借金返済シミュレーションのやり方|利息と完済までの期間を計算
借金返済のシミュレーションは、「今の残高」「年利」「毎月の返済額」の3つが分かれば、自分で計算できます。完済までの月数は1本の式で出せて、表計算ソフトを使えば毎月の利息と残高の推移も一覧になります。この記事では、計算式、返済表の作り方、返済方式による違い、検算のしかたを、筆者の計算例で順に紹介します。業者の会員ページの試算と合わせて使うと、数字の意味がつかみやすくなります。
完済までの月数と利息総額を出す計算式
毎月同じ額を返す場合(元利均等・元利定額)、計算に使うのは次の3つの式です。
- 月利 = 年利 ÷ 12
- 完済までの月数 = −ln(1 − 残高 × 月利 ÷ 毎月の返済額)÷ ln(1 + 月利)
- 利息の総額 ≒ 毎月の返済額 × 完済までの月数 − 残高
lnは自然対数で、関数電卓や表計算ソフトで計算できます。例として、残高50万円・年18%・毎月1万5,000円で計算すると、次のようになります(筆者の計算)。
- 月利 = 0.18 ÷ 12 = 0.015
- 月数 = −ln(1 − 500,000 × 0.015 ÷ 15,000)÷ ln(1.015)= −ln(0.5)÷ ln(1.015)≒ 46.6 → 47回
- 利息の総額 ≒ 15,000 × 46.6 − 500,000 ≒ 約19.8万円
2の式で「残高 × 月利 ÷ 毎月の返済額」が1以上になると、計算ができません。これは毎月の返済額が1か月分の利息以下で、残高が減らない状態を意味します。50万円・年18%なら1か月の利息は7,500円なので、毎月7,500円以下の返済ではいつまでも終わりません。
金利の数字は、契約書や会員ページの「貸付利率(実質年率)」で確かめます。法律で決まった上限は、元本10万円未満は年20%、10万円以上100万円未満は年18%、100万円以上は年15%です(利息制限法1条)。契約の利率がこれを超えていないかも、このときに見ておきましょう。上限金利のくわしい仕組みは借金の金利の上限を早見表にした記事にあります。
表計算ソフトで返済表を作る手順
Excel や Googleスプレッドシートには、完済までの回数や毎月の返済額を出す関数があります。式を覚えなくても、次の関数で同じ答えが出ます。
| 知りたいこと | 入力する式(50万円・年18%・月1万5,000円の例) | 結果 |
|---|---|---|
| 完済までの回数 | =NPER(18%/12, -15000, 500000) | 約46.6 |
| 36回で返すのに必要な月額 | =PMT(18%/12, 36, -500000) | 約18,076 |
毎月の推移を見たいときは、返済表を作ります。
- A列からF列に「回数」「月初の残高」「利息」「返済額」「元金に充たる額」「月末の残高」の見出しを書く。
- 1行目の「月初の残高」に今の残高(例:500000)を入れる。
- 「利息」の列に「月初の残高 × 年利 ÷ 12」の式を入れ、1円未満を四捨五入する。
- 「返済額」に毎月の返済額を入れる。最後の回だけは「月初の残高+利息」と小さいほうを使う。
- 「元金に充たる額」は「返済額 − 利息」、「月末の残高」は「月初の残高 − 元金に充たる額」にする。
- 次の行の「月初の残高」に、前の行の「月末の残高」を参照させ、残高が0になる行まで下にコピーする。
| 回数 | 月初の残高 | 利息 | 返済額 | 元金に充たる額 | 月末の残高 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 500,000 | 7,500 | 15,000 | 7,500 | 492,500 |
| 2 | 492,500 | 7,388 | 15,000 | 7,612 | 484,888 |
| 3 | 484,888 | 7,273 | 15,000 | 7,727 | 477,161 |
| … | … | … | … | … | … |
| 47 | 8,237 | 124 | 8,361 | 8,237 | 0 |
| 合計 | — | 198,361 | 698,361 | 500,000 | — |
1回目は返済額の半分が利息に消え、元金は7,500円しか減っていません。回を重ねるほど利息の割合が小さくなり、元金の減り方が速くなっていくのが表で分かります。
元利均等と残高スライドの違いを計算で比べる
毎月の返済額の決まり方には、主に2つの型があります。
- 元利均等(元利定額):毎月の返済額が一定。利息と元金の内訳だけが毎月変わる。
- 残高スライド:残高に応じて毎月の返済額が段階的に変わる。残高が減ると、毎月の返済額も下がる。
カードローンやリボ払いには残高スライドの考え方を使う契約があり、段階の区切りと金額は会社や契約で違います。ここでは違いを見るため、筆者が仮に置いた段階表(残高40万円超は1万5,000円、30万円超は1万2,000円、20万円超は1万円、10万円超は7,000円、10万円以下は4,000円)で計算しました。
