借金の基本・返せないとき / 悩み整理

借金500万円・1000万円になったら|自力返済の限界と手続きの選び方

この記事のもくじ
  1. 借金500万円・1000万円の利息と自力返済の限界
  2. 分かれ道1:住宅ローンがあり、家を残したい場合
  3. 分かれ道2:安定した収入があるか、ないか
  4. 弁護士に相談する理由|認定司法書士の140万円の線
  5. 相談に行くまでにやっておくこと

借金が500万円になると、年15%の金利なら利息だけで毎月約6万2,500円、1000万円なら約12万5,000円が出ていきます(筆者の計算)。毎月10万円を返しても、500万円の完済には6年半以上かかり、1000万円では利息にも届かないので元本が減りません。この額になったら、自力で返す方法を探すよりも、個人再生と自己破産のどちらの材料を集めるかを考える段階です。分かれ道は「住宅ローンのある家を残したいか」と「安定した収入があるか」の2つで、手続きの代理を頼める相手は基本的に弁護士になります。

借金500万円・1000万円の利息と自力返済の限界

貸金業者の上限金利は、元本100万円以上の借入で年15%、10万円以上100万円未満で年18%です(利息制限法1条)。500万円が複数の会社に分かれ、1社ごとの元本が100万円未満なら、それぞれ年18%近い金利になっていることがあります。

早見表:借金500万円・1000万円の利息と返済期間(筆者の計算)
借金500万円 借金1000万円
毎月の利息(年15%) 約62,500円 約125,000円
毎月の利息(年18%) 約75,000円 約150,000円
5年(60回)で返す月額(年15%) 118,950円 237,899円
毎月10万円返す場合(年15%) 79回(6年7か月)・利息約290万円 利息に届かず元本が減らない
毎月8万円返す場合(年15%) 123回(10年3か月)・利息約479万円 元本が減らない

計算は年利を12で割った月利で、毎月同じ額を返す元利均等返済としました。実際の契約は日割りの利息や返済方式の違いがあるので目安です。

表のとおり、500万円を5年で返すには毎月約12万円、1000万円なら約24万円が要ります。手取りの多くを返済に回し続けることになり、病気や収入減が一度でも起きれば崩れる計画です。金融機関を変えて借り換える方法もありますが、借入が多い人ほど審査は厳しく、金利が大きく下がらなければ総額は変わりません。200万円前後の借金での自力返済の線は借金200万円は返せる?手取り別の完済までの期間と選択肢で整理しています。

分かれ道1:住宅ローンがあり、家を残したい場合

住宅ローンのある家に住んでいて、その家を残したいなら、**個人再生の住宅資金特別条項(住宅ローン特則)**の材料を集めます。

  • 住宅ローンは原則として約定どおり払い続け、減額されるのはほかの借金です(民事再生法199条1項)。
  • 対象の「住宅」は、自分が所有して住んでいる建物で、床面積の2分の1以上が自分の居住用のものです(196条1号)。
  • 家に、住宅ローンの抵当権以外の担保権(ほかの借金のための抵当権など)が付いていると、特則は使えません(198条1項ただし書)。
  • 住宅ローンの返済が遅れ、保証会社が銀行に代わりに払った(代位弁済)場合は、その日から6か月以内に申し立てれば特則を使えます(198条2項)。期限があるので、住宅ローンの滞納が始まっている人は早く相談する必要があります。

住宅ローンも含めて払えない状態か、家の価値より住宅ローンの残りが大きいかで、売却や自己破産を比べることになります。詳しくは個人再生で住宅ローンを払い続ける特則で扱っています。

分かれ道2:安定した収入があるか、ないか

家の有無とは別に、これから先、継続して収入を得る見込みがあるかで考える手続きが分かれます。

状態 集める材料 理由(法律の要件)
給料・事業などで継続した収入があり、減った額なら3〜5年で返せそう 個人再生(小規模個人再生・給与所得者等再生) 継続的・反復的な収入の見込みが要件(民事再生法221条1項)。返済期間は原則3年、最長5年(229条2項)
収入がない、または生活費で消えて返済の見込みが立たない 自己破産 支払不能かどうかを裁判所が判断し、免責の許可で支払いの責任を免れる
住宅ローン以外の借金の合計が5,000万円を超える 個人再生(小規模・給与所得者等とも)は使えない 住宅ローンなどを除く再生債権の総額が5,000万円以下であることが要件(221条1項。給与所得者等再生も同じ要件を前提にする、239条1項)

個人再生で返す額の下限は、借金の総額で決まります。借金(住宅ローンなどを除く)が3,000万円以下なら、総額の5分の1か100万円の多い方(ただし上限300万円)です(民事再生法231条2項4号)。

