督促の電話に出ないとどうなる?出られないときの折り返し方
督促の電話に出なくても、その電話だけで差押えになることはありません。ただし、連絡が取れないと、貸した側は書面の督促に切り替え、一括請求や裁判所の手続きへ進めます。税金は、督促状を発した日から10日を過ぎると、裁判なしで差押えができる状態になります。出られない事情があるなら、電話が怖くても、自分から連絡する先と時間を決めて折り返すほうが、あとの選択肢が残ります。この記事では、出ないと次に起きること、貸金業法の電話の時間帯の決まり、折り返す手順と文例を整理します。
電話に出ないと、次に起きること
貸金業者の借金で、進み方を並べます。
| 順番 | 貸金業者・カード会社の借金で起きること |
|---|---|
| 1 | 電話が続く。遅延損害金が日割りで増える |
| 2 | 書面の督促状・催告書が届く |
| 3 | 契約によっては、期限の利益を失い、残りの全額を一括で請求される |
| 4 | 支払督促や訴状が届く。裁判所の書類は期限が短い |
| 5 | 判決などの債務名義ができると、差押えが可能になる(民事執行法22条) |
税金の督促は、電話に出ないことより、督促状を発した日から10日を過ぎると裁判なしで差押えができる状態になる点が大きな違いです(国税徴収法47条)。電話ではなく督促状の期限で動くため、税金の督促状が届いたら|納期限後20日の通知と次の段階で確かめてください。
訪問を受けることもあります。貸金業者は、午後9時から午前8時の間に、正当な理由なく自宅を訪問してはいけません。訪問を受けて、退去を求めたのに退去しない場合も、禁止行為にあたります(貸金業法21条1項4号)。
保証人がいる契約では、本人と連絡が取れないと、保証人に連絡が行くことがあります。保証人は、取立ての相手に含まれます(貸金業法2条5項)。一方で、保証人でない家族に、代わりに払うよう求めることは禁止されています(21条1項7号)。
電話に出なかったことを理由に、貸金業者の請求がなくなることも、督促がやむこともありません。放置した場合の全体の流れは督促状を無視するとどうなる?無視した後に起きる順番と期限で確かめられます。
電話の時間帯の決まりと、連絡の時間・手段の伝え方
貸金業者の電話には、時間の決まりがあります。
- 午後9時から午前8時の間:正当な理由がないのに、電話をかけたり、ファクシミリを送ったり、自宅を訪問したりしてはいけません(貸金業法21条1項1号、施行規則19条1項)。
- 本人が連絡の時期を申し出たとき:返済や連絡の時期を本人が申し出たのに、その申出が相当でないなどの正当な理由がないまま、別の時期に電話や訪問をすることも禁止されています(21条1項2号)。
- 勤務先など自宅以外の場所:正当な理由がないのに、電話や訪問をしてはいけません(同3号)。
実際に使える形にすると、出られる時間と連絡先を、自分から決めて伝えることになります。2号の申出に使える伝え方の例を並べます。
| 状況 | 申し出る内容の例 |
|---|---|
| 日中は仕事で出られない | 「平日の12時から13時なら出られる」 |
| 夜しか出られない | 「夜7時以降の携帯にお願いしたい」(午後9時以降は禁止の時間帯のため、午後9時前にする) |
| 勤務先への電話を避けたい | 「勤務先への連絡は控え、携帯の○○にお願いしたい」 |
| 給料日の後でないと払えない | 「毎月25日以降に連絡してほしい」 |
| 電話が難しい | 「メールか書面でお願いしたい」 |
申し出は、電話で伝えるだけでなく、メールや会員ページのメッセージで文字に残すと、後で「申し出た」事実を示せます。申し出ても連絡が来る時間帯が守られない、勤務先に何度も電話が来るという場合は、日時を記録します。禁止行為の一覧と相談先は取り立てが怖いとき|法律で禁止されている取立てと連絡先の一覧にまとめています。
ただし、この決まりの対象は貸金業者の取立てです。税金、家賃、銀行のローン、カードのショッピング代金の請求には、この条文は直接及びません(金融庁の貸金業法Q&A)。それでも、夜中に何度も電話が来る、脅される、という場合は、記録して警察や消費生活センターに相談します。
折り返すまでの準備と手順
折り返す前に、次の順で準備します。
- 誰からの電話かを特定する。 着信番号で検索した結果ではなく、契約書、カードの裏面、会員ページに載っている番号と照らします。心当たりがなければ、折り返さずに、督促状の詐欺を見分ける方法|架空請求か本物か確かめる手順で差出人を確かめます。
- 契約と残高を手元に出す。 契約番号、借入れや請求の日付、直近の請求額を書き出します。借入先が複数なら、1社ずつ表にします。
- 払える額と日を決める。 今月払える額、次の収入の日、毎月続けられる額を、家計から出します。守れる金額を決めておけば、その場で約束を迫られても答えられます。
- かける時間を決める。 相手の窓口の営業時間内で、周りに人がおらず、メモを取れる場所を選びます。
- 通話中は、聞いた内容をメモする。 担当者名、請求額の内訳、約束した日付を書きます。
- 通話後に、約束を書面で残してもらう。 メールや会員ページのメッセージで、約束の日と金額を確かめます。
