車は差し押さえられる?ローン中の車とローン完済後の車の違い
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車が差し押さえられるかどうかは、車検証の「所有者」欄が自分か、ローン会社や販売店かで分かれます。ローン中の車の所有者がローン会社なら、借金で債権者が差し押さえる対象には入りにくく、起こりうるのはローン会社による引き上げです。ローンを払い終えた車(所有者が自分)なら、判決などの債務名義を持つ債権者が、裁判所の自動車競売で差し押さえられます。税金の滞納は、裁判を経ずに差し押さえられます。
まず確かめる:車検証の所有者欄と、差押えと引き上げの違い
道路運送車両法5条1項は、登録を受けた自動車の所有権の得喪は、登録を受けなければ第三者に対抗できないと定めています。車の所有者が誰かは、登録と車検証で見ます。「使用者」の欄が自分でも、「所有者」の欄が別の会社なら、所有権が相手に残っている可能性があります。
所有権を売った側に残す契約を、所有権留保といいます。販売店が自分で代金を分割で受け取る割賦販売では、法律にこう書かれています。耐久性のある指定商品の所有権は、代金を全部払う義務が果たされるまで、割賦販売業者に留保されたものと推定される(割賦販売法7条)。自動車は、政令の別表第一37号の指定商品に入っています(施行令3条)。信販会社のローンは、契約書の所有権留保の条項で決まります。
| 所有者欄 | 他の借金の債権者の差押え | ローン会社などの引き上げ |
|---|---|---|
| ローン会社・信販会社・販売店 | 裁判所の自動車競売の対象は「債務者が所有している自動車」。所有者が別なら対象に入りにくい | ローンの返済が滞ると、契約により車の返還を求められる |
| 自分(ローン完済後・現金購入) | 債務名義があれば、自動車競売の申立てを受ける | 引き上げの対象にならない |
| リース会社 | 車はリース会社のもの。所有者が別なので、自動車競売の対象に入りにくい | リース契約の解除で返すことになる |
差押えと引き上げは、動く人も根拠も別です。差押えは、債務名義を持つ債権者が裁判所を通じて行う強制執行です。引き上げは、ローン会社が自分の車として返還を求めるもので、裁判所の差押命令とは関係がありません。ローンが払えないときの引き上げの流れは車のローンが払えないときどうなる?引き上げの流れと相談先で説明します。
ローン会社が、返済の遅れを理由に契約を解除して残金を請求するには、法律の縛りが付く契約があります。割賦販売法5条は、20日以上の相当な期間を定めて書面で支払いを催告し、その期間内に払われないときでなければ契約を解除できないと定めています。信販会社を使う個別信用購入あっせんの契約にも、同じ内容の規定があります(同法35条の3の17)。ローンの契約がどの形かは、契約書の表題で確かめます。
ローンを完済した車が差し押さえられる流れ
所有者が自分の車に、借金の債権者が手を伸ばす手続は、裁判所の「自動車競売」です。裁判所の案内では、判決や和解調書どおりにお金が払われないとき、債務者が所有している自動車を裁判所が差し押さえて売却し、代金を債権者に分配する手続とされています。
- 債権者が債務名義を取る(判決、仮執行宣言付支払督促、和解調書など。民事執行法22条)
- 債権者が、車の使用の本拠の位置を管轄する地方裁判所へ、自動車強制競売の申立てをする。登録事項等証明書(申立日から1か月以内に発行されたもの)などを付ける
- 裁判所が自動車競売の開始決定を出す。手数料は請求債権1個につき4,000円と、民事執行予納金(裁判所ごとに異なる)
- 開始決定を受けた債権者が、直ちに執行官へ自動車引渡執行を申し立てる
- 執行官が車を取り上げ、売却して、代金を債権者に分配する
裁判所の案内は、開始決定の日から1か月がたっても執行官が車を取り上げられないときは、競売の手続が取り消されると書いています(民事執行規則97条、民事執行法120条)。車を隠したり、急いで売ったり、名義を変えたりする動きは、手続きを止める方法ではありません。破産に進む場合は、債権者を害する目的の財産の隠匿や不利益な処分が、免責不許可の事由に入ります(破産法252条1項1号)。
この手続の前に、債権者は判決など債務名義を取っています。つまり、車が差し押さえられる段階の前に、支払督促・訴状・判決といった書類が届いています。その段階での対応が、いちばん効きます。差押えまでの全体の流れは差し押さえとは?借金で差し押さえられるまでの流れと対象にまとめています。
仕事で車が欠かせない人は、差押禁止の定めも見ておきます。民事執行法131条6号は、主として自分の知的または肉体的な労働で職業・営業に就く人の、その業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く)の差押えを禁じています。車がこれに当たるかは、仕事の内容や車の使い方で変わり、条文に車とは書かれていません。事情を書面で整理して、執行裁判所や弁護士・司法書士に伝えます。
