税金滞納の督促メールは詐欺?SMS・メールの本物の見分け方
この記事のもくじ
税金の滞納を知らせるSMSやメールが届いて「差押え」「最終通知」と書かれていても、まず疑ってください。国税庁は、国税の納付の求めや差押えについて、ショートメッセージ・メール・LINEでメッセージを送ることはないと案内しています。この記事では、差出人別に本物の連絡方法を整理し、メールやSMSを開く前に使えるチェック表と、開いてしまったあとの対処をまとめます。カード会社・消費者金融の返済メールの確かめ方も扱います。
差出人別:本物の連絡方法の違い
| 差出人 | 本物の連絡方法 | メール・SMSが届いたら |
|---|---|---|
| 国税庁・税務署(国税) | 督促は督促状(国税通則法37条)。国税庁は、納付の求めや差押えについて、SMS・メール・LINEでメッセージを送らないと案内している | 納付や差押えを知らせる内容なら偽と考える。リンクも開かない |
| 自治体(住民税・固定資産税・自動車税) | 納税通知書、督促状(地方税法329条など)。メール・SMSの使い方は自治体ごとに違う | 自治体の公式サイトで、連絡方法と担当課の番号を自分で調べて問い合わせる |
| 日本年金機構(国民年金) | 督促状(国民年金法96条)。未納の電話や文書での案内は、民間事業者に委託していると機構が案内している | 民間の会社名で来ること自体は偽とは限らない。機構の公式ページや年金事務所で確かめる |
| カード会社・消費者金融 | 契約や会員規約で決まった方法。貸金業者は、メールで督促状を送るときも、本人だけが使うと分かるアドレスに送る決まりがある(施行規則19条2項) | リンクではなく、公式アプリや会員ページで、同じ請求が出ているかを確かめる |
表のとおり、誰からのメールかで確かめる先が違います。共通するのは、メールやSMSの本文にあるリンクや番号を使わずに、自分で調べた窓口で確かめることです。警察庁は、メールのリンクは偽装でき、見た目でリンクの真偽を判断することは非常に難しいと説明しています。
本物かどうかを見分けるチェック表
メールやSMSを手元に置いて、上から順に見ます。当てはまる数が多いほど疑いが強まりますが、数が少なくても、リンクを開く・払う前の確認は欠かせません。
| 確かめる点 | 疑う目安 | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 国税の滞納を知らせる連絡手段 | SMS・メール・LINEで、納付の求めや差押えを知らせている | 国税庁の案内では、こうした連絡はしない。税務署に自分で電話する |
| 本文のリンク | 支払い・ログイン・確認のためのURLがある | 押さずに、公式アプリやブックマークから入る。国税庁もSMSにURLを載せないと案内している |
| 期限と脅し | 「本日中」「差押えの執行」「最終通知」など、急がせる言葉がある | 警察庁は、切迫感をあおる文面がフィッシングに多いと示している。書面の通知を探す |
| 支払い方法 | ATMの操作、指定口座への振込、アプリでの送金を求める | 国税庁は、納付のためにATM操作や口座指定の振込を求めないと案内している |
| 添付ファイル・アプリ | ファイルの添付や、アプリのインストールを促している | 開かない。e-Taxのメールには、ファイルの添付がない |
| 入力を求める情報 | ID・パスワード・暗証番号・カード番号の入力を求めている | 金融機関が、ID・パスワードをメールやSMSで問い合わせることはない |
| 送信元の表示 | 実在の組織名に見える表示になっている | 表示名や送信元は偽装できる。表示だけで判断しない |
| 心当たり | 契約や滞納の覚えがない、または金額・内容が手元の書類と合わない | 納税通知書、契約書、利用明細で、金額と内容を照らす |
国税庁は、納付の求めや差押えだけでなく、「還付金」「税務調査」をかたるメールも注意喚起しています。電話では、AI・自動音声で納付を求めることはなく、納付のためにATMの操作や口座を指定した振込を求めることもないと案内しています。
税務署が滞納の整理などでメールを使うことはありますが、納税者が利用を希望した場合に限られ、同意のないメールは送らないと国税庁は説明しています。また、国税庁は滞納整理を外部業者に委託することはないとしています。国税の滞納整理をする業者を名乗る連絡は、この案内に当てはまらないため、税務署に自分で電話して確かめます。
国税庁が挙げている、かたりメールの例
国税庁のページには、次の事例が載っています。
- 未納の国税を納付しなければ財産の差押えを行う旨のメールや、還付金の振込先などの入力を求めるメールから、国税庁のホームページになりすました偽のホームページへ誘導する
- e-Taxから送られるメールに似せた文面から、偽のホームページへ誘導する
- 税務調査を行う旨のメールから、税務署をかたるアカウントへの送金を求める
- 国税庁職員をかたり、ビジネスチャットのアプリで税務調査を連絡する
e-Taxから本物のメールが届くのは、メールアドレスを登録している人が、メッセージボックスのお知らせを受け取る場合で、国税庁が示すパターンのメールだけです。そのメールにファイルの添付はなく、本文にURLも原則書かれません。
カード会社・消費者金融の返済メールの確かめ方
