当たれば残りを一括で求められます。その先には、訴えや支払督促、差し押さえという段階があります。立て直す道は、事情を示して条件を決め直す再和解か、個人再生・自己破産への切り替えです。

任意整理の返済が遅れたら、何がどの順で起きるか

和解は、決めた日に決めた額を払う約束です。払えなかったときの扱いは、法律よりもまず和解書に書かれた条項で決まります。民法137条が「期限の利益を主張できない」場合として挙げるのは破産手続開始の決定や担保をなくした場合などで、返済の遅れで一括払いになるのは、和解書にそういう約束があるからです。

流れ図:和解後に返済が遅れたときの段階
段階 起きること 根拠・確かめる所
1 支払日を過ぎる 遅れた日数分の遅延損害金がつく。業者の貸付けでは年20%が上限 和解書の損害金の定め、利息制限法7条
2 督促が来る 書面や電話で支払いを求められる 取立ての禁止行為は貸金業法21条
3 期限の利益を失う 和解書の条項に当たると、残りの全額を一括で求められる 和解書の「期限の利益の喪失」の条項
4 信用情報 61日以上または3か月以上の遅れは、CICの「異動」の基準に当たる CICの表示項目の説明
5 訴え・支払督促 業者が判決などの債務名義を得る手続きをとる 民事執行法22条
6 差し押さえ 給料なら原則として手取りの4分の1まで 民事執行法152条

ここで知っておきたいのは、裁判の外で結んだふつうの和解書は、民事執行法22条が挙げる債務名義(確定判決、仮執行宣言付きの支払督促、公証人が作る執行証書、確定判決と同一の効力を持つ調停調書など)に当たらないことです。業者が差し押さえまで進むには、5の段階をはさみます。特定調停の調停調書は確定判決と同一の効力を持つので、この点が任意整理と違います。裁判所から書類が届いたときの流れは任意整理中に給料差し押さえはある?裁判を起こされた場合の流れで扱います。

遅れそうなときに連絡する順番と文例

連絡は、早いほど選べる手が多く残ります。次の順で動きます。

  1. 和解書と支払いの方法を確かめる:誰に払っているか(事務所か各社か)、何回分の遅れで一括になる定めか、損害金の率はいくらか。
  2. 事務所に連絡する(支払代行を使っている、代理が続いている場合):日本司法書士会連合会の指針は、分割で返している人に、司法書士が適宜面談するなどして助言できるよう努めるとしています。
  3. 借入先に連絡する(自分で振り込んでいる場合):支払日の前に、会員番号・足りない額・払える日を伝える。
  4. 家計そのものを相談する:生活費が足りない状態なら、市区町村の自立相談支援機関で家計改善の支援を受けられる(生活困窮者自立支援法3条)。窓口は生活費が足りないときの公的な相談先|家計改善支援と住居確保給付金と借金の相談窓口はどこ?公的な窓口の番号・受付時間と選び方で確かめられます。

連絡のときは、次の4つを手元にそろえておくと話が早く進みます。

  • 足りない額(今月いくら払えて、いくら足りないか)
  • 払えなくなった理由(減給、病気、急な出費など)
  • 払える見込みの日、または元の額に戻れる見込みの時期
  • その見込みを裏づける書類(給与明細、診断書など)

文例(事務所へ):「任意整理をお願いした〇〇です。〇月分の入金が、急な医療費のため〇円しか用意できません。〇日の給料日に残りを入金できます。各社への支払いと連絡をどうすればよいか、相談させてください。」

文例(借入先へ):「和解に基づいて返済している〇〇です。会員番号は〇〇です。〇日の支払いのうち〇円が用意できず、残りは〇日に払えます。今回の遅れの扱いと、加わる損害金の額を教えていただけますか。」

足りない分を別の借入れで埋めると、返済の約束がもう一つ増えます。和解後に借りると何が起きるかは任意整理中に新たな借り入れはできる?借りた場合に起きることにあります。

立て直しの選択肢:一時的な遅れの相談・再和解・個人再生・自己破産

どれを選ぶかは、収入がいつ戻るかと、減らした額なら払えるかで分かれます。

状況 考える手 確かめること
1〜2か月で元の収入に戻る 遅れた分をいつ払うかを相談する 損害金の額、一括の条項に当たらないか
収入が下がったが、月の額を下げれば払える 再和解 借入先が応じるか、事務所の費用
継続した収入はあるが、任意整理の額では払えない 個人再生 収入の見込みがあるか、借金の総額が上限内か(要件は次の記事で整理)
返済の見込みが立たない 自己破産 免責が認められにくい事情に当たらないか(同上)

再和解は、法律の制度ではなく、借入先ともう一度合意し直すことです。頼むときの準備と、応じてもらえないときの分かれ道は、次に読む任意整理の再和解とは?条件と応じてもらえない場合の選択肢で整理しています。個人再生は返済期間が法律で原則3年、特別の事情があれば5年までと決まっていて(民事再生法229条2項)、任意整理とは減り方の仕組みが違います。比べ方は任意整理と個人再生の違い|借金額・収入・住宅で選ぶ分かれ道と任意整理と自己破産の違い|返済の有無と失うものを比べるへ。

和解書で確かめておく条項と、事務所との関係

払えなくなってから慌てないために、和解書の次の項目にしるしをつけておきます。

  • 期限の利益を失う条件(何回分、または何円分の遅れか)
  • 遅延損害金の率と、何に対してかかるか(遅れた分か、残り全額か)
  • 一括で求められる額の計算の仕方
  • 連絡先(担当の部署・電話番号)
  • 支払代行の有無と、事務所への入金日

事務所に代理を頼んでいる場合、入金が止まって連絡もつかない状態が続くと、事務所が代理をやめることがあります。そうなると、業者は本人に直接連絡できるようになり、受任通知で止まっていた電話や訪問での請求が戻ってくる可能性があります(受任通知の効果は貸金業法21条1項9号)。辞任の扱いは債務整理で弁護士が辞任するのはどんなとき?辞任を防ぐ注意点で確かめてください。

月の額の決め方を振り返りたいときは、前に読む任意整理の返済期間は何年?分割の回数と月の返済額が決まる考え方へ戻ると、払える額から回数を逆算する手順をもう一度たどれます。

よくある質問

Q. 今月だけ払えないときでも、残りを一括で請求されますか?

和解書の期限の利益の喪失の条項が、何回分(いくら)の遅れで当てはまると定めているかで変わります。1回の遅れでは当たらない定めなら、遅れた分と損害金を払えば元の約束に戻れることもあります。どちらにしても支払日の前に連絡し、いつ払えるかを伝えるのが先です。

Q. 支払代行を頼んでいる事務所への入金が遅れたら、どうなりますか?

事務所に預けたお金から各社へ払う仕組みなので、入金が遅れると各社への支払いも遅れます。遅れそうだと分かった時点で事務所に連絡し、各社への連絡をどうするか相談してください。入金が長く止まると、契約によっては事務所が代理をやめる(辞任する)ことがあります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

任意整理の再和解とは?条件と応じてもらえない場合の選択肢

任意整理の返済期間は何年?分割の回数と月の返済額が決まる考え方

債務整理で弁護士が辞任するのはどんなとき?辞任を防ぐ注意点

任意整理中に給料差し押さえはある?裁判を起こされた場合の流れ