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多重債務とは?複数の借金を抱えたときの整理の順番と相談先

この記事のもくじ
  1. 多重債務とは何社から?統計と法律上の言い方
  2. 借入一覧で見える化する:書き出す項目
  3. 整理の順番:止める、見える化する、相談する、手続きを選ぶ
  4. 国の多重債務者対策としての相談窓口
  5. 手続きを選ぶときの分かれ道

多重債務とは、貸金業者などから複数の借金を重ねて、返済が生活に大きな支障を出している状態を指します。何社以上という法律上の線はなく、「返済のために別の借金をしている」「毎月の返済で生活費が足りない」ならすでに相談してよい段階です。 進める順番は、①新しい借入を止める、②借入を一覧にして全体を見える化する、③公的な窓口に相談する、④必要なら債務整理などの手続きを選ぶ、の4つです。この記事では、国の統計と法律の言い方、一覧の作り方、整理の順番、国の多重債務者対策としての相談窓口を書きます。

多重債務とは何社から?統計と法律上の言い方

法律上、「多重債務問題」は、貸金業を営む者の貸付けで多くの人が重なった債務を負い、社会的・経済的な生活に著しい支障が生じている状況をめぐる問題と整理されています(改正貸金業法附則66条の趣旨。金融庁などの資料に引用されています)。借入の社数は定義に入っていません。

国の統計は、貸金業者からの無担保無保証の借入について、3件以上と5件以上の人数を数えています。金融庁などの資料(2025年10月)の数字は次のとおりです。

時点(各年3月末) 1人当たり借入残高 3件以上借りている人 うち5件以上
2007年 116.9万円 443万人 171万人
2021年(最も少ない年) 53.9万円 114万人 9万人
2025年 57.7万円 147万人 14万人

出典の元データは日本信用情報機構(JICC)の公表資料で、金融庁が図にしたものです。対象は貸金業者の無担保無保証借入だけで、銀行カードローン・住宅ローン・奨学金・税金の滞納は入っていません。「借金のある人の平均」ではなく、2021年を底に再び増えている点が読み取れる数字です。

相談する人の事情も、資料から分かります。2024年に財務局へ寄せられた多重債務の相談では、借金のきっかけに「低収入・収入の減少」を挙げた相談が最も多く(3,062件、複数回答)、世帯年収が500万円以上の相談者も473件ありました。収入が多いから大丈夫、少ないから特別、という話ではありません。

借入一覧で見える化する:書き出す項目

複数の借金は、頭の中で数えるほど実際より軽く感じます。まず1枚の表にします。手元に契約書がなければ、会員ページ、返済のメール、引き落としの通帳記録から探します。把握が難しいときは、信用情報の開示で借入の記録を確かめる方法があります(手順は信用情報の開示のやり方|CIC・JICC・KSCの申込み方法と手数料)。

借入一覧の書式(1社1行)
借入先 種類 残高 利率(年) 毎月の返済額 返済日 延滞の有無 保証人・保証会社
○○ カードローン ○円 ○% ○円 毎月○日 なし 保証会社○○
○○ リボ払い ○円 ○% ○円 毎月○日 なし なし
○○ 奨学金 ○円 - ○円 毎月○日 あり 機関保証

表ができたら、次の3つの数字を出します。

  • 毎月の返済額の合計:全行の返済額を足します。
  • 手取りに対する割合:返済額の合計÷毎月の手取り。この割合が大きいほど、生活費が削られます。
  • 利息の合計:残高×利率÷12の合計。返済額のうち、元本が減っていない部分が見えます。

家賃や税金、国民健康保険料の滞納も、返済の優先順位が違うので、別の欄に入れておきます。返済額の決め方と返す順番は、借金の返済計画の立て方|借入一覧の作り方と返す順番の決め方で詳しく扱っています。

整理の順番:止める、見える化する、相談する、手続きを選ぶ

  1. 新しい借入を止める。 返済のための借入や、別の会社への借り換えを続けると、一覧の行が増えるだけです。カードローンの繰り返しの止め方はカードローンの返済と借入の繰り返しを止めるには|自転車操業の抜け方にあります。
  2. 一覧を作る。 上の表と3つの数字を出します。
  3. 公的な窓口に相談する。 財務局や自治体の窓口では、一覧を見ながら状況を聞いてもらえます。
  4. 返し方を選ぶ。 自力で返す、業者に返済条件を相談する、債務整理に進む、のどれかです。銀行カードローンの返済条件の相談は借金の返済を銀行に相談するには|銀行カードローンで伝える内容と文例にまとめています。
  5. 家計を直す。 手続きの後も、収支が赤字のままだと同じ状態に戻ります。

