督促・取り立て・差し押さえ / 手順

取り立てを止めたいとき|弁護士・司法書士に依頼した後の流れ

この記事のもくじ
  1. 止まる範囲:貸金業法21条1項9号を条文どおりに読む
  2. 依頼から通知が届くまでの流れ
  3. 通知の後も続く請求:止まらない相手の表
  4. 依頼先を選ぶ前に確かめること

弁護士や認定司法書士に債務整理を依頼し、受任通知が貸金業者に届いて直接請求をやめるよう求めると、業者は正当な理由なく、電話・電報・FAX・訪問で本人に返済を求め続けることができなくなります(貸金業法21条1項9号)。ただし、止まるのは、この4つの方法による直接の請求です。借金そのものが消えるわけではなく、郵便の督促状や裁判まで止める条文でもありません。ヤミ金、家賃、税金のように、対象にならない相手もいます。この記事では、依頼から通知が届くまでの流れと、止まらない相手への対応を表にまとめます。

止まる範囲:貸金業法21条1項9号を条文どおりに読む

9号を分けると、次の4つの条件になります。

  1. 債務者等が、債務の処理を弁護士・弁護士法人・司法書士・司法書士法人に委託し、または裁判所の民事手続をとったこと
  2. 弁護士等または裁判所から、書面で通知があったこと
  3. 正当な理由がないのに、電話・電報・FAX・訪問の方法で、返済を要求したこと
  4. 債務者等から直接要求しないよう求められたのに、さらに同じ方法で要求したこと

違反した貸金業者には、2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方の罰則があります(47条の3第1項3号)。通知の仕組みは債務整理の受任通知とは?督促が止まる仕組みと止まらない支払いに詳しく、この記事では依頼する側の流れに重点を置きます。

司法書士に依頼する場合には、確かめる点があります。金融庁の監督指針は、9号が「司法書士に委託した場合」とは、司法書士法3条1項6号・7号の簡易裁判所での代理や、裁判外の和解の代理(簡裁訴訟代理等関係業務)の権限を、同条2項の認定司法書士に委任した場合をいう、としています。つまり、依頼先が認定司法書士か、依頼の内容が代理か書類作成だけか、で9号の入り方が変わりえます。

正当な理由の例も、指針にあります。弁護士等から承諾がある場合や、弁護士等への委任が終わったとの通知があった場合です。一方で、業者が通知のあとに電話をしてきても、それが正当な理由によるかどうかを本人が決める必要はありません。記録して、依頼先に伝えます。

依頼から通知が届くまでの流れ

依頼の流れは、おおむね次の順です。

  1. 相談・面談:弁護士か認定司法書士に、借入れの状況を話す。司法書士の側には、依頼者と直接面談して受任する原則を定めた日本司法書士会連合会の指針があります(指針第5)。
  2. 費用の書面を受け取る:報酬の額と算定の方法を、書面で示してもらう。司法書士は、受任する前にあらかじめ報酬の基準を示さなければなりません(司法書士法施行規則22条)。
  3. 委任契約を結ぶ:契約書の内容と、依頼する範囲(代理か書類作成か、対象の業者の範囲)を確かめる。
  4. 資料を渡す:借入れ先の一覧、督促状、返済の記録などを渡す。何を持っていくかは借金の相談に持っていく書類と準備|借入一覧と家計表の作り方にまとめています。
  5. 受任通知の発送:事務所が業者ごとに書面を作って送る。発送日と、業者に届いた日を事務所に聞く。
  6. 通知が届いたあと:業者が直接請求してきたら、記録して事務所に伝える。事務所が業者に連絡する。

通知が届く前の電話に出たとき、または通知後に業者から連絡が来たときの言い方の例です。

文例(電話で):「○○法律事務所(司法書士事務所)に債務整理を依頼しています。私への直接のご請求はおやめください。ご連絡は、事務所へお願いします」

この文例は、9号の条件にある「直接要求しないよう求めたこと」を、本人の口でも伝えておくためのものです。事務所名と連絡先は、依頼の際に聞いてメモしておきます。依頼先が行う手続の全体像は債務整理を弁護士に頼むと何をしてくれる?依頼者がすることと流れで確かめられます。

