任意整理 / Q&A

任意整理はいくらまでできる?借金額と月の返済額の目安

この記事のもくじ
  1. 任意整理の金額は「元本÷回数」で決まる
  2. 元本ごとの月の返済額の早見表(筆者の計算)
  3. 月に返済へ回せる額の出し方
  4. 借金が400万円の場合
  5. 借入先ごとの金額にも線がある|1社140万円
  6. 返しきれないときの分かれ道

任意整理に、「借金がいくらまで」という上限も、「いくらから」という下限も、法律にはありません。任意整理は借入先との合意で返し方を決め直すもので、金額の線を引く条文がないからです。実際の分かれ目は、利息を引き直した後の元本を、月に返せる額で3〜5年(36〜60回)のうちに返しきれるかです。たとえば400万円なら、将来利息なしの60回で月約6万6,700円。この額が家計から出せれば任意整理で進められ、出せなければ別の手続きと比べます。

任意整理の金額は「元本÷回数」で決まる

任意整理では、取引の履歴を利息制限法の上限で引き直して残りの元本を出し、将来の利息を付けずに分割する形を目指して交渉します(仕組みの全体は任意整理とは?仕組み・流れ・向いている人を一つずつ整理)。そのため、月の返済額は次の式でほぼ決まります。

月の返済額 = 引き直し後の元本 ÷ 分割の回数

回数は、日本司法書士会連合会がおよそ3年程度の和解が多いと説明し、日本クレジットカウンセリング協会は通常3年間程度で、5年間くらいの分割も十分可能としています。法律で回数が決められているわけではなく、合意できる回数は借入先ごとに違います。5年を超える回数を求める場合は、依頼先に先に聞いておきます。

大切なのは「借金の合計がいくらか」より、「引き直し後の元本」と「月に回せる額」の2つです。利率が利息制限法の範囲内の借金は引き直しで元本があまり減らないこともあるので、残高の数字がそのまま元本になる前提で計算しておくと安全側になります。

元本ごとの月の返済額の早見表(筆者の計算)

将来利息なしで和解できた場合の月額を、元本÷回数で筆者が計算しました(100円未満は切り上げ。依頼の費用は含みません)。

早見表:元本の額ごとの月の返済額(将来利息なし・筆者の計算)
引き直し後の元本 36回(3年) 48回(4年) 60回(5年)
100万円 約2万7,800円 約2万900円 約1万6,700円
200万円 約5万5,600円 約4万1,700円 約3万3,400円
300万円 約8万3,400円 約6万2,500円 約5万円
400万円 約11万1,200円 約8万3,400円 約6万6,700円
500万円 約13万8,900円 約10万4,200円 約8万3,400円
600万円 約16万6,700円 約12万5,000円 約10万円
800万円 約22万2,300円 約16万6,700円 約13万3,400円

早見表の使い方は2つあります。自分の元本の行を見て、60回の列の月額が払えるかを確かめる方法と、払える月額から元本の限度を逆算する方法です。後者を次の表にしました。

月に返済へ回せる額 36回で返しきれる元本 60回で返しきれる元本
2万円 72万円 120万円
3万円 108万円 180万円
4万円 144万円 240万円
5万円 180万円 300万円
6万円 216万円 360万円
8万円 288万円 480万円
10万円 360万円 600万円

月5万円を5年間回せる人なら、引き直し後の元本300万円が一つの目安になる、という読み方です。ただし、これは「和解が60回で成り立った場合」の上限です。業者が36回を求めてくれば、必要な月額は大きく上がります。36回の列でも払えるかを、安全の確認として見ておきます。

月に返済へ回せる額の出し方

「回せる額」は、手取りから、削れない支出と、任意整理の対象にしない支払いを引いて出します。

  1. 手取りの月収を出す(賞与がある人は、あてにせず毎月の分だけで考える)
  2. 家賃、食費、光熱費、通信費、保険料など、削れない固定の支出を引く
  3. 対象から外す支払い(住宅ローン、車のローン、保証人つきの借金、奨学金など)の毎月の額を引く
  4. 税金・社会保険料の支払いと、病気や冠婚葬祭の予備費を引く
  5. 残った額から、依頼の費用の分割払いに充てる分を引く。これが元本の返済に回せる額

数字の入れ方の例です。

項目 月額の例
手取りの月収 26万円
家賃・光熱費・通信費 −10万円
食費・日用品 −5万円
外す借金(車のローンなど) −3万円
予備費 −2万円
回せる額 6万円

回せる額が6万円なら、先の逆算表の「60回で360万円」が上限の目安です。回せる額のちょうどに月額を合わせると予備費が尽きたときに遅れが出るので、少し余裕を残した額で和解の回数を考えるほうが、続けやすくなります。回数が決まる考え方は任意整理の返済期間は何年?分割の回数と月の返済額が決まる考え方、遅れたときの動き方は任意整理の返済が払えないとき|遅れたらどうなるかと再和解で先に確かめておけます。収入がアルバイトやパートで少ない人はアルバイトやパートでも任意整理できる?収入の目安と準備、いま収入がない人は求職中や無職でも任意整理はできる?収入が戻るまでの選択肢で、同じ計算を自分の状況に置き換えられます。