| 返済のしかた(50万円・年18%) | 完済までの回数 | 利息の総額 | 支払いの総額 |
|---|---|---|---|
| 毎月2万円(定額) | 32回 | 約13.1万円 | 約63.1万円 |
| 毎月1万5,000円(定額) | 47回 | 約19.8万円 | 約69.8万円 |
| 残高スライド(仮の段階表) | 95回 | 約29.6万円 | 約79.6万円 |
| 毎月1万円(定額) | 94回 | 約43.1万円 | 約93.1万円 |
| 毎月7,500円(定額) | 終わらない | — | — |
残高スライドは、最初の月額は定額1万5,000円と同じでも、残高が減るたびに月額が下がるため、完済まで約8年かかり、利息は定額の場合より約10万円多くなりました。毎月の負担が軽くなっていく安心感の裏で、期間と利息が延びている点が、この方式の注意点です。カードローンとリボ払いそれぞれの計算は、カードローンの返済シミュレーションとリボ払いの計算方法で専用の例を紹介しています。
計算結果を検算する方法
自分で作った返済表は、次の4点で検算します。
- 1回目の利息が「残高 × 年利 ÷ 12」とほぼ同じになっている
- 最後の行で残高がちょうど0になっている(マイナスになっていない)
- 「返済額の合計 − 最初の残高」が「利息の合計」と一致する
- NPER関数の結果と、返済表の行数が合っている(端数の分、行数が1多いのは正常)
業者の明細とも照らし合わせましょう。貸金業者は、契約のときに利率や返済方式を書いた書面を渡し、返済を受けるたびに、受け取った額のうち利息と元金にいくら充てたかを示す受取証書を渡すことになっています(貸金業法17条・18条。口座振込などで払った場合は請求したとき)。会員ページの取引明細で「利息」「元金」の内訳を見て、自分の返済表と大きく違わないかを確かめます。
なお、実際の利息は日割りで計算する契約があり、その場合は月の日数によって数百円単位で表とずれます。ずれが数千円以上あるときは、金利の読み違い、手数料の入れ忘れ、返済方式の取り違えを疑ってください。日割りの計算方法は借金の利息の計算方法と日割り計算で説明しています。
計算の結果を返済計画につなげる
シミュレーションの目的は、数字を出すことより、その数字で次の行動を決めることです。
- 完済まで3年(36回)以内に収まる:今の返し方を続けつつ、上乗せできる月に繰り上げて入れると、期間と利息がさらに縮みます。
- 3年を超える、または「終わらない」と出た:毎月の返済額を増やせるかを家計から見直し、それでも難しければ相談先を考える段階です。手取りとの比べ方は借金はいくらからやばいかを試算した記事にあります。
- 借入先が複数ある:1社ずつ返済表を作り、どこから多めに返すかを決めます。返す順番の決め方は次の借金の返済計画の立て方で、2つの順番を計算で比べています。
参考までに、金融庁の貸金業関係資料集では、消費者向けの無担保貸付けを行う貸金業者の平均約定金利は、2025年3月末で年15.26%でした。自分の金利がこれより高いか低いかは、実際の契約書の利率で確かめてください。
よくある質問
Q. 計算した月数と、業者の会員ページに出る返済回数が少し違います。
考えられる理由の一つは、利息の計算方法の違いです。この記事の計算は「年利÷12」で毎月同じ利息率を使う簡易な方法ですが、実際の契約では日割りで利息を計算し、月によって日数が違うため、数百円単位のずれが出ます。大きくずれるときは、金利や返済方式を読み違えていないか契約書で確かめてください。
Q. 途中でまとまったお金を入れると、どのくらい早く終わりますか?
筆者の計算では、50万円・年18%・毎月1万5,000円の借金に、最初の月に5万円を上乗せして入れると、完済は47回から41回に縮み、利息の合計は約19.8万円から約15.4万円に減ります。上乗せした分はすべて元金に充てられるので、早い時期に入れるほど効果が大きくなります。
Q. リボ払いやカードローンも同じ計算で出せますか?
毎月の返済額が一定なら同じ式で出せます。リボ払いやカードローンでは、残高に応じて毎月の返済額が変わる方式が多いため、返済表の「返済額」の列を残高ごとに変える必要があります。
出典・参考にした公的な情報
- 利息制限法 第1条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 貸金業法 第12条の8・第17条・第18条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 貸金業関係資料集(平均約定金利)(金融庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。