債務整理の全体と選び方 / 制度解説

借金減額制度は国の制度?広告の「制度」の正体と本当の手続き

この記事のもくじ
  1. 「借金減額制度」の正体:法律にある手続きと、交渉で決める手続き
  2. 「国が認めた」「救済制度」とうたう広告の読み方
  3. 借金の「免除」はどういうときに起きるか
  4. 本当にある公的な窓口と支援

「借金減額制度」という名前の国の制度はありません。広告がそう呼んでいるのは、破産法・民事再生法・特定調停法で定められた債務整理の手続きか、法律に手続きとしての定めがない任意整理(借入先との交渉)のことです。日本弁護士連合会(日弁連)の業務広告に関する指針は、「国が認めた借金減額制度」「国が認めた借金救済制度」のように、破産や民事再生のほかに特別に有利な制度があると期待させる表現を、規程に反する広告の例に挙げています。ここでは、広告の「制度」の中身と、本当にある公的な手続き・窓口を並べます。

「借金減額制度」の正体:法律にある手続きと、交渉で決める手続き

借金を減らす方法として広告に出てくるものを、根拠の法律と、国の機関がどう関わるかで分けると次のようになります。

早見表:「借金減額制度」と呼ばれるものの中身
呼ばれ方の例 実際の手続き 根拠 国の機関の関わり
借金減額制度・借金救済制度 任意整理 手続きを定めた法律はない(利息の上限は利息制限法) なし(借入先との交渉)
同上 特定調停 特定調停法 簡易裁判所の調停
同上 個人再生 民事再生法 地方裁判所が計画を認可
借金免除・借金がなくなる制度 自己破産(免責) 破産法 地方裁判所が免責を許可
払いすぎた利息が戻る制度 過払い金の返還請求 利息制限法 交渉か裁判

広告で一番多く指されているのは、表の一番上の任意整理です。任意整理は、弁護士・認定司法書士が借入先と話し合い、将来の利息の扱いや分割の回数を決め直すものです。法律が「この条件なら減額する」と決めているわけではないので、国が認めた制度という言い方は中身と合いません。

個人再生と自己破産は、たしかに法律で定められた国の手続きです。ただ、裁判所は中立の立場で手続きを進めるので、債務整理や申立ての相談には応じないと案内しています(裁判所「破産・再生」)。申立ての準備は、弁護士か、書類作成の範囲で司法書士に頼むか、自分で行います。どれだけ減るかの仕組みは借金の減額とは?利息や元本が見直される法律上の仕組みで説明しています。

「国が認めた」「救済制度」とうたう広告の読み方

弁護士と司法書士の団体は、どちらもこの種の言い回しを名指しで問題にしています。

  • 日弁連の指針(第3の4(3))は、「国が認めた借金減額制度」「国が認めた借金救済制度」などの表現を、誇大または過度な期待を抱かせる広告の例としています。
  • 日本司法書士会連合会(日司連)の指針の解説は、「国が認めた救済制度」を、司法書士が表示してはならない例に挙げています。

広告の言葉を見たら、次のように中身へ言い換えて読むと、確かめる質問が分かります。

広告の言葉 中身として考えられること 事務所に聞くこと
国が認めた借金減額制度 任意整理か、裁判所の手続き 「私の場合、どの手続きを想定していますか」
借金が○割減る制度 入力値から出した目安 「取引履歴を取り寄せる前に、減る額は決まりますか」
借金がゼロになる制度 自己破産の免責、または過払い金 「免責されない支払いや、失う財産は何ですか」
どんな人にも使える救済制度 手続きには要件がある 「収入や財産の条件と、使えない場合は何ですか」

広告を出しているのが誰かも見ておきます。弁護士でない者は、報酬目的で法律事務を扱うことも、法律事務所と名乗ることもできません(弁護士法72条・74条)。運営者が会社だけのサイトや、資格の分からない「相談センター」は、依頼先そのものではない場合があります。見分け方の手順は借金減額は怪しい?広告がうざいほど出る理由と確かめ方で扱います。

借金の「免除」はどういうときに起きるか

「借金 免除」「返済 免除」と調べる人に向けて、支払いを免れる仕組みを法律ごとに整理します。

  1. 自己破産の免責:免責許可の決定が確定すると、配当を除き借金の支払いの責任を免れます。ただし税金・養育費・罰金などは残ります(破産法253条1項)。保証人への請求も残ります(同条2項)。
  2. 個人再生のハードシップ免責:計画どおり返している途中で、本人の責任でない事情で返済が極めて難しくなり、4分の3以上を返し終えているなどの要件を満たすと、残りの免責が認められることがあります(民事再生法235条)。
  3. 借入先が自分から免除する:債権者が債務を免除する意思を表示すれば、その債権は消えます(民法519条)。免除するかは借入先が決めることで、こちらから求めて応じさせる仕組みはありません。
  4. 家族などに肩代わり・免除してもらう:相続税法8条は、対価なしに債務の免除や肩代わりを受けた利益を、原則として贈与とみなします。ただし、資力を失って返済が困難な場合の、返済できない部分などは例外とされています。

奨学金の「返還免除」は、日本学生支援機構(JASSO)が死亡や障害などの場合に定める別の制度で、返還が苦しいときの減額返還・返還期限猶予とあわせて奨学金が返せないとき|減額返還・返還期限猶予の条件と申請時期で扱います。

本当にある公的な窓口と支援

国や自治体には、借金を「減らす」制度はなくても、無料で相談に乗り、手続きへの道筋をつける窓口があります。金融庁は、財務局・都道府県・市区町村の多重債務の相談窓口を一覧で公開しています。

各窓口の電話番号と受付時間は借金の相談窓口はどこ?公的な窓口の番号・受付時間と選び方にまとめています。

依頼して手続きを進めると決めたら、選ぶときは、弁護士・司法書士としての登録、受任する人との面談、費用の総額を書いた書面、司法書士なら1社140万円以下という扱える範囲を確かめます。

広告がなぜこれほど多く出るのか、どこを見れば怪しい広告を避けられるのかは、次の借金減額は怪しい?広告がうざいほど出る理由と確かめ方で整理します。

よくある質問

Q. 借金減額の手続きを使うと、国に記録が残りますか?

自己破産と個人再生は裁判所の手続きで、破産法・民事再生法の公告は官報に載ります。任意整理は裁判所を使わないので官報には載りません。どの手続きでも、信用情報機関には借入先からの情報として記録が残ることがあり、その期間は手続きと契約日によって違います。

Q. 国の機関に、借金を減らしてもらうよう申し込めますか?

国の機関が借入先と交渉して減らしてくれる制度はありません。裁判所は破産や個人再生の手続きを進めますが、中立の立場なので申立ての相談には応じないと案内しています。財務局の多重債務相談窓口などは無料で相談に乗り、状況に合わせて弁護士・司法書士などへの橋渡しをします。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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