借金の基本・返せないとき / 基本ガイド

借金返済が苦しいときの全体図|自力で返すか相談するかの分かれ道

この記事のもくじ
  1. 借金返済の4つの道を判断表で選ぶ
  2. ①自力で返す道:元金が減っているかを計算する
  3. ②業者と返済条件を話す道:返済日の前に連絡する
  4. ③公的な窓口に相談する道:無料で全体を整理する
  5. ④債務整理の道:4つの手続きと選ぶときに見ること
  6. 状況別の読み順:自分に近い記事から読む

借金の返済が苦しくなったときの道は、大きく分けて4つあります。①家計を見直して自力で返す、②返済日や返済額を業者と話し合う、③公的な窓口に相談する、④弁護士・司法書士に依頼して債務整理をする、です。どれを選ぶかは「手取りに対して毎月いくら返しているか」と「すでに滞納が始まっているか」の2点でおおよそ分かれます。この記事では、その分かれ道を判断表で示し、それぞれの道の詳しい記事へ案内します。

借金返済の4つの道を判断表で選ぶ

まず、次の2つを数字で出してください。1つ目は、住宅ローンを除いた借金の毎月の返済額の合計を、手取りの月収で割った割合です。2つ目は、いま返済日を過ぎて払えていない借入れがあるかどうかです。この2つを下の表に当てはめると、最初に試す道が見えてきます。

いまの状態 返済額が手取りの1割程度まで 2割前後 3割以上
滞納なし・借りて返していない ①自力で返す ①自力で返す+②業者と相談 ③公的窓口か④債務整理の相談
滞納なし・別の借入れで返している ③公的窓口に相談 ③公的窓口か④債務整理の相談 ④債務整理の相談
滞納が始まった(数日〜1か月) ②業者と相談+③公的窓口 ③公的窓口か④債務整理の相談 ④債務整理の相談
督促状・一括請求・裁判所の書類が届いた ④債務整理の相談(書類の期限を先に確かめる) 同左 同左

表の割合(1割・2割・3割)は、生活費をどれだけ残せるかを考えるための筆者の目安で、公的な基準ではありません。手取りが少ない世帯や家族の多い世帯では、2割でも家計が回らないことがあります。割合よりも「毎月の返済で元金が減っているか」「借りて返していないか」のほうが、行き詰まりの手がかりとしては確かです。年収と返済額から危険度を詳しく見たい人は、借金はいくらからやばいかを年収と毎月の返済額で見る記事で確かめてください。

判断表:手取りに対する返済額の割合×滞納の有無で選ぶ道
  • 横軸:住宅ローンを除く毎月の返済額 ÷ 手取り月収(1割程度/2割前後/3割以上)
  • 縦軸:滞納なし/借りて返している/滞納が始まった/裁判所などの書類が届いた
  • 各マスに「最初に試す道」(①自力 ②業者と相談 ③公的窓口 ④債務整理の相談)を色分け
  • 欄外:割合は筆者の目安。元金が減っていない・借りて返している場合は1段階右へ

借金で困っている人は少なくありません。金融庁などの資料では、貸金業者からの無担保無保証の借入れが3件以上ある人は2025年3月末で約147万人で、貸金業者から借りている人の1人当たりの借入残高は57.7万円です。3件以上の人数は2021年3月末の114万人を底に、1人当たり残高は2015年3月末の52.4万円を底に、それぞれ増えています(JICCの公表資料から金融庁が作成。銀行カードローンや住宅ローンは含まない)。財務局に寄せられた多重債務の相談も、2023年の5,689件から2024年は6,552件に増えました。

①自力で返す道:元金が減っているかを計算する

自力で返せるかどうかは、毎月の返済のうち利息にいくら消えているかで決まります。利息制限法の上限は、元本10万円未満で年20%、10万円以上100万円未満で年18%、100万円以上で年15%です。この上限に近い金利で借りている場合、返済額が少ないと元金がなかなか減りません。

