借金の総量規制とは?年収の3分の1を超えたときに起きること
借金の総量規制とは、消費者金融やクレジットカードのキャッシングなど貸金業者からの借入の合計を、年収の3分の1までに抑える貸金業法13条の2の決まりです。年収300万円なら上限は100万円で、超えると新しく借りられなくなります。ただし、超えたからといって一括返済を迫られたり、借りた人が罰せられたりすることはないと金融庁は説明しています。
総量規制の仕組み|年収の3分の1の計算
貸金業法13条の2は、貸金業者が「個人過剰貸付契約」を結ぶことを禁じています。これは、その契約を結ぶと、その人が貸金業者から借りている合計(住宅のためのローンなどを除く)が、年間の給与などの定期的な収入の3分の1を超えることになる契約のことです。総量規制は平成22年(2010年)6月18日の改正貸金業法の完全施行から始まりました。
計算は全社の合計でします(金融庁Q&A Q2-4)。A社で50万円、B社で40万円借りている年収300万円の人は、合計90万円なので、あと10万円を超える貸付けは受けられません。
| 年収 | 貸金業者から借りられる合計の上限(筆者の計算) |
|---|---|
| 150万円 | 50万円 |
| 240万円 | 80万円 |
| 300万円 | 100万円 |
| 360万円 | 120万円 |
| 450万円 | 150万円 |
| 600万円 | 200万円 |
業者は、貸す前に収入や借入状況などを調べる義務があります(貸金業法13条1項)。その業者からの借入が50万円を超えるとき、または他社と合わせた貸金業者からの借入が100万円を超えるときは、源泉徴収票などの収入を証明する書類を出してもらわなければなりません(同条3項)。カードローンのように枠の中で繰り返し借りる契約では、業者は3か月以内ごとに信用情報を使って、年収の3分の1を超えていないかを調べることになっています(13条の3、施行規則10条の25。期間の末日の残高が10万円以下の場合などは除く)。「急に枠が減った」「追加で借りられなくなった」の多くはこの調査の結果です。
総量規制の対象になる借金・ならない借金
総量規制は貸金業法の決まりなので、貸金業者ではない銀行などからの借入には直接かかりません。また、貸金業者からの借入でも、残高の計算から外れるもの(除外)と、残高には数えるが3分の1を超えても貸してよいもの(例外)があります。
| 借金の種類 | 総量規制 | 根拠 |
|---|---|---|
| 消費者金融のカードローン・フリーローン | 対象 | 貸金業法13条の2 |
| クレジットカードのキャッシング | 対象 | 金融庁Q&A Q2-13 |
| クレジットカードのショッピング(1回払い・分割・リボ) | 対象外 | 金融庁Q&A Q2-13(貸付けではない) |
| 銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫・農協のカードローンやローン | 対象外 | 金融庁Q&A Q2-12(貸金業者ではない) |
| 住宅の購入・建設・改良のローン、自動車購入のローン(所有権留保など) | 除外(残高に数えない) | 施行規則10条の21 |
| 本人や同一生計の親族の高額療養費のための借入 | 除外 | 施行規則10条の21 |
| おまとめ・借換え(金利や返済総額が下がるなどの条件を満たすもの) | 例外(超えても借りられる) | 施行規則10条の23第1項1号・1号の2 |
| 緊急の医療費、配偶者と合わせた年収の3分の1以下(同意あり)、個人事業者の事業資金 | 例外 | 施行規則10条の23 |
表のとおり、銀行カードローンとクレジットカードのショッピングは総量規制の外です。「総量規制の上限に届いたけれど、銀行やカードのリボでは使える」状態になりやすいのはこのためです。ただし、総量規制の外でも返す義務と利息は変わりません。借金の種類ごとの法律の違いは借金の種類と違い(カードローン・キャッシング・リボ・分割の見分け方)の表で整理しています。
おまとめローンの例外は、返済する借金がすべて貸金業者からのもので、新しい金利が元の金利を上回らず、毎月の返済で残高が段階的に減ることなどをすべて満たす契約に限られます。条件を満たさない商品はこの例外に当たりません。銀行のおまとめローンとの違いは銀行と消費者金融のおまとめローンの違いで扱っています。
年収の3分の1を超えたときに起きること
借りた後に収入が減った、転職した、などで結果的に年収の3分の1を超えた場合に起きることを、金融庁のQ&Aに沿ってまとめます。
- 新しく借りられなくなる。 貸金業者は3分の1を超える貸付けができないので、追加の借入や新規の申込みは通らなくなります。
