債務整理はいくらからできる?借金額が少なくても相談してよい目安
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債務整理に**「借金がいくらからでないとできない」という金額の下限はありません**。自己破産は支払不能かどうか、特定調停は支払不能に陥るおそれがあるかどうかで判断され、借金の額そのものは条件ではありません。気をつけたいのは、借金が少ないと、依頼の費用が手続きで払わずに済む利息を上回る「費用倒れ」になりうることです。この記事では、手続きごとの金額の線、利息制限法の上限の年利で払う利息を試算して見分ける費用倒れの計算、金額より大切な「返済が回るか」の見方を順に説明します。
債務整理の手続きに借金額の下限はない
4つの手続きの入口の条件を、法律の文言で確かめます。
| 手続き | 入口の条件 | 借金額の下限 |
|---|---|---|
| 任意整理 | 借入先との合意(法律の手続きではない) | なし |
| 特定調停 | 金銭の借金を負い、支払不能に陥るおそれがある人など(特定調停法2条1項) | なし |
| 個人再生 | 継続的・反復的な収入の見込みがあり、借金の総額が5,000万円以下(民事再生法221条1項) | なし(上限だけがある) |
| 自己破産 | 支払不能(破産法15条1項)。期限の来た借金を、支払能力を欠くために一般的かつ継続的に返せない状態(2条11項) | なし |
自己破産の「支払不能」は、借金の額だけでなく、収入・財産・生活費との関係で決まります。借金が100万円でも収入がほとんどなく財産もなければ支払不能にあたりうる一方、借金が500万円でも十分な収入と財産があればあたらないこともあります。この判断は申立てを受けた裁判所がするもので、金額だけで「できる」「できない」は決まりません。
金額で変わる手続きの線(いくらまで・いくら以上)
下限はなくても、金額によって使い勝手が変わる線がいくつかあります。
- 個人再生の最低弁済額:小規模個人再生では、返済総額が法律の下限を下回る計画は認められません。借金の総額が100万円未満ならその全額が下限になるので、借金が少ないと個人再生では元金がほとんど減りません。100万円以上500万円以下なら下限は100万円です(民事再生法231条2項4号)。
- 個人再生の上限5,000万円:住宅ローンなどの住宅資金貸付債権や、担保で回収できる見込みの額を除いた借金の総額が5,000万円を超えると、小規模個人再生は使えません(221条1項)。
- 司法書士が代理できる1社140万円:認定司法書士が任意整理などの交渉を代理できるのは、個別の債権の価額が140万円以下の場合です(司法書士法3条1項7号、最高裁平成28年6月27日判決)。借金の合計ではなく1社ごとの額で見るので、合計300万円でも各社が140万円以下なら代理の範囲に入ります。逆に1社でも140万円を超えると、その会社との交渉は弁護士の範囲です。代理の範囲は債務整理は弁護士と司法書士どっち?140万円の線と選ぶときの確認点で詳しく扱っています。
任意整理で「いくらまでなら話し合いがまとまりやすいか」は、法律の線ではなく、月にいくら返せるかとの関係で決まります。金額と月の返済額の目安は任意整理はいくらまでできる?借金額と月の返済額の目安にまとめています。
費用倒れになるかの目安:減る利息と費用を比べる
借金が少ないときにいちばん気になるのが、依頼の費用と、手続きで払わずに済むお金のどちらが大きいかです。弁護士・司法書士の報酬は事務所ごとに違うので、ここでは「今の条件で返し続けたら利息をいくら払うか」を先に計算します。任意整理で将来の利息を付けない形の和解になった場合、払わずに済むのはおおむねこの利息の部分です(和解の中身は相手との合意で決まります)。
| 借金の残高 | 年利 | 毎月の返済額 | 完済までの回数 | 払う利息の合計 |
|---|---|---|---|---|
| 30万円 | 18% | 1万5,000円 | 24回 | 約5万9,000円 |
| 30万円 | 18% | 1万円 | 41回 | 約10万2,000円 |
| 50万円 | 18% | 1万5,000円 | 47回 | 約19万8,000円 |
| 50万円 | 18% | 1万円 | 94回 | 約43万1,000円 |
| 100万円 | 15% | 2万5,000円 | 56回 | 約39万5,000円 |
| 100万円 | 15% | 2万円 | 79回 | 約57万9,000円 |
※毎月「残高×年利÷12」の利息が付き、決まった額を返すとして計算(円未満切り捨て)。最後の回は残りの額だけを返す。実際の契約は日割りの利息計算や返済方式で変わる。年利は利息制限法1条の上限(元本10万円以上100万円未満は年18%、100万円以上は年15%)に合わせた。