計算例(筆者の計算・月利を年利の12分の1として概算)

借入残高・金利 毎月の返済額 完済までの回数 払う利息の合計
50万円・年18% 1万円 94回(約7年10か月) 約42万円
50万円・年18% 1万3,000円 58回(約4年10か月) 約25万円
50万円・年18% 2万円 32回(約2年8か月) 約12万円
100万円・年15% 2万円 79回(約6年7か月) 約58万円

残高50万円・年18%なら、1か月の利息はおよそ7,500円です。月1万円の返済では、そのうち元金に回るのは2,500円ほどにとどまります。上の表のとおり、毎月の返済額を少し増やすだけで完済までの期間と利息の合計は大きく変わります。

自力で返す道を選ぶときの手順は次のとおりです。

  1. すべての借入先について、残高・金利・毎月の返済額・返済日を一覧にする(借金の返済計画の立て方と借入一覧の作り方)
  2. 自分の契約で完済まで何回かかるかを計算する(借金返済シミュレーションのやり方)
  3. 家計の固定費から削れるものを探し、返済に回す額を決める(赤字家計の立て直し方)
  4. 上乗せして返す先を1社に絞り、残りは約定額だけ払う(借金返済のコツと見直す10項目)

この道が向くのは、滞納がなく、計算した完済までの期間に収入の見通しが立ち、返済のために新しく借りていない人です。借りている金利が上限を超えていないかは、借金の金利の上限を利息制限法と出資法の早見表で確かめられます。

②業者と返済条件を話す道:返済日の前に連絡する

一時的な収入の減少(病気・失業・賞与の減額など)で、数か月だけ返済が苦しい場合は、返済日の前に借入先へ連絡して事情を伝える道があります。返済日の変更や一時的な返済額の調整に応じるかどうかは、業者ごとの判断です。ただ、連絡しないまま返済日を過ぎるより、選べる手が残ります。

貸金業法21条1項2号は、債務者が返済や連絡の時期を申し出たのに、正当な理由なくそれ以外の時間に電話や訪問で取り立てることを禁じています。自分から「いつ払えるか」「いつ連絡するか」を伝えておくことには、この点でも意味があります。電話で何を伝えるかは、借金の返済ができないときの業者への連絡の仕方と文例にまとめました。

この道が向かないのは、次のような場合です。

  • 返済日を延ばしてもらっても、翌月以降に払える見込みが立たない
  • 複数の業者に同時に返済の相談が必要になっている
  • 利息分しか払えず、元金がほとんど減っていない

ここに当てはまるなら、返済日を延ばすだけでは解決しません。③か④の道へ進んでください。滞納するとどうなるかは借金を滞納したときの翌日から数か月後までの流れで時期ごとに説明しています。

③公的な窓口に相談する道:無料で全体を整理する

どの道を選べばよいか自分では決められないとき、まず使えるのが公的な窓口です。主な窓口と、相談できることは次のとおりです。

窓口 相談できること
財務局の多重債務相談窓口 借金全般の相談、返済計画の助言、弁護士・司法書士などへの橋渡し
都道府県・市区町村の相談窓口、消費生活センター 多重債務の相談、悪質な業者や契約のトラブル
法テラス(日本司法支援センター) 相談先の案内。収入・資産が基準以下なら、弁護士・司法書士による無料法律相談(1回30分、同じ問題につき3回まで)や費用の立替えを使える
日本クレジットカウンセリング協会 多重債務のカウンセリング、家計管理の改善の支援
自立相談支援機関(生活困窮者自立支援制度) 家計改善支援、住まいや仕事を含めた生活の立て直し

財務局の窓口は都道府県ごとに決まっていて、金融庁が全国の一覧を公表しています。電話番号と受付時間は借金の相談窓口の番号・受付時間と選び方にまとめました。窓口ごとの違いと選び方は借金の相談先を公的窓口・法テラス・弁護士で選び分ける記事で説明しています。生活費そのものが足りない場合は、生活費が足りないときの公的な相談先(家計改善支援と住居確保給付金)も読んでください。