「アコム 返済 メール」「クレジットカード 滞納 メール」のように、特定の会社名のメールが届いた場合も、見分け方は同じです。警察庁は、実在のサービスや企業をかたって、偽のメールやSMSから偽サイトに誘導する手口を、フィッシングとして説明しています。例には、クレジットカード会社から「クレジットカード情報の確認」と届くSMSがあります。
返済の遅れを知らせる本物のメールが届くこともあります。貸金業者が督促のために書面や電磁的記録を送るときは、商号・住所・電話番号、契約年月日、貸付金額、利率、弁済期、請求額などを書く義務があり(貸金業法21条2項)、借入れの事実が本人以外に分からない方法で送ります(施行規則19条2項)。ただし、これらが書かれていても、本物そっくりの偽メールがある以上、メールの中身で本物かは決まりません。次の順で確かめます。
- メールのリンクと電話番号を使わない。
- 公式アプリや、自分で登録したブックマークから会員ページに入り、請求や延滞の表示があるかを見る。
- 契約書やカードの裏面に書かれた窓口へ電話して、請求の内容と金額を聞く。
- 貸金業者なら、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」で、会社名と登録番号が一致するかを調べる。
本物だったと分かったときの対応は、督促状の期限が過ぎたら?期限切れの後に起きることと連絡の文例が使えます。税金の場合、届く督促状の読み方は税金の督促状が届いたら|納期限後20日の通知と次の段階に、督促状から差押えまでの流れは税金の滞納で差し押さえはいつ?督促状から差押えまでの流れにあります。書面の督促状が届いて詐欺かどうか迷うときは、督促状の詐欺を見分ける方法|架空請求か本物か確かめる手順のチェック表を使います。
リンクを開いた・入力した・払ってしまったとき
被害の程度で、順番に動きます。
- 開いただけ:画面を閉じ、そのまま入力や支払いをしません。携帯電話会社が提供する迷惑メッセージのブロック機能など、届きにくくする設定も使います(警察庁が案内)。
- ID・パスワード・カード番号を入力した:同じパスワードを使っているすべてのサービスで、パスワードを変えます。カード会社や銀行に連絡し、不正利用の確認をしてもらいます。
- アプリを入れた:携帯電話会社や警察のサイバー相談窓口に相談し、勝手に操作されていないかを確かめます。
- お金を振り込んだ・送金した:振込の控えを持って、すぐ振込先の金融機関と警察に連絡します。
警察庁は、フィッシングのサイトを見つけたときは、フィッシング110番に通報し、被害に遭った場合は最寄りの警察署かサイバー事案の通報窓口に相談するよう案内しています。判断がつかないときは、消費者ホットライン188で、消費生活センターにつながります。脅されている、家や職場に来ると言われているなど、身の危険があるときの警察の窓口は、取り立てが怖いとき|法律で禁止されている取立てと連絡先の一覧にまとめています。
本当に税金を滞納していて払えないときは、メールのリンクではなく、税務署や市区町村の納税課に相談します。分割や猶予の制度は税金を滞納しそうなとき|納税の猶予の条件と申請・分割の考え方にあります。
よくある質問
Q. 税金の滞納を知らせるSMSのリンクを開いてしまいました。どうすればよいですか?
開いただけで被害が出るとは限りませんが、画面の指示には従いません。画面にIDやパスワード、カード番号などを入力した場合は、同じパスワードを使うサービスすべてで変更し、カード会社や銀行へ連絡します。アプリのインストールを求められて入れた場合は、機種の購入先や携帯電話会社、警察のサイバー相談窓口に相談します。
Q. 本当に税金を滞納している心当たりがあります。メールが本物か確かめるには、どうしますか?
メールの連絡先やリンクは使わず、納税通知書や納付書にある担当課、または税務署の所在地を調べて電話し、滞納の有無と金額を聞きます。国税については、国税庁が納付の求めや差押えをSMS・メール・LINEで送らないと案内しているため、そうした連絡は偽と考えて、書面と窓口で確かめます。
Q. 消費者金融やカード会社から、返済の遅れを知らせるメールが届きました。本物ですか?
会社によって、登録したメールアドレスに返済のお知らせを送ることがあります。ただし、送信元の表示は偽装できるため、メールだけでは判断できません。メール内のリンクではなく、公式アプリや、自分で登録したブックマークから会員ページに入り、同じ通知や請求があるかを確かめます。
出典・参考にした公的な情報
- 国税庁をかたった偽メールにご注意ください(国税庁)
- フィッシング対策(警察庁)
- 手口一覧と今日からできる対策(架空料金請求詐欺)(警察庁)
- 国民年金保険料(納付期限と、未納の案内の民間委託)(日本年金機構)
- 貸金業法 第21条(取立て行為の規制)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 貸金業法施行規則 第19条(督促状の送り方)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 登録貸金業者情報検索サービス(金融庁)
- 地方税法 第329条(市町村民税の督促)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 消費者ホットライン188(消費者庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。