取り立てが家に来るときの対応|訪問できる時間の決まりと連絡先
家に取り立てが来ても、貸金業者が訪問できる時間には決まりがあります。貸金業法は、正当な理由がないのに午後9時から午前8時までの間に自宅を訪問することを禁じ(21条1項1号、施行規則19条1項)、帰るよう求められたのに帰らないことも禁じています(同項4号)。いま玄関の前で帰らない、大声で脅すといった状況なら、まず110番です。緊急でない相談は、最寄りの警察署か#9110(受付時間は都道府県警察で違います)にします。この記事では、訪問の決まりと、玄関での受け答え、記録の残し方を順に説明します。
訪問できる時間と、訪問に関わる禁止事項
自宅への訪問に関わる禁止事項は、時間帯、申出、退去、第三者への知らせ方の4つに分かれます。貸金業者から債権を譲り受けた会社や、取り立てを委託された会社にも、同じ規制が及びます(貸金業法21条1項、24条2項)。
| 場面 | 決まり | 根拠 |
|---|---|---|
| 午後9時から午前8時 | 正当な理由がないのに、自宅を訪問することが禁じられる | 21条1項1号、施行規則19条1項 |
| 午前8時から午後9時 | 時間帯そのものの禁止はない。ただし、弁済や連絡の時期を申し出たのに正当な理由なく訪問を重ねること、反復継続した訪問は問題になりうる | 21条1項2号、監督指針 |
| 帰るよう求めたのに帰らない | 居宅や勤務先などで退去すべき旨の意思を示されたのに退去しないことが禁じられる | 21条1項4号 |
| 玄関や自宅への貼り紙 | 借入れに関する事実を、貼り紙その他の方法で債務者等以外に明らかにすることが禁じられる | 21条1項5号 |
| 受任通知が届いたあと | 正当な理由なく電話・電報・FAX・訪問で返済を求め、直接要求しないよう求められてもなお続けることが禁じられる | 21条1項9号 |
4号の「退去すべき旨の意思を示された」は、言葉で帰るよう伝えることを指します。相手が帰らなければ、貸金業法とは別に、刑法130条にも「要求を受けたにもかかわらず退去しなかった者は、3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金」という定めがあります。ただし、実際の場面がこれらにあたるかは、状況で判断されるため、記録を持って警察に相談します。
家族に知られる場面については、金融庁の監督指針に説明があります。債務者から家族に知られないよう要請を受けていないときは、自宅に電話して家族が出たところで貸金業者と名乗ったり、郵便物の差出人に貸金業者名を書いたりしても、直ちに5号にあたるわけではないとされています。家族に知られたくない事情があるなら、その旨を業者に伝えているかどうかが、判断の材料になります。
玄関での受け答え:してよいこと・しないこと
訪問を受けたときの流れを、順番に並べます。
- ドアを開ける前に、インターホンで会社名と用件を聞く。応対したくなければ、開けずに済ませる方法もある。
- 開ける場合は、家の中に入れず、玄関先で話す。ドアチェーンはかけたままにする。
- 相手が貸金業者なら、会社名、訪問している人の氏名、どの契約の請求かを聞く。貸金業者は、相手方から請求があれば、商号・取り立てを行う者の氏名・債権の内容を書面で明らかにしなければならない(貸金業法21条3項)。
- 払う約束や、書類への署名・押印は、その場でしない。控えをもらい、書類は持ち帰って確かめる。
- 帰ってほしいときは、言葉ではっきり伝える。伝えた事実が、4号の「退去すべき旨の意思を示された」の根拠になる。
- 帰らない、脅す、ドアをたたくといったときは、110番に電話する。
文例(帰ってほしいと伝える):「今日はお帰りください。ご連絡は電話で、平日の○時以降にお願いします。これ以上は、お話しできません」
文例(名乗りと請求の中身を聞く):「会社名とお名前、どの契約のお話かを教えてください。請求の内容は書面でお示しください」
110番では、住所、いま何人が来ているか、相手が名乗った会社名、どんな言動かを伝えます。「借金の取り立てで、帰ってもらえない」と言えば足ります。
子どもや高齢の家族が日中に一人でいる場合は、事前に「インターホンに出なくてよい」「ドアを開けない」と伝えておきます。家族への請求の断り方は、借金で家族に取り立てが来たら?払う義務の有無と業者への伝え方で説明します。
訪問の記録:残しておくと相談で役に立つこと