借入れの全体が分からないときは、先に自分の借金を調べる方法|借入先と残高が分からないときの確かめ方で一覧を作ります。返済計画の伝え方を詳しく知りたいときは借金の返済ができないときの業者への連絡の仕方と伝える文例に文例があります。
折り返すときに伝えること・約束しすぎないこと
最初の一言の文例です。
文例(最初の一言):「○月○日に着信がありました。契約番号○○の件でしょうか。担当の方のお名前と、いまの請求額の内訳(元本・利息・遅延損害金)を教えてください。」
連絡の時間と手段を決めるときの文例です。
文例(連絡の時間・手段):「平日の○時から○時は電話に出られます。勤務先への電話は控えてください。連絡は携帯にお願いします。電話が難しいときは、メールか書面でもよいですか。」
払える額を伝えるときの文例です。
文例(払える額):「今月は○円を、○月○日に入金できます。残りは○月から月○円ずつなら払える見込みです。この内容で受けてもらえるか、確認したうえで、書面でも送ってください。」
その場で払えないときの文例です。
文例(その場で決められないとき):「今日は金額を決められません。収入と支出を確かめて、○日までに、こちらから連絡します。」
気をつける点は3つです。
- 払えない額や日を約束しない。 約束を守れないと、次の相談がしにくくなります。守れる条件だけを伝えます。
- 一部の支払いが、時効に影響することを知っておく。 長く払っていない借金で、一部を払ったり、払うと約束したりすると、時効が数え直しになることがあります(民法152条)。古い請求への対応は借金の時効の更新と完成猶予|一部の支払いや裁判でやり直しになるで確かめます。
- 新しい借入れを勧められても応じない。 他から借りて返すよう求めることは、貸金業者には禁止されています(貸金業法21条1項6号)。借入れで借金を返すと、返済先が増えるだけになります。
電話そのものが怖いとき
電話に出ること自体が怖い、声を聞くと動けなくなる、という場合は、電話以外の連絡手段を使います。会員ページのチャットやメール、書面での連絡を用意している会社もあります。電話に出られない事情を、書面で伝えても構いません。
着信を拒否しても、請求そのものはなくなりません。連絡の手段が、書面や訪問に移ることがあります。出られない理由が、収入がなくて払えないことなら、電話の前に、払えない事情を整理して相談する窓口があります。相談先の選び方は借金の相談窓口はどこ?公的な窓口の番号・受付時間と選び方から探せます。
弁護士・司法書士が債務整理を引き受け、書面で通知を出したあと、貸金業者が正当な理由なく電話や訪問で直接返済を要求することは、貸金業法21条1項9号で禁止されています。仕組みと止まらない支払いは債務整理の受任通知とは?督促が止まる仕組みと止まらない支払いで説明しています。
よくある質問
Q. 督促の電話に出ないと、勤務先に電話が来ますか?
貸金業者は、正当な理由がないのに、勤務先など自宅以外の場所に電話や訪問をしてはいけません(貸金業法21条1項3号)。金融庁の監督指針は、本人と連絡をとる合理的な方法が他にない場合を、正当な理由にあたる可能性が高い例に挙げています。携帯の番号と出られる時間を先に伝えておくと、勤務先に連絡が行く理由を減らせます。指針の3例は、勤務先への取り立ての記事にまとめています。
Q. 折り返したら、その場で全額を払うよう言われそうで不安です。どうすればよいですか?
その場で金額や日を決めずに、請求額の内訳を聞き、「今日は払えない。払える額と日を確かめて、○日までに連絡する」と伝えます。すぐに払えない額を約束すると、再び遅れてしまいます。他から借りて返すよう求めることは、貸金業者には禁止されています(貸金業法21条1項6号)。
Q. 知らない番号から着信が続いています。折り返してよいですか?
督促の電話かどうかは、着信だけでは分かりません。心当たりの会社なら、契約書や会員ページに載っている番号にかけ直します。心当たりがなければ折り返さず、督促状の詐欺を見分ける記事のチェックで、差出人を確かめます。
出典・参考にした公的な情報
- 貸金業法 第2条・第21条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 貸金業法施行規則 第19条(取立ての時間帯・督促状の送り方)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民法 第150条・第152条(時効の完成猶予・更新)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民事執行法 第22条(債務名義)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 国税徴収法 第47条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 貸金業法Q&A(Q1-4:貸金業者に当たるもの)(金融庁)
- 登録貸金業者情報検索サービス(金融庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。