借金が返せないとき市役所に相談できる?自治体の窓口でできること
借金が返せないとき、市役所・区役所に相談して大丈夫です。金融庁の多重債務のリーフレットも、借金の返済については住んでいる都道府県・市区町村や財務局に相談するよう案内しています。市役所の入口は主に3つで、**①消費生活相談(業者とのトラブル)、②無料の法律相談(弁護士に短時間聞く)、③自立相談支援機関(生活と家計の立て直し)**です。ただし、市役所が借金を肩代わりしたり、業者と交渉したりすることはありません。税金や国民健康保険料の滞納の相談は、同じ役所でも別の課になります。
借金が返せないとき、市役所の3つの入口
市役所で「借金の相談をしたい」と伝えると、内容によって次のどれかに案内されるのが一般的です。違いを表にしました。
| 入口 | 根拠・担当 | 向いている相談 | できないこと |
|---|---|---|---|
| 消費生活相談 | 消費者安全法。市区町村の消費生活センターや相談員 | 貸金業者・販売業者とのトラブル、ヤミ金や現金化の被害 | 返済額を減らす交渉 |
| 無料の法律相談 | 市区町村が住民向けに開く。弁護士などが担当 | 債務整理が必要か、どの手続きが向くかを短時間で聞く | 依頼の手続きそのもの(依頼は別の契約) |
| 自立相談支援機関 | 生活困窮者自立支援法。住んでいる地域の自立相談支援機関 | 生活費が足りない、家賃が払えない、家計を一緒に見直したい | 借金の減額や業者との交渉 |
消費者安全法は、市町村が消費生活相談の窓口(消費生活センター)を置くよう努め、置かない市町村も消費生活相談員を置くよう努めると定めています(10条2項・3項)。相談の中身は、事業者に対する消費者からの苦情の相談とあっせんです。借金そのものの整理より、業者との契約や請求のトラブルに強い窓口と考えてください。
自立相談支援機関は、生活に困っている人の相談に応じて、情報の提供や助言、関係機関との連絡調整を行うところです(生活困窮者自立支援法3条2項)。一人ひとりに合わせた支援プランを作り、家計改善支援事業では、家計の状況を把握することと改善の意欲を高めることを支援し、生活に必要な資金の貸付けのあっせんも行います(同条5項)。家計改善支援の中身は自治体によって違うことがあるので、実施状況は窓口で聞きましょう。
どの窓口に行けばよいか(状況別)
自分の状況に近い行を探して、最初の窓口を決めます。
| いまの状況 | 最初に行く窓口 | その先 |
|---|---|---|
| 返済のために借りている、全体をどう整理するか分からない | 無料の法律相談、または財務局 | 弁護士・司法書士への依頼、法テラス |
| 業者の請求や契約の中身がおかしい | 消費生活相談 | 消費生活センターのあっせん |
| 生活費が足りず、借金で穴埋めしている | 自立相談支援機関 | 家計改善支援、生活福祉資金の貸付けの相談 |
| 仕事を失って家賃が払えない | 自立相談支援機関 | 住居確保給付金 |
| 収入がなく、手持ちのお金も尽きそう | 福祉事務所(生活保護の担当) | 生活保護の申請 |
| 住民税・国民健康保険料を滞納している | 税・保険料の担当課 | 分納・減免・猶予の相談 |
借金の全体整理は財務局の窓口も得意です。役所の窓口と財務局の違いは財務局の多重債務相談窓口の使い方で説明しています。仕事を失って家賃が払えない人の住居確保給付金は、厚生労働省のリーフレットによると、離職・廃業から2年以内の人などが対象で、家賃額(上限あり)が原則3か月、最長9か月支給されます。収入と資産の基準があり、ハローワークなどでの求職活動も要件で、問い合わせ先は住んでいる地域の自立相談支援機関です。家計改善支援の詳しい条件は生活費が足りないときの公的な相談先にまとめています。生活保護については借金があっても生活保護は受けられるか、社会福祉協議会の貸付けは生活福祉資金の対象と窓口を参照してください。生活福祉資金は、申込みも相談も市区町村の社会福祉協議会が受ける仕組みで、市役所の窓口とは別の場所にあることが多い点に注意しましょう。
予約のしかたと持ち物
市役所の窓口は、予約が要るものと、電話で相談できるものが混ざっています。
| 窓口 | 予約 | 探し方 |
|---|---|---|
| 消費生活相談 | 電話相談はそのままかけられることが多い。188でもつながる | 市区町村のサイトで「消費生活センター」 |
| 無料の法律相談 | 予約制が多い。1回の時間や年度内の回数に上限がある所も | 市区町村のサイトで「市民相談」「法律相談」 |
| 自立相談支援機関 | 電話で相談日を決めるのが確実 | 厚生労働省の案内する「みんなつながるネットワーク」の一覧 |