税金の滞納では、裁判なしで車が差し押さえられる
国税の滞納は、督促状を発した日から10日を過ぎても払わないと、徴収職員が財産を差し押さえなければならないと定められています(国税徴収法47条1項)。自動車も差押えの対象で、税務署長は車の引渡しを命じ、徴収職員が占有できます(同法71条3項)。住民税や自動車税などの地方税も同じ型で、督促状を発した日から10日を過ぎても払わないと差押えをしなければならないと定められ(地方税法331条1項・168条1項)、その手続は国税徴収法の滞納処分の例によります(同法331条6項・168条6項)。
国税の差押え後でも、営業上の必要その他の相当な理由があるときは、申立てにより車の運行を許可できる仕組みがあります(国税徴収法71条6項)。仕事で使う車なら、差押えを受けた時点で、税務署の徴収担当に事情を説明して相談します。差し押さえた車は、公売で売られることがあります。公売の仕組みと、止める方法は差し押さえた物がオークションに?公売と競売の仕組みと止め方に載せています。税金の滞納の流れは税金の滞納で差し押さえはいつ?督促状から差押えまでの流れで扱います。
車を残したいときの考え方:ローンを外すか、手続きの前に確認するか
車を使い続けたいのか、手放してもよいのかで、選ぶ道が分かれます。
| 手続き | 車の扱いの目安 | 読むページ |
|---|---|---|
| 任意整理 | 車のローンを対象から外し、約束どおり払い続ければ、引き上げの理由は生じない。ローン契約書に、ほかの債務の整理で一括請求できる旨の条項がないかは確かめる | 任意整理で車のローンはどうなる? |
| 個人再生 | 車の価値が、払う額(計画弁済額)の下限に影響する場合がある | 債務整理の種類を比較 |
| 自己破産 | 所有者が自分の車は、価値によっては売却して債権者への配当に回る。残せる基準は裁判所の運用で違う。ローン中の車は別の扱い | 自己破産で車持ちの人が知ること |
どの手続きがよいかは、借金の総額、収入、車のローンの残り、仕事での車の必要度で変わります。ほかの借金が重い場合は、債務整理を扱う弁護士や認定司法書士に相談します。車の所有者欄が写った車検証、ローン契約書、借入先の一覧を持っていくと、車を残す道があるかを具体的に聞けます。事務所を選ぶときは、費用の総額を書面で示してくれるか、車やローンの扱いを手続きごとに説明してくれるかを確かめます。
相談先の番号は、借金の相談窓口はどこ?公的な窓口の番号・受付時間と選び方にまとめています。
よくある質問
Q. ローンが残っている車は、ほかの借金の差押えを受けませんか?
車検証の所有者欄がローン会社や販売店なら、車は債務者の所有物ではありません。裁判所の自動車競売の案内は「債務者が所有している自動車」を対象に書いています。ただし、ローン会社は契約に基づいて車の引き上げを求められます。
Q. 差し押さえられたら、その日から車に乗れなくなりますか?
手続によって違います。裁判所の自動車競売では、開始決定を受けた債権者がすぐに執行官へ引渡執行を申し立て、執行官が車を取り上げる流れなので、取り上げられたあとは乗れません。税金の滞納処分では、差押え後も営業上の必要などの理由があれば、申立てで運行の許可を受けられます(国税徴収法71条6項)。
Q. 軽自動車も、裁判所の自動車競売で差し押さえられますか?
自動車競売の対象は登録された自動車で、軽自動車は含まれません。大阪地方裁判所の案内は、軽自動車や自動車登録ファイルに登録のない自動車は、動産執行の対象になると書いています。動産執行は執行官が行う手続きなので、軽自動車は執行官が動産として差し押さえることになります(民事執行法122条)。
出典・参考にした公的な情報
- 自動車競売(手続の案内)(裁判所)
- 自動車執行申立てに必要な書類等(軽自動車は動産執行の対象)(大阪地方裁判所)
- 民事執行法 第22条・第122条・第131条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 道路運送車両法 第5条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 割賦販売法 第5条・第7条・第35条の3の17(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 割賦販売法施行令 第3条・別表第一(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 国税徴収法 第47条・第71条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 地方税法 第168条・第331条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 破産法 第252条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。