- カードローンの枠が減る・止まることがある。 3か月ごとの調査で超過が分かれば、枠が残っていても追加では借りられなくなります。収入を証明する書類の提出を求められて出さないと、業者の判断で借入枠が減額されることもあります(Q2-8)。
- 今の借金は契約どおりに返していく。 超えていても、それだけで直ちに一括返済を求められるわけではありません(Q2-2)。
- 借りた人は処罰されない。 総量規制は業者の義務で、利用者が罰せられることはありません(Q2-3)。
一方で、総量規制は「これ以上借りると返済が苦しくなる」ことを防ぐ線でもあります。上限に近づいたこと自体が、家計の見直しの合図だと受け止めてください。年収と毎月の返済額で危なさを測る目安は借金はいくらからやばい?年収と毎月の返済額で見る危険ラインにまとめています。
上限に近づいた人が「借りて回す」をやめて切り替える目安
総量規制の上限に届いた人が次にやりがちなのが、銀行カードローンやカードのリボ、知人からの借入で返済の穴を埋めることです。返すために借りる状態は、残高が減らないまま利息だけが積み重なっていく入口です。
次のどれかに当てはまったら、新しい借入で回すのをやめ、返し方そのものを相談する段階です。
- 今月の返済のために、別の会社やカードから借りた(または借りようとしている)
- 毎月の返済額の大半が利息で、元本がほとんど減っていない
- 総量規制で断られたので、銀行やリボ、知人で足りない分を埋めている
- 「総量規制対象外」「他社で断られた方も」とうたう業者の広告を探している
- 給料日前に毎月同じ額が足りなくなる
4つ目は特に注意が要ります。貸金業法16条は、貸金業者が他社の利用者や返済能力のない人を対象に勧誘する表示や、借りやすさを過度に強調する表示を禁じています。そうした文句で近づいてくる相手は、登録のないヤミ金(ヤミ金融)であることがあります。
切り替え先は次の3つです。どれも借入を増やさずに返済の形を変える方法です。
- 借りている業者に返済の相談をする:遅れる前に、返済日や月の返済額を相談する。伝え方は借金の返済ができないときの業者への連絡の仕方に文例があります。
- 公的な窓口で整理を手伝ってもらう:財務局の多重債務相談窓口や消費生活センターは無料で相談できます。番号と受付時間は借金の公的な相談窓口と受付時間の一覧で確かめてください。
- 債務整理を比べる:利息を見直す任意整理、裁判所の手続きの個人再生・自己破産などがあります。違いは債務整理の種類の比較(任意整理・個人再生・自己破産・特定調停)で一覧にしています。
金利の上限(利息制限法の年20%・18%・15%)が総量規制と混同されることがありますが、別の決まりです。上限金利の数字は借金の金利の上限は何%?利息制限法と出資法の早見表にまとめています。
カードローンかキャッシングか、リボや分割か、自分の借金がどの種類に当たるかで、かかる法律と総量規制の対象かどうかが変わります。見分け方は借金の種類と違い|カードローン・キャッシング・リボ・分割の見分け方の表で確かめられます。
よくある質問
Q. 総量規制を超えて借りていると、借りた私が罰せられますか?
金融庁の貸金業法Q&Aは、総量規制を超えていても借りた人が処罰されることはないと説明しています。総量規制は貸金業者に「年収の3分の1を超える貸付けをしてはならない」と義務づける決まりで、守る責任は貸す側にあります。超えた状態で起きるのは、新しく借りられなくなることです。
Q. 専業主婦(主夫)で収入がないと、まったく借りられませんか?
貸金業法施行規則10条の23は、配偶者と合わせた年収の3分の1以下で、配偶者の同意がある場合を総量規制の例外にしています。金融庁のQ&Aも、配偶者の同意などで借りられる場合があると案内しています。ただし借りられるかどうかは業者の審査で決まり、返すのは家計全体なので、借りる前に家計の収支を見直すのが先です。
出典・参考にした公的な情報
- 貸金業法 第13条・第13条の2・第13条の3・第16条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 貸金業法施行規則 第10条の21・第10条の23・第10条の25(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 貸金業法Q&A(総量規制 Q2-1〜Q2-13)(金融庁)
- 貸金業法のキホン(金融庁)
- 多重債務問題及び消費者向け金融等に関する懇談会(第23回)資料1(内閣官房)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。