借金が400万円の場合

「任意整理 400万」で調べる人が多いので、400万円で3つの形を並べます。個人再生は、小規模個人再生の最低弁済額(基準債権の5分の1か100万円のいずれか多い額。400万円なら5分の1は80万円なので100万円です。民事再生法231条2項4号)を36回で返す場合の筆者の計算で、財産の評価額(清算価値)が100万円以下であることが前提です(清算価値より少ない額では認可されません。同174条2項4号)。

方法 月の返済額 返済の総額
任意整理(将来利息なし・60回) 約6万6,700円 400万円
任意整理(将来利息なし・36回) 約11万1,200円 400万円
個人再生(最低弁済額・36回) 約2万7,800円 100万円

月6万6,700円を5年間払えるなら任意整理で進められますが、払えないなら、元本そのものを減らす個人再生が選択肢に入ります。個人再生は収入の見込みがあり、住宅ローンなどを除く借金が5,000万円以下であることが条件です(同221条1項)。住宅ローンや財産の有無も含めた選び方は、任意整理と個人再生の違い|借金額・収入・住宅で選ぶ分かれ道で分岐図にしています。

400万円を超えて500万円、1,000万円と増える場合の考え方は借金500万円・1000万円になったら、200万円前後なら借金200万円は返せる?にまとめています。

借入先ごとの金額にも線がある|1社140万円

総額の上限はなくても、誰に依頼するかで見る金額の単位が変わります。任意整理の交渉を代理できるのは、弁護士と、法務大臣の認定を受けた認定司法書士です。認定司法書士が代理できるのは、1社(1つの債権)ごとに140万円以下のときで、借金の合計ではなく個別の債権ごとに数えます(司法書士法3条1項7号・2項、最高裁平成28年6月27日判決)。

借入の内訳(例) 合計 認定司法書士が代理できるか
100万円×4社 400万円 各社が140万円以下なので範囲に入る
200万円×2社 400万円 各社が140万円を超えるので弁護士の範囲
150万円+100万円×2社+50万円 400万円 150万円の1社だけ弁護士。残りは範囲に入る

引き直しの後の額で見るのか、契約時の額で見るのかなど、境目の扱いは依頼先に確かめます。弁護士と司法書士の選び方は債務整理は弁護士と司法書士どっち?140万円の線と選ぶときの確認点で扱っています。

依頼の費用も月額に足して考える

依頼の費用は元本とは別にかかります。司法書士の場合、日本司法書士会連合会の指針(令和7年理事会決定)は、任意整理の報酬の合計を債権者1人あたり5万円(消費税を含まない額)までとしています。この上限どおりだとして、5社を対象にすると、筆者の計算で25万円(税抜)です。税抜の25万円を60回で払うなら月4,200円、36回なら月約7,000円になります(消費税は別)(弁護士の報酬は別の基準で、事務所ごとの見積書で確かめます)。

月額の目安は「元本の返済+費用の分割払い」の合計で考えます。内訳の読み方は任意整理の費用はいくら?1社あたりの内訳と総額の出し方で詳しく説明しています。

返しきれないときの分かれ道

60回に分けても月額が回せる額を超える場合は、次の順で考えます。

  1. 回数と対象を見直す:外していた借金を対象に入れる、1社だけを整理する形から全社に広げる、といった組み替えで月額が下がることがあります。任意整理は一社だけでもできる?一部だけ整理するときの選び方も参考になります。
  2. 収入の見込みがあるなら個人再生:元本を法律の下限まで減らして原則3年で返す手続きで、裁判所を使います。
  3. 収入の見込みが立たないなら自己破産:支払不能(破産法15条1項、2条11項)と認められれば免責の対象になりえます。比べる点は任意整理と自己破産の違い|返済の有無と失うものを比べるに整理しました。

いずれも、最終的にどれが合うかは、収入・財産・借入先の一覧を持って弁護士・認定司法書士と面談して決めます。金額だけの目安で「任意整理はできない」と決めつけず、借入先ごとの残高・年利・月の返済額の一覧を作って持っていくと、面談が具体的になります。

次は、一部の借入先だけを整理する場合の考え方を任意整理は一社だけでもできる?一部だけ整理するときの選び方で確かめましょう。借金額の下限の側から知りたいときは、債務整理はいくらからできる?が役に立ちます。

よくある質問

Q. 借金が数十万円でも任意整理はできますか?

金額の下限はないので、手続きとしては使えます。ただし、依頼の費用が、和解で払わずに済む将来の利息より大きいと費用倒れになります。借入先ごとの残高・年利・月の返済額から今のまま払い続けたときの利息を出し、見積書の費用と並べて決めます。

Q. 年収がいくら以上ないと任意整理はできませんか?

年収の下限は法律に書かれていません。見られるのは、和解した月額を3〜5年払い続けられる収入の見込みがあるかです。アルバイトやパートでも、返済に回せる額が月額を上回れば成り立ちます。収入が途絶えている場合は、収入が戻るまでの手立てを先に考えます。

Q. 借金が1,000万円あっても任意整理を考えてよいですか?

法律上の上限はないので考えること自体はできます。ただ、引き直し後の元本が1,000万円のままなら、将来利息なしの60回でも月約16万6,700円で、返済に回せる額がそれを超えるかが分かれ目です。超えないなら個人再生などと並べて、面談で比べてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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