任意整理 / Q&A

求職中や無職でも任意整理はできる?収入が戻るまでの選択肢

この記事のもくじ
  1. 求職中だと任意整理の和解が難しくなる理由
  2. 収入が戻る見込み別:任意整理の進め方の分かれ道
  3. 見込みが立つまでの間にできること:受任通知と積み立て
  4. 見込みが立たないとき:自己破産を考える分かれ道

求職中や無職でも、任意整理を弁護士・司法書士に依頼することはできます。ただし任意整理は、和解した後に3年程度かけて分割で返していく手続きなので、返すお金の出どころ(原資)がないままでは和解がまとまりにくくなります。再就職の見込みがあるなら、依頼して督促を止め、その間に積み立てをしながら収入が戻るのを待つ進め方を相談できます。見込みが立たないなら、返済を前提としない自己破産と比べて考えます。

求職中だと任意整理の和解が難しくなる理由

任意整理は、裁判所を使わずに、借入先と「これから毎月いくらずつ返すか」を約束し直す手続きです。日本司法書士会連合会(日司連)の相談ページは、分割の期間はおよそ3年程度の和解が多いと説明しています。つまり、和解は「将来の収入から払い続ける約束」です。

月の返済額のおおよそは、残高を返済の回数で割ると見えてきます。仮の数字で筆者が計算すると、3社の残高の合計が120万円で36回払いなら、120万円÷36回=約3万3,300円が毎月の返済になります。求職中で収入がない月には、この額を出せません。借入先から見ても、払える根拠のない約束は結びにくいものです。

自分の収入がない専業主婦(主夫)の場合も、考え方は同じです。毎月の生活費の中から返済に回す額を決め、その額が続くことを家計で説明できるかどうかが分かれ目になります。収入の見込みを説明できない段階で無理な額で和解すると、数か月で払えなくなり、遅れたときの扱いや再和解の話に進むことになります(任意整理の返済が払えないときの再和解の考え方)。

アルバイトやパートで少しでも収入があるなら、その額で組めるかを考える余地があります。収入の目安と準備は、前に読むアルバイトやパートでも任意整理できるかで扱っています。

収入が戻る見込み別:任意整理の進め方の分かれ道

求職中の人の進め方は、「いつ、いくらの収入が戻るか」でほぼ決まります。

分かれ道:求職中の人の状況と任意整理の進め方
いまの状況 考える進め方 相談で伝えること
内定がある・入社日が決まっている 依頼して督促を止め、初めの給料が入ってから和解の返済を始める形を相談する 入社日、給料日、手取りの見込み額
応募が進んでいて、数か月で決まりそう 依頼して積み立てをしながら再就職を待つ。決まったら返済額を固める 応募の状況、毎月積み立てられる額
雇用保険の基本手当を受給中で、先が読めない 和解を急がず、まず生活費の確保と家計の整理を優先する 受給の残り日数、家計の収支
病気・介護・年齢などで、働ける見込みが立たない 返済を前提にしない自己破産と比べる 働けない事情、財産と借金の一覧
専業主婦(主夫)で、家計から出せる額がある 家計から出せる額で任意整理を組めるかを相談する 毎月の生活費の内訳、家族が借金を知っているか

表の上の2つの行のように、収入が戻る時期の見当がついていれば、任意整理は現実的な選択肢になります。逆に、下の2つの行に近いなら、和解の約束を守れるかが不確かなまま任意整理を選ぶより、ほかの手続きと並べて考えるほうが安全です。求職中の生活全体の立て直し(基本手当や家賃の支援など)は無職で借金が返せないときの選択肢と生活費が足りないときの公的な相談先にまとめています。

見込みが立つまでの間にできること:受任通知と積み立て

再就職まで数か月かかりそうでも、相談を先に延ばす必要はありません。依頼を受けた弁護士・司法書士が借入先に受任通知を送ると、受任通知で直接の請求をしないよう求められた貸金業者は、なお電話・訪問などで返済を求めることが禁じられます(貸金業法21条1項9号)。督促に追われずに、仕事探しに時間を使えるようになります。

ただ、受任通知で止まるものには範囲があります。

  • 止まるのは、貸金業者による本人への直接の取立てです。郵便の書面や、裁判を起こすことまでは止める条文ではありません。
  • 家賃・税金・個人からの借金など、貸金業者でない相手には貸金業法21条は直接及びません。
  • 返済が止まっている間も、遅延損害金が増えていくことがあります。和解が長く先になると、そのぶん交渉が難しくなります。

