カードローンの返済滞納で裁判を起こされたら|答弁書と分割の話し合い
カードローンの返済を滞納して裁判を起こされたときは、訴状と呼出状の期日を確かめ、答弁書を出して、払える額での分割払いの和解を求めるのが現実的な動きです。何もせず答弁書も出さないと、請求どおりの判決が出て、そのあと給料や預金の差押えに進めます。この記事では、訴えられるまでの流れ、答弁書で分割を求める書き方、判決のあとに差押えへ進む前にできることを、カードローンの場合に絞って書きます。訴状の読み方と答弁書の基本の書式はクレジットカードの滞納や借金で訴状が届いたら|答弁書と期日の準備にあります。
カードローンで訴えられるまでの流れ
カードローンの裁判は、滞納のあとの手続きが積み重なった結果として起こります。一般的な順番は次のとおりです。
- 返済日に払えず、書面や電話で督促が来る
- 契約の規定にある条件に当たり、期限の利益を失って、残りの全額の一括請求が来る
- 保証会社がついている契約では、保証会社が代わりに払い、保証会社が本人に請求する
- 債権回収会社に債権が譲られ、そこから請求が来ることもある
- 支払督促か、訴えの提起(訴状)が届く
途中の段階の詳しい流れは消費者金融の滞納が続いたら|督促・一括請求・裁判の流れに書いています。原告は、貸した会社とは限りません。保証会社や債権回収会社の名前で訴状が届くこともあるので、契約した会社と原告が同じか、債権の譲渡の経緯が書かれているかを確かめます。
裁判所から届く書類には、訴状のほかに支払督促があります。支払督促は、送達から2週間以内に督促異議を出さないと、債権者の申立てで仮執行宣言が付き、差押えに進めるようになるため、期限の扱いが違います(民事訴訟法391条)。届いたものがどちらかは支払督促と通常訴訟・少額訴訟の違い|届いた側の対応の差で確かめてください。
なお、2026年5月21日に改正民事訴訟法が全面施行され、同日以後に起こされた訴えと、前に起こされた訴えで、書式や手続きの一部が分かれています。届いた書類の案内に従い、不明なら呼出状に書かれた裁判所の書記官に問い合わせます。
訴状に書かれる請求の中身:元本、利息、遅延損害金
カードローンの訴状では、請求の趣旨に次の項目が並ぶのが一般的です。
| 項目 | 内容 | 確かめること |
|---|---|---|
| 元金 | 一括請求時点の残りの借入元本 | 自分の取引履歴と合っているか |
| 約定利息 | 訴え提起までに生じた利息 | 利率が利息制限法の上限(年15〜20%)以内か |
| 遅延損害金 | 返済が遅れた分や期限の利益を失った後の損害金。完済までの将来分を付けて請求するのが一般的 | 率が契約の規定どおりか。業者の貸付けは年20%を超える部分が無効(利息制限法7条) |
訴状には「最後の返済日」や「期限の利益を失った日」が書かれます。この日付は、時効を考えるときの材料です。判決で確定すると時効は10年になります(民法169条1項)。時効が成立する場合があるかは、借金の時効が成立しているか確かめる項目|最後の返済日と裁判で確認してください。時効は、主張しなければ裁判所が考慮しません。
答弁書で分割払いの和解を求める:書き方と準備
請求の元本や利息に争いがないなら、答弁書で請求を認めたうえで、分割払いを希望します。簡易裁判所の訴訟では、被告が争わず何の防御もしない場合に、被告の資力などを考えて、5年を超えない範囲で分割払いを定める「和解に代わる決定」を裁判所がすることがあります(民事訴訟法275条の2)。使うかどうかは裁判所の判断です。
文例:「1 請求の原因のうち、借入れの事実と残高は認めます。2 現在の手取りは月○円、家賃・光熱費・食費などの支出は月○円で、一括での支払いはできません。3 毎月○円を、○月から分割して支払う内容での和解を希望します。遅延損害金の免除について、ご配慮をお願いします。」
分割の額は、次の資料で説明します。払えない額を約束すると、約束を破った時点で差押えに進めるので、少なめに見積もります。
- 手取りが分かる給与明細(直近2か月分)
- 家計の収支表(家賃、光熱費、食費、通信費、保険料、他社への返済)
- ほかの借入の一覧と、毎月の返済額
- 世帯の状況(扶養する家族の人数など)
期日には、原告の代理人から和解案が出ることがあります。月額と回数の案が、書いた収支と合うかを、その場で確認します。決まった条件は和解調書に記載され、和解調書は確定判決と同じ効力を持ちます。分割の約束を守れないときは、調書に基づいて差押えを申し立てられます。支払えない月が出そうなら、期日を待たず、事前に原告へ連絡して相談します。
訴額が140万円以下なら簡易裁判所の訴訟で、60万円以下の金銭請求は少額訴訟の対象になります(その場合は支払督促と通常訴訟・少額訴訟の違いのとおり、1回で審理を終える手続きです)。
判決のあと、差押えへ進む前にできること
