税金の滞納は自己破産や債務整理で減らせる?非免責と役所への相談
税金の滞納は、自己破産をしても免責されず、任意整理の対象にもなりません。破産法253条1項1号が、免責が確定しても「租税等の請求権」の責任は免れないと定めているためです。税金だけでなく、国民健康保険料や国民年金保険料のように、税と同じ方法で集められる公的な支払いも、同じ扱いになります。ですから、税金の滞納に向き合う道は、役所の猶予や分納の相談です。ほかに借金があるときは、その借金の整理を並行して進めます。任意整理・個人再生・自己破産・特定調停の4手続で税金がどう扱われるかは、この記事の表で比べられます。
債務整理の種類ごとに、税金はどうなるか
債務整理の4つの手続きで、税金・保険料がどう扱われるかを並べます。
| 手続き | 税金・国保料・年金保険料 | 理由・仕組み |
|---|---|---|
| 任意整理 | 対象外 | 債権者との交渉で、役所は交渉先に入らない |
| 個人再生 | 減額されない | 国税は他の債権より先に徴収され(国税徴収法8条)、地方税も同じ扱い(地方税法14条)のため、再生手続によらず随時弁済する一般優先債権になる(民事再生法122条) |
| 自己破産 | 免責されない | 破産法253条1項1号の非免責債権 |
| 特定調停 | 役所とは別に相談 | 簡易裁判所で、借金の返済方法を債権者と話し合う手続き。税金・保険料の納め方は、役所と別に決める |
税金や保険料が自己破産で免責されない理由は、法律が「租税等の請求権」を免責の例外に置いているからです。破産法97条4号は、租税等の請求権を「国税徴収法又は国税徴収の例によって徴収することのできる請求権」と定めています。国民年金保険料は国税滞納処分の例(国民年金法96条)、市町村の国民健康保険料は地方税の滞納処分の例(国民健康保険法79条の2)で徴収されるため、同じグループに入ります。個別の手続きでどう扱われるかは、依頼する弁護士・司法書士に確かめるのが確実です。
自己破産で免責されないものは、税金のほかにも養育費など複数あります。一覧は 自己破産しても払う必要がある支払い|税金・養育費などの一覧 にまとめました。
任意整理=対象外/特定調停=役所とは別に相談/個人再生=減額されず別に払う/自己破産=免責されない。いずれも、役所との分納の相談が必要。
税金のほうは、役所に相談して納め方を決める
税金・保険料は、減らす手続きではなく、納め方を決める手続きで向き合います。主な制度は次のとおりです。
- 納税の猶予(国税通則法46条):災害、本人や生計を一にする親族の病気、事業の廃止・休止、事業の著しい損失などで一時に納められないとき、申請により1年以内の期間で認められる。分割して納めることもできる。
- 換価の猶予(国税徴収法151条の2):一時に納めると事業の継続や生活の維持が難しくなるとき、納期限から6か月以内の申請で、差押財産の売却を1年以内の期間で待つ。
- 地方税の徴収の猶予(地方税法15条):国税と似た仕組みで、1年以内。条例で分割が定められる。
- 減免:国民健康保険料や住民税などで、条例で定める特別の事情があるとき。
どれも「申請すれば通る」ものではなく、役所が事情を見て決めます。条件や期限は自治体ごとに違うので、督促状に書かれた窓口で確かめます。国税の猶予の条件は 税金を滞納しそうなとき|納税の猶予の条件と申請・分割の考え方 で、国民健康保険料の減免と分割は 国民健康保険料が払えないとき|減免・分割と医療を受けるときの扱い で詳しく読めます。
ほかの借金もあるとき:並行する順番
税金と、カードローンやリボ払いなどの借金が両方あるときは、次の順で考えると整理しやすくなります。
- 督促状や通知書を全部集め、税金・保険料と借金を別々の一覧にする(相手、残高、毎月の返済額、期限)。
- 税金・保険料は、役所の窓口へ早めに連絡して、払える月額での分納を決める。
- 借金の返済が苦しい場合は、弁護士・司法書士に相談して、債務整理のどの種類が合うかを聞く。
- 借金の返済が整理できて月々の負担が減ったら、その分を税金の分納に回せるかを、収支表で見直す。
税金を滞納したまま自己破産を進めても、税金は残ります。だからこそ、借金の整理と税金の分納は、同時に考えます。どの支払いを先にするかは、依頼する弁護士・司法書士に伝えたうえで決めると、あとで食い違いが起きにくくなります。
債務整理の各手続きの違いは 債務整理の種類を比較|任意整理・個人再生・自己破産・特定調停の違い で比べられます。
税金・保険料のほかに、カードローンや消費者金融などの借金もある場合は、弁護士や司法書士に債務整理を相談する選択肢があります。選ぶときは、扱える手続き、報酬の額と算定方法を書面で示してもらえるか、面談で説明してくれるかを確かめます。税金・保険料の分納の相談そのものは、役所の窓口で行います。
亡くなった人の税金の滞納があるとき(相続放棄)
親など亡くなった人に税金の滞納があると、相続人が引き継ぐのが原則です。家庭裁判所に相続放棄を申述すれば、最初から相続人でなかったことになり、滞納も引き継ぎません(民法939条)。期限は、相続の開始を知った時から3か月以内です(民法915条)。
預金を引き出して使うなど、財産を処分すると放棄が認められなくなる場合があります。手続きと注意点は借金の相続放棄|3か月の期限と手続きの流れ・してはいけないことにまとめています。相続した不動産の固定資産税の督促は固定資産税を払い忘れてた・督促状が届いたら|分納の相談と差し押さえの確かめ方が使えます。
税金や保険料の分納が難しいほど生活が苦しいときは、役所の生活困窮の窓口も使えます。窓口の選び方は 借金の相談窓口はどこ?公的な窓口の番号・受付時間と選び方 にあります。
よくある質問
Q. 自己破産をすれば、税金の滞納もなくなりますか?
なくなりません。破産法253条1項1号は、免責が確定しても租税等の請求権の責任は免れないと定めています。住民税や所得税の滞納は、自己破産のあとも納める義務が残ります。役所の猶予や分納の相談で、納め方を決めることになります。
Q. 任意整理で、税金も一緒に減らしてもらえますか?
任意整理は、貸金業者などの債権者と弁護士・司法書士が交渉する手続きで、役所の税金・保険料は対象に入りません。税金や保険料は、役所と分納を相談します。ほかの借金の月々の返済が軽くなれば、税金に回せる額を作りやすくなる場合があります。
Q. 亡くなった親に税金の滞納があったとき、相続放棄で免れますか?
相続放棄は、家庭裁判所に申述して、最初から相続人でなかったことになる手続きです。期間は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です(民法915条)。放棄が認められれば、亡くなった人の滞納は引き継がれません。ただし、財産を処分すると放棄できなくなる場合があるため、弁護士・司法書士か家庭裁判所に早めに相談します。
出典・参考にした公的な情報
- 破産法 第97条・第148条・第253条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民事再生法 第122条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 国税徴収法 第8条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 地方税法 第14条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 国民年金法 第96条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 国民健康保険法 第79条の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 国税通則法 第46条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 国税庁 国税を一時に納付できない方のために猶予制度があります(リーフレット)(国税庁)
- 民法 第915条・第939条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。