借金の総額(住宅ローンを除く) 最低限返す額 3年(36回)で返す月額 5年(60回)で返す月額
500万円 100万円 約27,800円 約16,700円
1000万円 200万円 約55,600円 約33,300円
1500万円 300万円 約83,300円 50,000円

(筆者の計算。これは下限で、持っている財産を処分した場合の額(清算価値)がこれより多ければ、そちらが下限になります)

自己破産では、ギャンブルや浪費で借金を大きくした場合などの「免責不許可事由」が定められていますが、当たる場合でも裁判所が事情を考えて免責を許可できる仕組みがあります(破産法252条1項・2項)。また、税金などの「租税等の請求権」や養育費は、免責されても支払いが残ります(253条1項)。どちらの手続きが当てはまるかは事情によって変わるので、比べ方の材料は任意整理と個人再生の違いや個人再生の最低弁済額の早見表で確かめてください。

弁護士に相談する理由|認定司法書士の140万円の線

債務整理は弁護士のほか、法務大臣の認定を受けた認定司法書士にも頼めます。ただ、借金が500万円を超える人は、次の2つの理由で弁護士への相談から始めるのが筋道です。

  1. 1社140万円を超える借金は、司法書士が交渉を代理できない。 認定司法書士が業者との話し合いを代理できるのは、1社(個別の債権)ごとに140万円以下の場合に限られます(司法書士法3条1項7号、最高裁平成28年6月27日判決)。借金の合計ではなく1社ごとの額で見るので、1社でも140万円を超える借入があれば、その会社との交渉は代理できません。
  2. 自己破産・個人再生の代理人になれるのは弁護士。 司法書士は裁判所に出す書類の作成で関わります(司法書士法3条1項4号)。司法書士に頼んだ場合の申立人は本人で、司法書士は代理人にはなりません。

詳しい線引きは債務整理は弁護士と司法書士どっち?140万円の線と選ぶときの確認点にまとめています。費用を一度に払えない人は、法テラス(日本司法支援センター)の無料相談や費用の立替えを使える場合があります(法テラスでできること)。

相談の前には、借入先ごとの残高・金利・月の返済額の一覧、住宅ローンの返済予定表、給与明細、家計の収支をそろえておきます。持ち物は借金の相談に持っていく書類と準備のチェック表が使えます。

相談に行くまでにやっておくこと

手続きを決めるのは相談の後ですが、それまでの間にやっておくと後で困らないことがあります。

  1. 新しく借りない・カードで生活費を回さない。 手続きの直前に借りたお金は、説明を求められる材料になります。
  2. 一部の相手にだけ返さない。 家族や友人、保証人のいる借金だけを先に返すと、自己破産や個人再生で問題になることがあります。返す順番を自分で決めず、相談先に伝えて指示を受けます。
  3. 財産を名義変更・売却しない。 家や車、保険の名義を家族に移すと、財産を隠したと見られるおそれがあります(破産法252条1項1号)。
  4. 書類を捨てない。 契約書、督促状、裁判所から届いた書類、通帳は、すべて相談に持って行きます。

収入がなくなって返済が止まっている場合の進め方は、無職で借金が返せないときの選択肢で、収入を補う制度と合わせて整理しています。

よくある質問

Q. 借金1000万円でも任意整理はできますか?

任意整理は裁判所を使わず業者と話し合う方法なので、借金の額の上限は法律で決まっていません。ただ、元本を分割で返していく形になるため、1000万円の元本を返せるだけの収入がないと話し合いがまとまりにくくなります。収入から見て元本の返済も難しい場合は、個人再生や自己破産の材料を集めて弁護士に比べてもらうのが現実的です。

Q. 借金が500万円を超えると、司法書士には頼めないのですか?

借金の合計額で決まるわけではありません。認定司法書士が業者との交渉を代理できるのは、1社(個別の債権)ごとに140万円以下の場合です(最高裁平成28年6月27日判決)。合計500万円でも1社ずつが140万円以下なら代理できますが、1社でも超えればその会社との交渉は代理できません。自己破産・個人再生では、司法書士は申立書類の作成で関わり、代理人になるのは弁護士です。

Q. 自己破産すると家族の借金もなくなりますか?

なくなりません。免責は申し立てた本人の借金についてのもので、家族が保証人や連帯保証人になっている借金は、本人の免責後も保証人に請求が行きます(破産法253条2項)。家族が保証人になっている借金がある場合は、相談のときにその一覧も持って行き、家族への影響も含めて説明を受けてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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