公的な窓口は、業者と交渉する代理人にはなりません。相談の結果、債務整理が必要だと分かれば、弁護士・司法書士や法テラスにつないでもらう流れになります。

④債務整理の道:4つの手続きと選ぶときに見ること

債務整理は、借金の返し方を法律の手続きで見直す方法の総称です。任意整理・個人再生・自己破産・特定調停の4つがあり、どれが合うかは借金の額、収入、守りたい財産(家・車など)で変わります。

手続き 裁判所を使うか おおまかな仕組み
任意整理 使わない 弁護士・司法書士が業者と話し合い、返し方を決め直す
特定調停 簡易裁判所 調停委員を交えて業者と返し方を話し合う
個人再生 地方裁判所 裁判所が認めた再生計画に沿って、減額された借金を分割で返す
自己破産 地方裁判所 免責が認められると、借金の支払い義務がなくなる

どの手続きにも、信用情報への登録などの不利益があります。また、税金や養育費などは自己破産で免責されない請求権として破産法253条1項に定められています。手続きごとの違いは債務整理の4つの手続きの違いと選び方で、不利益は債務整理の種類を比較した記事で確かめてください。

弁護士・司法書士が依頼を受けて業者に通知を出した後は、貸金業者が正当な理由なく本人に電話や訪問で直接返済を求めることは貸金業法21条1項9号で禁じられています。ただしこれは貸金業者に対する決まりで、銀行・家主・役所など、貸金業者でない相手からの請求には直接は及びません。

依頼先を選ぶときは、事務所の登録番号、面談で事情を聞いてもらえるか、費用の総額を書面で示してもらえるか、司法書士に頼む場合は代理できる範囲(認定司法書士が1社あたり140万円以下)に収まるかを確かめてください。

どの道を選ぶ前にも、やめておきたいこと

どの道を選ぶ場合でも、次の3つは状況を悪くしやすい行動です。

  • 返済のための借入れを重ねる:金融庁の調査では、消費者金融の利用経験者が借りた目的として「貸金業者への返済資金」を挙げた人が9.4%(2025年)いました。借りて返すと借入先と利息が増え、行き詰まりを先に延ばすだけになります。
  • SNSの個人間融資や「ブラックでも貸す」業者を使う:金融庁は、個人を装ったヤミ金融や、給与ファクタリング・後払い現金化に注意を呼びかけています。
  • 督促や書類を放置する:裁判所から届いた書類には期限があり、放置すると給料や預金の差押えに進むことがあります。

返済が回らないと分かったら、最初の1週間で何をするかを借金が返せないときに最初にやる5つのことで順番に示しています。表で自分の位置を確かめたら、その道の記事から読み進めてください。

状況別の読み順:自分に近い記事から読む

表で道を決めたあとは、いまの悩みに近い記事へ進んでください。

よくある質問

Q. 借金の返済は、金利の高いところと残高の多いところのどちらから進めればよいですか?

毎月の約定額はすべての借入先に払ったうえで、余った分を上乗せする先を決めるのが基本です。利息の総額を減らしたいなら金利の高い借入から、借入先の数を減らして管理を楽にしたいなら残高の少ない借入から、という考え方があります。どちらを選ぶかは、借入一覧に金利と残高を並べてから決めます。

Q. 返済のためにほかの会社から借りるのは、やめたほうがよいですか?

返済のための借入れは、借入先と利息の支払いを増やし、残高が減らない状態を長引かせやすい選び方です。借りて返す状態になったら、自力で返す道から相談の道へ切り替える合図と考えてください。

Q. 債務整理を考えるほどではない場合でも、公的な窓口に相談してよいですか?

相談してかまいません。財務局の多重債務相談窓口や自治体の窓口は、返済計画や家計の見直しの相談も受けています。債務整理をするかどうかを決める前の段階で、状況を整理する場所として使えます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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