金融庁などの資料にある借入の目的調査(2024年12月〜2025年1月)では、消費者金融の利用者の45.9%が生活費の不足を、9.4%が貸金業者への返済資金を挙げています。生活費が足りない状態が根にあるなら、返済額の調整だけでは足りず、収入と支出の見直しも要ります。

国の多重債務者対策としての相談窓口

多重債務の相談は、国と自治体が窓口を設けています。主な窓口で、できることは次のとおりです。

窓口 できること 向く人
財務局の多重債務相談窓口 借金全体の聞き取り、返し方の助言、弁護士会・司法書士会などへのつなぎ どこへ相談すればよいか分からない人
都道府県・市区町村の相談窓口 多重債務の相談、生活困窮者自立支援制度の窓口と連携した生活全体の相談 生活費も足りない人
日本クレジットカウンセリング協会 電話相談と面接カウンセリング、家計管理の改善の支援 返済と家計を一緒に見直したい人
法テラス・弁護士会・司法書士会 条件を満たすと無料の法律相談。債務整理の相談 手続きを考えている人

財務局への相談件数は、2023年の5,689件から2024年は6,552件に増えています。自治体の窓口は、2024年に29,249件でした(金融庁のアンケート調査。都道府県と市区町村の合計は図の数字を足した値)。窓口がするのは相談と助言、専門家への橋渡しで、業者との交渉の代理はしません。各窓口の番号と受付時間は借金の公的な相談窓口と受付時間に、財務局の使い方は借金返済の相談ができる公的機関|財務局の多重債務相談窓口の使い方にまとめています。

手続きを選ぶときの分かれ道

返済が続けられないと分かったら、債務整理の手続きを比べます。

手続き 裁判所 主な条件 押さえておく点
任意整理 使わない 弁護士・認定司法書士が各社と交渉 交渉に応じるかは各社。応じない業者もある
特定調停 簡易裁判所 支払不能に陥るおそれがある人 合意が前提で、成立しないこともある
個人再生 地方裁判所 継続的な収入の見込み、再生債権の総額が5,000万円以下(住宅ローン等を除く) 返済総額は最低弁済額の規定で決まる
自己破産 地方裁判所 支払不能 免責が許可されても、租税等の請求権などは免れない(破産法253条1項)

税金・国民健康保険料の滞納は、自己破産でも免れないものに入るため、別に窓口へ分割を相談します。各手続きの条件と違いは債務整理の種類を比較|任意整理・個人再生・自己破産・特定調停の違いで一つずつ比べています。

弁護士や認定司法書士に依頼するなら、選ぶときは「相談する人が資格者本人か」「報酬の額と算定方法が書面で出るか」「手続きごとの不利益(信用情報への登録、資格制限、家を失う可能性)を説明してくれるか」を確かめます。借金の持ち主が亡くなった場合や、家族が借金を残した場合は、手続きの前に相続の期限が先に来ることがあります。カードローンの返済中に本人が死亡したら|家族の支払い義務と相続も確認してください。

よくある質問

Q. 何社から借りたら多重債務ですか?

法律に、何社以上という線はありません。国の統計では、3件以上や5件以上という区切りで人数を数えていますが、これは集計の都合です。返済のために別の会社から借りている、返済額が手取りの多くを占めて生活費が足りない、といった状態なら、1社や2社でも相談してよい状態です。

Q. 多重債務の相談は、お金がかかりますか?

財務局や自治体の多重債務相談窓口は、相談自体は無料です。弁護士や司法書士に依頼する場合は、報酬や費用がかかります。依頼する前に、報酬の額と算定方法を書面で出してもらい、総額を確かめてください。収入や資産が一定以下なら、法テラスの無料相談や費用の立替えが使える場合があります。

Q. 家族に知られずに相談できますか?

窓口の相談は、本人が自分で電話や来所で行うため、家族に連絡が行くことは通常ありません。ただし、督促状が自宅に届く、受任通知のあとの連絡の扱いなど、場面によって家族が気づく経路はあります。どの場面で知られやすいかは、相談の際に窓口へ聞いてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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