表から分かるのは、同じ残高でも毎月の返済額が小さいほど利息がふくらむことです。30万円でも月1万円ずつなら利息は10万円を超え、月1万5,000円なら6万円ほどに収まります。
費用倒れかどうかは、次の手順で確かめられます。
- 借入先ごとに、残高・年利・毎月の返済額を書き出す
- 上の表のように、今の条件で完済までに払う利息を出す(借入先の会員ページや、返済予定表で確かめられることが多い)
- 依頼先の見積書で、その借入先にかかる費用の総額(着手金・報酬・減額報酬・事務手数料など)を確かめる
- 2の利息より3の費用が大きいなら、その借入先は費用倒れになりうる。自力返済や返済条件の相談、特定調停も比べる
日本司法書士会連合会の指針は、司法書士が依頼を受けるときに報酬額や算定方法を書いた書面を示して説明することを求め、収入が民事法律扶助の基準に当たる人には法テラスの制度を案内するものとしています。見積もりの読み方は債務整理の費用はいくら?手続き別の内訳と見積もりの確かめ方へ。
金額より「返済が回るか」で考える
借金の額は同じでも、収入や家計の事情で、返せるかどうかは大きく変わります。相談を考えるきっかけは金額ではなく、次のようなサインです。
- 毎月の返済のために、別の会社から借りたりカードのキャッシングを使ったりしている
- 利息の支払いが多く、何か月返しても残高がほとんど減らない
- 返済日に間に合わず、遅れが出始めている、または督促が来ている
- 家賃・税金・国民健康保険料などの支払いを後回しにしている
- 返済のために食費や医療費を削っている
1つでも当てはまるなら、借金が数十万円でも相談する意味があります。反対に、どれにも当てはまらず、今の返済額のままで数年以内に返し終えられるなら、まず自力で返す計画を立て直す道があります。返済計画の立て方と手取り別の目安は借金200万円は返せる?手取り別の完済までの期間と選択肢や借金返済が苦しいときの全体図で扱っています。
少額でも相談するときの準備と相談先
借金が少ない人ほど、相談の前の準備で話が短く済みます。
- 借入先ごとの一覧(会社名・残高・年利・毎月の返済額・最後に借りた日)
- 手取りの月収と、毎月の固定費(家賃・通信費・保険料など)
- 届いている督促状や、遅れている支払いの一覧
費用の心配があるなら、法テラスや公的な窓口から始めるのも一つの方法です。窓口の案内は借金の相談窓口はどこ?公的な窓口の番号・受付時間にあります。弁護士・司法書士に依頼するなら、1社ごとの費用の内訳を書面で出してもらい、上の計算と並べて判断すると、少額の借金でも納得して決められます。4つの手続きの全体像は債務整理とは?4つの手続きの違いと自分に合う方法の選び方で確かめられます。
次は、手続きを始めてから終わるまでの見通しを債務整理にかかる期間|相談から終わるまでの手続き別の目安で確かめておきましょう。
よくある質問
Q. 借金が30万円ほどでも、弁護士や司法書士に相談してよいですか?
相談してかまいません。手続きの法律に借金額の下限はなく、相談で確かめるのは金額より、今の収入で返済が続けられるかどうかです。費用の心配があるなら、見積もりの総額と、手続きで払わずに済む利息の額を並べて比べてから決められます。
Q. 債務整理はいくらまでできますか?
自己破産と任意整理には、借金額の上限はありません。個人再生は、住宅ローンなどを除いた借金の総額が5,000万円以下という条件があります。認定司法書士が交渉を代理できるのは1社あたり140万円以下までなので、それを超える借入先がある場合は弁護士に頼むことになります。
出典・参考にした公的な情報
- 破産法 第2条・第15条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民事再生法 第221条・第231条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律 第2条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 利息制限法 第1条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 司法書士法 第3条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 最高裁判所 平成28年6月27日 第一小法廷判決(裁判例検索)(最高裁判所)
- 債務整理事件の処理に関する指針(日本司法書士会連合会・総務省掲載の写し)(総務省)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。