通知の後も続く請求:止まらない相手の表

受任通知が効くのは、貸付けの契約に基づく債権の取り立てです(21条1項は「貸付けの契約に基づく債権の取立て」の規定)。止まる請求と止まらない請求を条文ごとに並べた正本の表は債務整理の受任通知とは?督促が止まる仕組みと止まらない支払いにあります。ここでは、依頼したあとに実際に続きやすい5つの相手に絞ります。郵便の督促状と、訴状・支払督促などの裁判所の書類は、電話・訪問の禁止とは別なので止まりません。届いたら開封して中身を撮影し、期限(支払督促なら送達から2週間)をその日のうちに事務所へ伝えます。支払督促の読み方は支払督促が届いたら|異議申立ての期限と放置した場合の流れにあります。

早見表:受任通知の後も続く5つの請求と、そのときの動き
相手・請求 続く理由 動き方
ヤミ金(無登録の業者) 21条の文言は「貸金業を営む者」で、登録の有無を条件にしていない。現実には連絡が続く業者もある 応じず、警察・消費生活センターへ。闇金の被害は警察に相談できる?連絡が来たときの対応と相談先
家賃・管理費(大家・管理会社) 貸付けではないため、21条1項9号の対象外 家主・管理会社に支払い方法を相談する
税金・国民健康保険料 貸付けではなく、役所の滞納処分の仕組み 納付の猶予・分割を窓口に相談する。税金を滞納しそうなとき|納税の猶予の条件と申請・分割の考え方
銀行・信用金庫の貸付け 銀行は貸金業者ではない(貸金業法2条1項)。ただし、保証会社が貸金業者で求償権を取り立てる場合は、21条が適用されうると監督指針にある 依頼先に、各行と保証会社への通知の出し方を聞く
個人からの借入れ 貸金業を営む者ではない人の請求は、21条の外 依頼先に、対象に含めるかを相談する

通知のあとに、債権回収会社や、債権を譲り受けた会社から連絡が来ることもあります。貸金業者から債権を譲り受けた会社には、21条が準用されます(24条2項)。債権回収会社には、サービサー法に別の定めがあります。名前が変わった通知が届いたら、事務所に渡します。

依頼先を選ぶ前に確かめること

取り立てを止めたいとき、依頼先は弁護士か、認定司法書士です。認定司法書士が裁判外で代理できるのは、1社(個別の債権)ごとに140万円以下のときです。借金の合計額ではなく、債権ごとに数えます(最高裁平成28年6月27日判決)。違いと選び方は債務整理は弁護士と司法書士どっち?140万円の線と選ぶときの確認点で説明しています。

依頼するなら、次の点を確かめて選びます。

  • 弁護士なら所属の弁護士会、司法書士なら簡裁代理権のある認定司法書士か
  • 受任する資格者本人と面談できるか(誰が説明するのか)
  • 費用の総額と、追加で払うものがないかを書面で出してもらえるか
  • 通知を出す日と、各社に届く見込みの説明があるか
  • 依頼後の連絡の方法と、返済を止める時期の指示があるか

費用を一度に払えないときは、法テラスの民事法律扶助が選択肢になります(借金が返せないとき法テラスでできること|無料相談と費用立替の流れ)。通知が出たあとも業者からの連絡が続くとき、ヤミ金から脅されているときに、記録を持って申し出る手順は、違法な取り立ての相談・通報先|記録の残し方と申し出の手順で扱います。禁止される取り立て全体は、取り立てが怖いとき|法律で禁止されている取立てと連絡先の一覧にあります。

よくある質問

Q. 依頼してから通知が届くまでの間に、取り立ての電話が来たらどう答えればよいですか?

止まるのは、通知の書面が業者に届いてからです(21条1項9号)。届くまでの間に電話が来たら、依頼済みであること、事務所名、今後の連絡は事務所へ頼みたいことを短く伝え、日時と内容を記録して事務所に知らせます。事務所には、各社への発送日と到達日を聞いておきます。

Q. 依頼したあとにも、本人が守ることはありますか?

依頼先の指示に従うことが基本です。新しい借入れをしない、業者に個別に返済や約束をしない、届いた書面をそのまま事務所に渡す、引っ越しや電話番号の変更をすぐ伝える、といった点です。返済を止める時期や、どの借入れが対象かは、依頼先に確かめます。

Q. 弁護士費用が払えないときは、依頼できませんか?

費用の一括払いが難しいときは、分割の相談や、法テラスの民事法律扶助が選択肢になります。法テラスは、収入や資産が一定以下などの条件を満たすと使えます。条件は窓口で確かめてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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