止まるもの・止まらないものの一覧は債務整理の受任通知で督促が止まる仕組みで確かめてください。和解までが長引き、借入先が裁判に進んだ場合の流れは任意整理中の給料差し押さえと裁判の流れにあります。

受任通知を出した後、業者に払っていた分を、毎月決まった額ずつ事務所に積み立てる形をとる事務所があります。積み立ては費用の支払いにあてたり、和解後に払える額の目安にしたりするものです。求職中は無理な額を約束せず、生活費を引いた後に残る額で決めます。

相談の日までに、次のものをそろえておくと話が進みます。

  • 借入先ごとの残高・月の返済額・最後に払った日の一覧
  • 離職票や雇用保険の受給資格者証(受け取っていれば)
  • 応募や内定の状況が分かるもの(内定通知、入社日のメール)
  • 家計の収支のメモ(家賃・光熱費・通信費・保険料・食費)
  • 届いている督促状や、裁判所からの書類

文例(相談で伝える):「3社から合わせて約120万円借りています。先月で前の会社を辞め、いまは求職中です。2社の面接が進んでいて、早ければ12月に入社できそうです。いまは毎月1万円なら積み立てられます。再就職するまでの進め方と、和解の返済をいつから始めるのがよいかを相談したいです。」

見込みが立たないとき:自己破産を考える分かれ道

収入の戻る見込みが立たず、生活費をまかなうのがやっとなら、返済を続ける前提の任意整理から離れて考えます。自己破産の手続きが始まる原因は「支払不能」で、支払能力を欠くために、期限の来た借金を一般的・継続的に返せない状態をいいます(破産法2条11項・15条1項)。収入があることは要件になっておらず、借金がいくら以上という下限も法律にはありません。

一方、個人再生は、将来にわたって継続的または反復して収入を得る見込みがあることが要件です(民事再生法221条1項)。求職中の間は選びにくく、再就職して収入が落ち着いてから候補に入る手続きです。

手続き 求職中との相性 分かれ目
任意整理 再就職の時期が見えていれば組める 和解後に約3年払い続けられるか
個人再生 収入が戻るまでは選びにくい 継続した収入の見込み(民事再生法221条)
自己破産 収入がなくても申し立てられる 支払不能か、財産と免責の見通し

裁判所は中立の立場なので、申立てについての相談には応じていません。相談先は弁護士・司法書士で、費用が払えない人は法テラス(日本司法支援センター)の立替えを使える場合があります。無職の間の自己破産の費用と手続きは無職でも自己破産できるか、窓口の番号と受付時間は借金の公的な相談窓口と受付時間の一覧で確かめてください。

どの手続きにするかを決めるのは、相談の場で事情を聞いた弁護士・司法書士です。求職中だからと相談を後回しにせず、「収入が戻る見込み」と「いま積み立てられる額」の2つを持って相談に行きましょう。次は、カード会社ごとの影響として楽天カードを任意整理するとどうなるかを読むと、カードを整理するときの準備がつかめます。

よくある質問

Q. 失業保険(雇用保険の基本手当)を受け取っている間に任意整理を頼めますか?

依頼すること自体はできます。ただ、基本手当は受け取れる期間が決まっているため、それだけを返済の原資として和解の計画を立てるのは難しいことが多いです。再就職の見込みと、毎月積み立てられる額を相談の場で伝え、和解をいつ始めるかを依頼先と決めましょう。

Q. 専業主婦(主夫)で自分の収入がなくても任意整理はできますか?

任意整理は、本人が借入先と結ぶ返済の約束です。自分に収入がない場合は、家計の中から毎月いくらを返済に回せるのか、その額が続くのかを説明できるかが分かれ目になります。配偶者に借金を知らせずに家計から出し続ける計画は崩れやすいので、家計の実態をそのまま依頼先に伝えてください。

Q. 再就職が決まれば、すぐに和解の話を進めてもらえますか?

内定や入社日が決まれば、毎月の手取りの見込みから返済額を考えやすくなります。試用期間中の給与や、最初の給料日がいつかも伝えると、無理のない返済の開始時期を組みやすくなります。和解の条件は借入先との交渉で決まるので、見込みの額に余裕を持たせておきましょう。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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