訪問は、電話と違って、証拠が残りにくい取り立てです。次の項目を、来たその日に残します。
- 日時:来た時刻と帰った時刻
- 人数と外見:何人で来たか、名乗った名前、服装、乗ってきた車の色とナンバー
- 言動:言われたこと、大きな声や脅す言葉、ドアをたたく・蹴るなどの行為
- 周りの状況:近所の人が聞いたか、貼り紙やポストへの投函物があったか
- 映像:インターホンの録画、玄関先のカメラの映像、ドア越しの録音
貼り紙や投函された書面は、剥がす前に写真を撮り、書面は封筒ごと保管します。5号に関わる貼り紙があった場合は、その写真が相談で使えます。記録を渡す相手と申し出の手順は、違法な取り立ての相談・通報先|記録の残し方と申し出の手順で説明します。
訪問が続くとき・止めたいとき
訪問してくる相手が誰かで、使える決まりが変わります。銀行や信用金庫のローン、家賃、税金の請求は貸金業者の取り立てではなく、21条は直接は及びません。友人・知人が相手の場合も同じですが、帰らない、脅すといった行為は刑法や警察の問題になります。SNSなどで「個人間融資」を装い、貸金業の登録を受けずに業として違法な貸付けをする事案があると、金融庁が注意を呼びかけています。そうした相手なら、応じずに警察に相談します。
登録を受けた貸金業者の訪問が続く場合は、日本貸金業協会や国民生活センターなどに苦情を申し出る道があります。ヤミ金融(無登録の業者)の場合は、警察、消費生活センターなどが通報・相談先です。番号と受付時間は借金の相談窓口はどこ?公的な窓口の番号・受付時間と選び方でそろえています。
訪問そのものを根本から止めたいときは、弁護士や認定司法書士に債務整理を依頼し、受任通知を出してもらう方法があります。受任通知が業者に届き、直接請求しないよう求めたあとは、正当な理由のない訪問も、21条1項9号の対象です。仕組みと限界は債務整理の受任通知とは?督促が止まる仕組みと止まらない支払いにあります。
取り立てで禁じられている行為の全体は、取り立てが怖いとき|法律で禁止されている取立てと連絡先の一覧にまとめています。勤務先に来る場合は取り立てが会社に来たら?勤務先への連絡が許される場合と対処で扱っています。
よくある質問
Q. 夜9時を過ぎていなければ、何度来ても問題ありませんか?
そうとは限りません。午後9時から午前8時までは時間帯そのものが禁じられていますが、それ以外の時間でも、反復継続して自宅を訪問することは、金融庁の監督指針で「平穏を害する言動」にあたるおそれが大きい例とされています。訪問の日時と回数を記録して、窓口に伝えます。
Q. 居留守を使うと、問題になりますか?
貸金業法21条は、貸金業者に禁止事項を定めたもので、借りた人にドアを開けて応対することを義務づける条文ではありません。ただし書面は届き続け、放置すると裁判に進むこともあります。応対しない間も、連絡のつく電話番号と時間帯を伝える方法は用意しておきます。
Q. 友人や知人にお金を借りて、返せずに家に来られた場合も同じですか?
貸金業法21条の対象は、貸金業を営む者と、その委託を受けた者です。友人・知人からの貸し借りは、貸金業ではないため、21条の訪問の決まりは直接は及びません。ただし、帰るよう求めても居座れば刑法130条の不退去にあたる場合があり、脅されれば警察の対象です。SNSで知り合った相手からの借入れは、業として貸している無登録の業者のおそれがあります。緊急なら110番、そうでなければ#9110に相談します。
出典・参考にした公的な情報
- 貸金業法 第21条・第24条・第47条の3(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 貸金業法施行規則 第19条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 貸金業者向けの総合的な監督指針 II-2-19 取立行為規制(金融庁)
- 刑法 第130条(住居侵入等)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- ご意見、各種相談・情報提供等(緊急通報は110、緊急でない相談は#9110)(警察庁)
- 貸金業法のキホン(貸金業者の定義、ヤミ金融とは)(金融庁)
- 給与ファクタリング・後払い現金化・SNS個人間融資の注意喚起(金融庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。