金融庁も、市区町村の相談窓口の一覧(Excel)を公開しています。同じ多重債務の相談でも、市によって窓口の形が違います。たとえば横浜市は市民相談室(予約制)、川崎市は弁護士相談と認定司法書士相談(どちらも予約制)、横須賀市も市民相談室、福岡市は消費生活センターと、担当の課や相談の形がそれぞれです。番号と受付は横浜で借金の相談をするならや福岡で債務整理を相談するならに載せました。自分の市の行を一覧で探し、受付時間が書かれていなければ電話で聞いてから出向きます。
持ち物は、どの窓口でもほぼ共通です。
- 借入先ごとの残高・毎月の返済額・返済日のメモ
- 1か月の収入と支出のメモ(給与明細があればなお良い)
- 届いている督促状・催告書・裁判所の書類
- 家賃・税金・国民健康保険料の滞納の通知
- 本人確認の書類(窓口によって求められる)
無料の法律相談は時間が短いことが多いので、聞きたいことを紙に書いて持っていきます。
文例(法律相談で最初に読み上げる):「借入れは○社、合計はおよそ○万円です。毎月の返済は○万円で、手取りは○万円です。○か月前から返済のために別の借入れをしています。債務整理を考えたほうがよいか、どの手続きが向いていそうか知りたいです。」
市役所の無料相談と、事務所の無料相談や法テラスとの違いは、借金返済の無料相談はどこでできるかで比べています。
税金や国民健康保険の滞納は、同じ役所の別の課へ
住民税や国民健康保険料の滞納は、借金と違って役所自身が債権者です。相談先は消費生活相談や自立相談支援ではなく、税や保険料を担当する課になります。延滞の通知に書かれている担当課の電話番号に連絡し、分けて払う方法(分納)や減免・猶予を相談します。
借金と滞納が重なっているときは、次の順で動くと話が混ざりません。
- 滞納の通知をすべて並べ、差出人(役所の課・業者)と期限を書き出す
- 税・保険料の担当課に、払えない事情と分納の希望を伝える
- 借金については、財務局・法律相談・自立相談支援機関のどれかに相談する
- 自己破産をしても税金などは免責されない(破産法253条1項)など、税・保険料は借金と同じようには整理できないので、分納の約束を続けられる家計かを確かめる
国税の納税の猶予の条件は税金を滞納しそうなときの納税の猶予、住民税は住民税が払えないときの分割と減免、国民健康保険料は国民健康保険料が払えないときの減免・分割で説明しています。
市役所で相談したあとに進む先
市役所の窓口は「最初の相談の場所」です。相談のあと、状況に応じて次のどこかへ進むことになります。
- 弁護士・司法書士への依頼:任意整理・自己破産・個人再生など、業者との交渉や裁判所の手続きが必要な場合。費用が出せないなら法テラスでできることと費用立替の流れへ。
- 家計の立て直し:自立相談支援機関の支援プランに沿って、支出を見直しながら返済を続ける。
- 生活の保障:住居確保給付金、生活福祉資金、生活保護など、借金とは別の制度で生活を支える。
どこに進むにしても、市役所で作った借入れと家計のメモがそのまま使えます。相談先の全体像は借金の相談はどこにするかの選び分けで確かめてください。
よくある質問
Q. 市役所で借金の相談をしたら、借金を代わりに払ってもらえますか?
市役所が借金を肩代わりする制度はありません。市役所でできるのは、相談に乗って家計を一緒に整理すること、生活を立て直す支援につなぐこと、必要なら弁護士・司法書士の相談につなぐことです。生活費そのものが足りない場合は、社会福祉協議会の生活福祉資金の貸付けや生活保護の相談に進むことがあります。
Q. 市役所に借金の相談をすると、税金の担当に知られて差し押さえが早まりませんか?
自立相談支援や消費生活相談の窓口は、相談を受けて支援する部署で、税金を集める部署とは役割が違います。むしろ税金や国民健康保険料の滞納があるなら、自分から担当課に分納などを相談したほうが、話し合いの余地が残ります。不安なら、相談の最初に「相談の内容をほかの課に伝えるか」を聞いてみましょう。
出典・参考にした公的な情報
- 多重債務相談窓口リーフレット2026(東京都版)(金融庁)
- 多重債務者対策・貸金業法等について(市区町村の相談窓口一覧)(金融庁)
- 市区町村の相談窓口一覧(Excel・横浜市・川崎市・横須賀市・福岡市の窓口の確認に使用)(金融庁)
- 消費者安全法 第8条・第10条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 生活困窮者自立支援法 第3条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 生活困窮者自立支援制度(厚生労働省)
- 住居確保給付金のご案内(リーフレット)(厚生労働省)
- 破産法 第253条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 生活福祉資金貸付制度(厚生労働省)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。