判決が出ても、すぐ差押えになるわけではありません。債権者は、判決(仮執行宣言が付いたもの、または確定したもの)などの債務名義に基づき、裁判所に差押命令を申し立てます(民事執行法22条)。給料の差押えでは、勤務先に差押命令が送達され、債権者は債務者への送達から4週間を経過すると取り立てられます(同法155条。養育費等を含まない場合)。この間が、動ける時間です。
| 場面 | できること | 注意 |
|---|---|---|
| 判決の前後 | 原告へ分割払いの相談。和解条項に応じてもらう | 払える額で約束する。約束を破ると差押えを申し立てられる |
| 差押命令が届く前 | 債務整理の依頼(弁護士・認定司法書士)。個人再生や自己破産の準備 | 申立てだけでは差押えは止まらない |
| 差押命令が届いたあと | 差押範囲変更(取消し)の申立て(民事執行法153条) | 生活に著しい支障が出る場合の制度。認められるとは限らない |
| 個人再生を申し立てたあと | 再生手続の開始決定で、強制執行は中止(民事再生法39条1項) | 止まる時点は申立てではなく開始決定 |
給料の差押え可能額は、4分の3が差押禁止で、月払いなら政令の額(33万円)が上限です。筆者の計算で、月の支給額(差押えの基準となる額)が20万円なら差押え可能額は5万円、40万円なら10万円、50万円なら17万円です。税・社会保険料を引いた額を基準にするのが一般的な扱いとされますが、実際の金額は差押命令の差押債権目録で確かめます。給料の差押えの全体は給料の差し押さえはいくらまで?4分の1の決まりと会社への通知にあります。
答弁書を出さずに欠席した場合の結果は借金の裁判を欠席したら?答弁書を出さずに放置したときの結果で扱っています。返済が続けられない見通しなら、裁判の途中でも債務整理に進めます。違いは債務整理の種類を比較|任意整理・個人再生・自己破産・特定調停の違いで比べられます。窓口の番号と受付時間は借金の公的な相談窓口と受付時間にまとめています。
裁判所は中立の立場にあり、手続きの流れは案内しますが、どの債務整理がよいかなどの相談には応じられません。個別の判断は、弁護士や認定司法書士、公的な窓口に相談してください。消費者金融の借入を任意整理に出す場合の注意は消費者金融の任意整理のデメリットは?引き直し計算と受任通知の範囲にあります。
よくある質問
Q. カードローンの滞納で訴えられたら、財産を全部取られますか?
訴えられただけで財産が取られることはありません。差押えは、判決や和解調書などの債務名義を得たあとに、債権者が裁判所へ申し立てて行います。給料は、支払期に受けるべき給付の4分の3が差押え禁止で、月払いなら上限は33万円です。差押えの対象や範囲は、差押命令の書面で確かめます。
Q. 答弁書に分割払いの希望を書けば、そのとおり分割になりますか?
ならない場合があります。簡易裁判所は、被告が争わず何の防御もしないとき、資力などを考えて、5年を超えない範囲で分割払いを定める決定をすることがありますが、裁判所の判断で、原告の意見も聴いて決まります。分割の額の根拠として、収入と支出を書いた資料を用意します。
Q. 裁判を起こされたあとでも、弁護士や司法書士に頼めますか?
頼めます。簡易裁判所の訴訟(訴額140万円以下)は、弁護士のほか、認定司法書士も代理できます。訴状が届いたことと期日を、最初の相談で伝えます。依頼の前に、報酬の額と算定方法を書面で出してもらってください。
出典・参考にした公的な情報
- 民事訴訟法 第158条・第159条・第275条の2・第277条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 訴訟の相手方になった場合/期日にどうしても裁判所に出向けない場合(民事事件Q&A)(裁判所)
- 相手方の給料を差し押さえる場合/差押範囲変更(減縮)の申立て(民事事件Q&A)(裁判所)
- 民事執行法 第22条・第145条・第152条・第153条・第155条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民事執行法施行令 第2条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 利息制限法 第7条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民事再生法 第39条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民法 第169条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民事裁判手続のデジタル化(改正民事訴訟法の概要)(裁判所)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。